2022.02.11
ジェームズ・ハーデンは、今シーズンも印象的なパフォーマンスを披露している。得点こそヒューストン・ロケッツ時代ほど目立たないが、ブルックリン・ネッツではオフェンスのタクトを振るポイントガードとしてゲームメイキングに徹し、アシストはリーグ2位の平均10.0本をマーク。ただし「能ある鷹は爪を隠す」ということわざがあるように、現在のハーデンからはどこかセーブしているような印象を受けることも少なくなく、プレーオフではさらに一段ギアを上げてくるだろう。
ハーデンの活躍は、コート上にとどまらない。9度のNBAオールスターはその強面な風貌とは裏腹に、未来ある子どもたちを一貫してサポートしてきた。それは試合後のシューズギフティングにとどまらず、子どもたちを招いたショッピングイベントやバスケットボールクリニックを開催したりと、前例は様々だ。
同選手の最近の活動では、ハイチ共和国にバスケットコートを新設したことが明らかになっている。背番号13は、自身が主宰する財団「Impact13・ファンデーション」を通じて、健康、教育、芸術、文化の分野で活動する現地の「ファンデーション・バンバクール」とパートナーシップを結び、地元の少年少女のために色鮮やかなプレーグラウンドを提供。デザインはハイチ出身のアーティスト、オリビア・A・ガンティエが担当し、ハーデンのシグネチャーロゴが配されたセンターサークルを取り囲むように、ポップなイラストが描かれている。
Great to see @ElliotGerard & @OliGart's creative work come to life on this court in Haiti
👏 @JHarden13 & Impact 13 Foundation for inspiring the youth while donating essential supplies.
h/t to @carelpedre for the 🎥 footage
🤝 @adidas @FBarbancourt @gopuff @ArtofSport pic.twitter.com/E3f3V54Ut8
— HEARTLENT Group (@HeartlentGroup) January 20, 2022
『Yahoo Sports』によると、ハーデンはコート新設に加えて、自身が契約する「アディダス」よりバックパック、ソックス、シューズ、ウォーターボトル、バスケットボールを、そして「アート・オブ・スポーツ」社製のデオドラント、ボディウォッシュ、ローションなどを300人以上の子どもに配布。また、フィラデルフィアに本拠地を置く24時間の即時配達サービスのスタートアップ「ゴーパフ」と提携し、大人たちにも生活に不可欠な衛生用品約3000点を寄付したという。
ハーデンは『Yahoo Sports』の取材に対し、今回の取り組みについて以下のようにコメントしている。
「模範になることは、僕以外の人々に対して、生活をより良くするために自ら行動を起こし、活動に参加することを促すベストな手段だ。ハイチの貧困や、彼らが日々直面する困難を目にした。僕は自分の役割を全うし、できる限りの支援をしたいと思っている」
「(コートの設立は)正しいことなんじゃないかな。僕は何世代にもわたって残る特別なものを提供したいと思っている。このコートが、子どもたちが安全にバスケットボールを楽しむ機会を創出し、NBAやWNBAという夢を目指すきっかけになってくれるといいね」
ちなみに、ハイチはアメリカ大陸屈指の貧困国と言われている。国連が介入するほどの大規模なクーデターが発生するなど、政治不安は深刻な状況にあり、2021年の1人あたりの実質GDPはわずか59000円(※日本は約430万円)と、経済レベルは世界的に見ても最低水準。こうした混乱下にあるため、国内では誘拐などの犯罪も後を絶たず、同国の子どもたちは常に危険と隣り合わせにある。
「ハイチは美しい国であり、勤勉で、困難を乗り越える力のある人たちがいる。バスケットボールだけではなく、その他のリソースを提供することで、ハイチの若者たちはより良い生活を送れるはずだ。スポーツには、人生を変える力がある。僕にはハイチにルーツを持つ友人がいて、彼からファンデーション・バンバクールの存在と財団がコミュニティのために行っている活動を聞き、僕もサポートしたいと思ったんだ」
シーズンMVP、得点王、アシスト王、シックスマン賞、オールNBAなど、個人賞を総ナメにしてきたハーデンのキャリアにおいて、残す称号はリーグタイトルのみとなった。しかし、ハーデンにはもうひとつの目標があるようだ。
「NBAケアーズ地域貢献賞を受賞することが夢なんだ。僕は常にコミュニティの中で活動してきたけれど、これからはもっと世界に貢献していきたいと思っている。僕のImpact 13・ファンデーションを通じて人々の生活を改善し、若者が夢を追いかけられる環境づくりに貢献したいんだ」
ハーデンのシグネチャーに足を通したハイチの子供たちの顔には、満面の笑みが浮かんでいた。パンデミックが落ち着き、海外渡航がスムーズになったあかつきにはハーデンも自らこの地を訪れ、現地の子どもたちと共にバスケットボールを楽しむに違いない。
文=Meiji
— James Harden (@JHarden13) January 19, 2022
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