2021.09.28

日本発のNBAゲームがローンチ…細部までこだわった開発秘話を担当者にインタビュー

バスケットボールキング編集部

2021年秋、新しいバスケットボールのゲームがローンチされる。グラビティゲームアライズ株式会社が手がけるスマートフォン向けゲーム『NBA RISE TO STARDOM』は、いわゆるバスケットチーム育成シミュレーションゲームだ。今回、開発を取り仕切った神﨑喜多エグゼクティブプロデューサーにインタビューする機会を得た。最近では珍しい日本発のNBAゲームの登場の秘密を聞いていく。

開発のきっかけは八村塁渡邊雄太の活躍

――日本発となるNBAのゲームを作ろうとしたきっかけは?

NBA公式ゲームなので、実名で選手が登場


神﨑
 八村塁選手(ワシントン・ウィザーズ)や渡邊雄太選手(トロント・ラプターズ)といった日本人選手がNBA加入で話題となると思い、そこでNBAゲームを作ろうと思いました。うれしいことに、当時予測していたよりも、NBAのゲームを広げるチャンスが来ていると思っております。

 その理由として、日本のバスケットボール界の盛り上がりもあると思います。日本出身のNBA選手の登場・活躍、さらには東京オリンピックでの女子日本代表の銀メダル獲得なども、日本におけるバスケットの熱が高まっていることが追い風になっていると考えます。

――ゲームの特徴を教えてください。
神﨑
 企画当初から現在までスマホゲーム市場ではNBA選手を直接動かすアクションゲームは存在しておりました。しかし、現在、リリースされているタイトルは、日本のマーケット向けのゲームではありません。そこで、日本をターゲットにした親しみやすいシミュレーション型NBAゲームを作成しました。

 このゲームの最大の特徴は、“NBA公式”だからこそできる、全選手実名と実データを使用できることが挙げられます。実はNBAの公式でないと、それができないのです。また、日本人が好きなカードコレクション要素とトレード機能を存在しております。

――セールスポイントは?
神﨑
 3つほどありあす。

 1つ目は、「オファー」機能、いわゆる“ガチャ”ですね。作中ではカードパックをスワイプ操作でむく演出を採用していて、パックを開封する気持ちを体感してもらいますが、そのときの「どんな選手が出てくるかのワクワク」が楽しくて、一喜一憂できるんです。操作にしても、カードを取り出すまでけっこう粘れるようになっております。

 2つめ目は、「選手のカード」機能。ゲーム的な能力値ももちろんなのですが、カードの使用写真はポーズもアングルも選手ごとにこだわって選んでいます。選手の紹介文も読んでいたき、どんな選手なのか、選手の新たな一面など発見してもらえるようになっております。

 3つ目は、「ライブビューとクラッチプレー」。試合中のライブビューではハイライトな3Dシーンがバンバン流れ、重要な局面ではクラッチプレーが発生して、プレーヤー操作で劣勢も覆るほどです。パスを出すか、ドリブルで切り抜けるか、読み合いを制してゴールを決めた瞬間が爽快になるようになっています。

再現性向上のため手作業でゲームづくり

――開発秘話やこだわった点を教えてください。
神﨑
 選手の動きにはこだわりました。3Dモデルに関してはモーションキャプチャーではなく、すべて手付けで作っています。モーションに関しても、選手の特徴を出すために開発サイドにはだいぶ無理を言ってしまったのですが、正直よくここまで作ってくれたなと感謝しています。

 そのような厳しい監修を社内でかけてから最終調整をしてNBA監修に回しております。よく、モーションキャプチャーを実施しているのかをきかれますが、すべて手付けです。一方、PVのモーションもゲームとは別で作っていると思われがちですが、PVの映像のモーションも「実際にゲームで使用している動き」と同じです。PV用に演出を派手にしているところはありますが、基本的には映像のままのモーションがゲーム内でも楽しめます。

 次にカードデザインとパックデザインもこだわっています。セールスポイントと被っていますが、選手カードには力を注いでいます。ゲーム的な能力値とカードの使用写真構図、あとは、選手の特徴がでるような写真をピックアップしております。

――どのような人たちに楽しんでもらいたいですか?
神﨑
 このゲームは、NBAファンはもちろんですが、“NBAを知ってもらうためのアプリ”とも位置付けています。バスケのルールを知らない人に触っていただき、「NBAってすごい」「バスケってこういうものなんだ」とバスケットボールを好きになってもらえるよう構成しました。それに我々は、NBAの公認を受けているので、選手の実名、実際のデータを扱えるため、現実とリンクした内容になっているのも強みです。

 さらに、各選手のフレーバーテキストに丁寧な解説を入れてくれているので、この選手はなにが得意でどんな活躍をしたかとか、このチームは何年何月にどこで優勝したかなど、事細かに知ることができます。本作は全世界配信が前提のアプリですが、英語文化の意味合いを日本語で分かりやすくローカライズしてあるので、喜んでいただけると思います。

 これからNBAを知りたい人にも、すでにNBAを知っている人にも、本作で自分だけのドリームチームを作って楽しんでもらいたいです。ローンチ時点では現役選手が中心ですが、以降はイベントなどで選手を追加していき、たとえばマジック・ジョンソン選手(元ロサンゼルス・レイカーズ)やラリー・バード選手(元ボストン・セルティックス)のような歴代のレジェンドプレーヤーも追加していくので、ぜひ期待していてください。

――コロナ禍の中、なかなか外でバスケットボールができないと言われています。
神﨑
 本当に、バスケやNBAを知らない人に好きになってもらえたるとうれしく思います。それと、バスケのプレー人口が増えることも期待しているのです。昨今は気軽に外で遊べないのもありますし、そもそも日本はバスケットコートが少ないので、バスケをしたくてもできないことも多いはずです。

 そんなときに「NBA RISE TO STARDOM」、というとゲーム内でのスポーツにはなってしまいますが、近年の状況のなかでもバスケットボールに触れる機会のひとつとして、本作を遊んでもらえたらうれしいです。

インタビューに対応していただいた神﨑エクゼクティブプロデューサー(中)と開発スタッフの皆さん


取材=入江美紀雄

BASKETBALLKING VIDEO