2025.03.05

トライアウトで入団した姫路イーグレッツの御子柴百香…2シーズン目は得点源として奮起

入団2年目にしてチームの得点王に成長した姫路の御子柴百香 [写真]=Wリーグ
フリーライター

 Wリーグフューチャーリーグは3月2日の試合をもってレギュラーシーズンの全試合が終了。3月15日から始まるディビジョン入替戦に出場する三菱電機コアラーズ以外の5チームは、シーズンを終えたこととなる。

「結果は昨シーズンと同じ2勝で変わらなかったのですが、(ヘッドコーチとして)天日(謙作)さんが来て、ガラッと新しいチームになりました。チームとしても個人としてもすごく大きい一歩を踏み出せたシーズンだったと思います」

 最終戦後、このようにシーズンを振り返ったのは姫路イーグレッツ御子柴百香。姫路は惜しくも最下位となったが、「オフェンスではたくさんボール回していいシュート打とうということを意識して一年できたし、ディフェンスもアグレッシブに。それと速いバスケットを心掛けるなど、バスケットの面で一つ成長できたと思います」と、言う。

 また、「なかなか点が入らないチームではあるのですが、練習前後での取り組み、シューティングでも量と質にこだわるなど、いい方向に変わったかなと思います。ただでさえ私たちは仕事があるので、(練習で)コートにいられる時間が少ない。その分、コートにいる時間を大切にしようという意識は強くなったと思います」と、具体的なチームの変化も語った。

 日本体育大学卒業後に入団し、今シーズンが2年目となった御子柴は、163センチのシューティングガード。チームでは得点源を担い、最終戦で惜しくもプレステージインターナショナル アランマーレの樋口鈴乃に抜かれて得点王とはならなかったが、得点ランキング2位、そしてフリースロー成功率では1位となった。1試合平均得点ではルーキーだった昨シーズンの2.54得点を大きく上回る13.84点をマーク。攻撃力も大幅にアップした。

 もともとはドライブからのシュート得意としているが、今シーズンは「3ポイントシュートも開いたら迷わず打つことを意識していました」と、御子柴。さらに「シーズンの序盤は3ポイントシュートか(ドライブで切れ込んで)リング下でのシュートかどちらか極端だったんですけど、フローターやドリブルからストップしてのシュートなども練習して、中間距離でのシュートが増えたのは自分としては成長かなと思います」と、得点パターンの広がりも感じているようだ。

 しかし、飛躍を遂げたシーズンだったとはいえ、御子柴自身は「得点を取るのが自分の役割だったので、それが数字に出たことはうれしいのですが、自分の中では決めるべきシュートがまだまだあったなと、そっちに強く考えがいきます」と、手応えより課題の方が気になるという。

 大学では「ディフェンスを特に頑張っていた」ため、得点をメインで求められるのは高校(東海大学付諏訪高校)以来。そこに関してはやりがいを感じているが、同時に重責も感じていたようで、「(シーズン中は)苦しいときもあって、点を取らなきゃと思えば思うほどシュートが入らなくて…」と、声を詰まらせた。さらに「“あのシュート、決めることができたな”とか今でも思い返しますし、もう少し勝ちに貢献したかったので悔しいです…」と、目を潤ませた。

 そもそも、バスケットボール競技は大学でピリオドを打とうと思っていたという御子柴。だが、大学のコーチからの強い勧めでバスケットを続けることを決意すると、姫路にはトライアウトを受けて入団した。

 そして昨シーズン、Wリーグデビューを果たし、2シーズン目となる今シーズンは時に天日ヘッドコーチから見せてもらったというNBAやアメリカの大学女子バスケットの映像を参考にし、日々レベルアップを図ってきた。その努力もあってフューチャーリーグで大きな存在を放つ選手へと駆け上がったのだ。

 御子柴にとって2シーズン目は達成感や後悔と、さまざまな感情が入り混じったシーズンとなった。だがこの経験がより彼女を強くするだろう。

「いつでも波がなく点が取れる選手になっていきたいです」

 姫路の主軸として1シーズンを戦い抜いたポイントゲッターは、静かに次への闘志を燃やしていた。

来シーズンもさらなる成長が期待される [写真]=Wリーグ

文=田島早苗

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