Bリーグ公認応援番組
『B MY HERO!』
熾烈なNBAで競り勝つには“経験”が不可欠と言われてきた。その経験とはある種、年齢に置き換えることもでき、近年はゴールデンステイト・ウォリアーズや、マイアミ・ヒートなど、練度の高い球団が好成績を収めている。
しかし、2023-24シーズンは若手で構成されるオクラホマシティ・サンダーが、ウェスタンカンファレンスで2位を堅守。また、近年ではヤングコアの成長著しいメンフィス・グリズリーズも、数年後の可能性を感じさせる成長曲線を描いている。
『Fadeaway World』は、各球団の今シーズンの平均年齢を算出。長年実力派たちとしのぎを削ってきたベテランが主役のロスターと、飛ぶ鳥を落とす勢いの若手が牽引するチームの現在地を把握しながら、2023-24シーズンの展望を把握していきたい。
1位:ロサンゼルス・クリッパーズ
平均年齢:29.1歳
意外にもリーグ最年長球団は、クリッパーズだった。序盤の不調が嘘のように、着々とコンディションを上げてきた同球団は、勝率62.5パーセントをマークし、ウェスタンカンファレンスで4位を確保している。
チーム最年長は、居場所に苦しむ38歳のPJ・タッカー。そして、次点にはラッセル・ウェストブルックが35歳、ジェームズ・ハーデンが34歳で続いている。また、2度の頂点に輝いたカワイ・レナードも、サンアントニオ・スパーズでの初優勝から早くも10年が経過しようとしており、年齢は32歳に到達。ポール・ジョージを含むビッグ4は年内に全員が33歳以上になる予定で、キャリアのピークにあることから、今季は是が非でも目に見えた結果を残したいところだろう。
2位:ミルウォーキー・バックス
平均年齢:28.8歳
依然として優勝候補に名乗りを上げ続けるバックスは、イースタンカンファレンスで首位と2ゲーム差に迫っているが、ロスターのイメージ以上にベテラン揃いだ。
ロペス兄弟が共に35歳で平均年齢を高めているが、バックス歴が1年未満のデイミアン・リラードとジェイ・クラウダーが33歳、ここ数年チームの2番手を担ってきたクリス・ミドルトンが32歳と、中心選手の中にも30代前半の選手が多い。
一方で、フランチャイズの要であるヤニス・アデトクンボはまだ29歳のため、怪我がなければ5年程度は全盛期が続く見込み。しかし、ポートランド・トレイルブレイザーズから7度のオールスターを迎えた今、直近でもう1つのリングを獲得したいはずだ。
3位:フィラデルフィア・セブンティシクサーズ
平均年齢:28.6歳
ウォリアーズを0.1歳差で上回ったのが、シクサーズだった。最高齢はニコラ・バトゥームとパトリック・ベバリーの35歳で、1歳年下に仕事人のマーカス・モリスが続く。
しかし、球団の未来は上の2球団よりも明るいだろう。不動のエースであるジョエル・エンビードは、29歳にして完成の域に到達し、今シーズンはリーグトップとなる1試合平均34.8得点でMVPレースもリードしている。また、弱冠23歳のタイリース・マキシーも年々進化を続けており、リーグ13位の平均25.9得点、リーグ16位の平均6.4アシストと成績は上々だ。
なお、20代の主力選手であるケリー・ウーブレJr.とディアンソニー・メルトンの契約は、今シーズン終了時まで。彼らの契約延長や入れ替えも、来シーズン以降の注目すべきポイントになるだろう。
1位:ポートランド・トレイルブレイザーズ
平均年齢:23.9歳
リーグで最もロスターがフレッシュな球団は、ナイキのお膝元を本拠地とするブレイザーズだった。
成績こそウェスタンカンファレンス14位と振るわないが、長年主力を務めてきたリラードとユスフ・ヌルキッチが抜けた1年目であることを考慮すれば、目をつぶれる。何より、24歳のアンファニー・サイモンズに次のフランチャイズの宿命を託し、センターを25歳のディアンドレ・エイトンに置き換えたことで、再建の基盤を整えることに成功した。
また、シェイドン・シャープも高校時代に全米1位の評価を得たポテンシャルを開花させはじめ、今季のドラフト2位指名のスクート・ヘンダーソンも徐々にNBAの荒波に慣れつつある。2024年のドラフトでも高順位選手を指名できれば、数年後には優勝争いに食い込んでくるはずだ。
2位:サンアントニオ・スパーズ
平均年齢:24.0歳
驚くべきことに、リーグ最年長ヘッドコーチのグレッグ・ポポビッチが率いるロスターは、リーグで2番目の若さを誇る。しかし、経験・実力不足は明白で、球団は2018-19シーズンを最後にプレーオフ進出を逃しており、今シーズンもウェスタンカンファレンスの最下位に沈んでいる。
未来への朗報は、フランス生まれの怪物ビクター・ウェンバンヤマが在籍していることと、登録選手の多くが25歳であること。ルーキーから大切に育ててきたケルドン・ジョンソンやデビン・バッセルは信頼が置けるプレーヤーへとなりつつあり、2年目のジェレミー・ソーハンもポポビッチからの期待は厚い。
短期的な改善には疑問符が残るが、老将の知恵と経験は必ずロスターをステップアップさせるだろう。
3位:オクラホマシティ・サンダー
平均年齢:24.1歳
経験に欠ける若いチームが苦しむなか、サンダーは唯一、リーグの常識を覆す希望の星となっている。
ウェスタンカンファレンスで2位につける原動力は、エースのシェイ・ギルジアス・アレクサンダーだ。1試合平均31.4得点、5.7リバウンド、6.4アシストは紛れもなくMVP級の活躍。また、1年遅れてやってきたビッグマン、チェット・ホルムグレンも新人王レースでウェンバンヤマをリードしており、17.6得点、7.6リバウンドの成績に加えて、2.7ブロック、スリーポイント成功率40.7パーセントという驚異のスタッツを記録している。
チームオフェンスのセカンドオプションに名乗りを上げるジェイレン・ウィリアムズ、類稀なパスセンスを誇る大型ガードのジョシュ・ギディー、守備職人のルー・ドートも全員25歳以下。今シーズン、サンダーがプレーオフでどこまで勝ち上がれるのか、多くのNBAファンが注目しているに違いない。
文=Meiji
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