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今シーズンのチャンピオンシップ獲得をかけた「NBAプレーオフ2023」は、5月15日(現地時間14日、日付は以下同)にカンファレンス・セミファイナル全4カードが終了した。
NBAファイナルへの出場権をかけたカンファレンス・ファイナルの対戦カードは、イースタン・カンファレンスがボストン・セルティックス対マイアミ・ヒート、ウェスタン・カンファレンスではデンバー・ナゲッツ対ロサンゼルス・レイカーズとなった。
3年前の2020年と同じ4チームが“4強”として勝ち上がった今年のカンファレンス決勝は、イーストが18日、ウェストは17日にそれぞれシリーズ初戦を迎える。
ウェスト第1シードでプレーオフを迎えたナゲッツは、ファーストラウンドでミネソタ・ティンバーウルブズを4勝1敗で撃破。カンファレンス・セミファイナルではフェニックス・サンズを4勝2敗で下し、3年ぶりのカンファレンス決勝進出。
このシリーズでは“ジョーカー”ことニコラ・ヨキッチが平均34.5得点13.2リバウンド10.3アシストのトリプルダブル、ジャマール・マレーが同24.8得点4.8リバウンド6.5アシスト1.5スティールと両輪が大活躍。さらにブルース・ブラウン、アーロン・ゴードン、マイケル・ポーターJr.(いずれも同12.8得点)、ケンテイビアス・コールドウェル・ポープが同10.7得点と、計6選手が平均2ケタ得点を残した。
一方、ウルブズとのプレーイン・ゲームを制して第7シードを勝ち取ったレイカーズは、メンフィス・グリズリーズを4勝2敗で下して1回戦を突破。カンファレンス・セミファイナルでは昨シーズンの王者ゴールデンステイト・ウォリアーズと激突し、このシリーズも4勝2敗で制した。ポストシーズンに入ってから、プレーイン・ゲームを含めてここまでホーム7戦無敗を誇っている。
そのレイカーズでは、カンファレンス準決勝で“キング”ことレブロン・ジェームズがシリーズ平均24.7得点8.8リバウンド5.5アシスト1.2ブロック、アンソニー・デイビスが同21.5得点14.5リバウンド3.3アシスト1.5スティール2.2ブロックと、こちらも両輪が活躍。さらにディアンジェロ・ラッセルが同14.7得点4.2アシスト、オースティン・リーブスが同14.3得点4.2リバウンド3.7アシスト、ロニー・ウォーカー四世が同10.6得点、デニス・シュルーダーが同10.3得点3.0アシスト、八村塁が同7.8得点2.5リバウンドを残した。
ナゲッツとレイカーズは2020年のウェスト決勝で対戦しており、この時はレイカーズが4勝1敗でナゲッツを撃破。だが今から約3年も前のことで、「正直なところ、覚えていない」とヨキッチは言う。
両チームは今シーズン、4度対戦して2勝2敗ながら、いずれも1月10日以前の試合のため、ナゲッツは1月下旬以降に八村やラッセル、ジャレッド・バンダービルト、マリーク・ビーズリーを加えたレイカーズと戦うのはこのシリーズが初となる。そのため、ヨキッチは「僕らは現在のレイカーズとは対戦していなかった。今の相手は基本的に新たなチーム。おそらくすべてが新しく、すべてが違ってくるだろうね」と警戒していた。
もっとも、ナゲッツにとって最も警戒すべき選手はレブロンとデイビスに変わりはない。おそらくレブロンにはフィジカルコンタクトに強く、身体能力の高いゴードンが主なディフェンダーとなるだろう。
また、ナゲッツは今年のプレーオフでカール・アンソニー・タウンズ、ルディ・ゴベア(ともにウルブズ)、ディアンドレ・エイトン(サンズ)というビッグマンと対峙してきたのだが、デイビスは別格とゴードンは見ている。
「AD(デイビスの愛称)は7フィート2インチ(218センチ/公称は208センチ)のガードなんだ。彼はボールハンドリングがすごくうまいし、ファウルをもらうこともできる。それにミッドレンジ、フェイダウェイも打てるから、ビッグマンとしてスキルがそろっている」
ナゲッツがシリーズを突破するためには、当然ヨキッチと初戦の出場が体調不良でクエスチョナブル(Questionable=不確か)と報じられたマレーという2枚看板の活躍は必須。さらにゴードン、ポーターJr.、2020年にレイカーズで優勝したコールドウェル・ポープ、さらにはベンチから登場するブラウン、クリスチャン・ブラウン、ジェフ・グリーンが与えられた役割を着実にこなしていくことが求められる。
対するレイカーズは、ここまでのプレーオフ11試合で出場チーム中トップのオフェンシブ・レーティング(118.7)を誇るナゲッツのオフェンスを少しでもスローダウンしたいところ。ディフェンシブ・レーティングで出場チーム中トップの106.5を記録するレイカーズが、ヨキッチへ自由自在にプレーメークさせないようにデイビスらが体を張ってガードしていきたい。クラッチタイムや重要な時間帯では、レギュラーシーズン3試合でフィールドゴール成功率33.3パーセント(2/6)に抑えたレブロンがマッチアップするケースも出てくるだろう。
そしてヨキッチに次ぐ得点源で打開力もあるマレーに対し、バンダービルトやリーブス、シュルーダーらが中心となって快適にプレーさせないようにしていきたい。
さらに、ウォリアーズとのシリーズではチーム7位のプレータイム(平均16.8分)に終わっていた八村は、16日に投稿されたチームのSNSで練習後にレブロン、デイビスに続いてポストムーブの練習に励んでいた。ゴードンやポーターJr、グリーンといった相手のフォワード陣を相手に攻防両面で奮戦できるかも注目だ。
現地メディアによるナゲッツとレイカーズのシリーズ予想を見てみると、『NBA.com』は4勝3敗でレイカーズ、『ESPN』では専門家17人のうち11人がナゲッツ勝利、『The Sporting News』は5人中4人がナゲッツ優勢、『Clutch Points』は4勝2敗でナゲッツと、全体的に見るとナゲッツ優勢。
もちろん、これはあくまでシリーズ開幕前段階の予想であり、実際はフタを開けてみなければ分からないこともあるだろう。ナゲッツが勝ち上がれば球団史上初のNBAファイナル進出、レイカーズがシリーズを突破すれば2020年以来、3年ぶりの頂上決戦へ臨むこととなる。
今シーズンの頂上決戦へ駒を進めるのはどちらのチームになるのか。まずは17日のシリーズ初戦を楽しみに待ちたいところだ。
文=秋山裕之
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