2017.08.01

“強すぎた”エースとしての責任感、中部第一の坂本聖芽「『自分、自分』にならないように」

中部大第一高校(愛知県)のポイントゲッター坂本星芽[写真]=山口剛生
大学時代より取材活動を開始し、『中学・高校バスケットボール』編集部を経て独立。メインフィールドである育成世代から国内バスケット全体を見つめる"永遠のバスケ素人"。

 7月31日にあづま総合体育館で平成29年度全国高等学校総合体育大会 バスケットボール競技大会(インターハイ)の男子準々決勝が行われ、今大会の注目校として取りざたされた中部大学第一高校(愛知県)が、福岡大学附属大濠高校(福岡県)に49-65で敗れた。1回戦99得点、2回戦81得点、3回戦89得点とハイスコアゲームで勝ちあがってきた中部大一だったが、この試合は50点以下に抑えられて敗戦した。

 3回戦までのすべての試合で20得点以上を稼いだエースの坂本聖芽は、この試合15得点。全く点を取れていないわけではないが、その取り方に問題があった。福大大濠が坂本に対して展開したフェイスガードを、1人で破ろうとした。必然的にオフェンスは坂本のところで停滞し、チームオフェンスがよどんだ。

 「パスのもらいざまに仕掛けるという得意なプレーを忘れて、ちょっと強引にやりすぎてしまったかなと。一生懸命やろうという気持ちが強すぎて力みましたね」。常田健コーチは坂本のプレーをこう振り返る。エースとしての責任感は諸刃の剣となって、チームの歯車を狂わせた。

 坂本自身も、そのことは痛いほど理解している。「ボールを持ってドリブルして、1対5で戦っていました。もっと周りを活かして、スクリーンなどを正確に使えばもっといいゲームができたのかなと、試合が終わってから思いました」。目を赤くしながらさらに続けた。「このインターハイで全然成長できませんでした。変わっていないことが自分のダメだったところです」と悔しさで声が震えていた。

「責任があるのはいいこと。でもその思いと、相手のディフェンスを見ての判断がまだ分けられていない」と常田コーチ。坂本も「しっかり状況判断をして、『自分、自分』にならないように。周りのプレーヤーを活かしながら簡単にプレーすることをもう1回追求していきたいです」と冬への課題を見据えた。

文=青木美帆

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