
2025.03.11
「本当にうれしいです。優勝(プレミアリーグ昇格)だけを今シーズンは求めて、そこに向かってみんなで積み上げてきたものがあったので、それが報われたというのがすごくうれしいです」
Wリーグのフューチャーリーグ優勝を果たし、来シーズンのプレミアリーグ昇格を決めた東京羽田ヴィッキーズの千葉歩は、喜びをこう表現した。
三菱電機コアラーズとの2連戦に連勝すれば優勝が決まるという2月22、23日の試合、千葉は#満員チャレンジと称し、SNSなどで選手たちのコメント動画を公開するなど、注目の対戦に向けて集客などの活動も熱心に行ってきた。
「最初、レンさん(水野菜穂選手)がX(旧Twitter)を通して『満員の中でやれたらうれしいな』という投稿をしていて、それを見た瞬間、あ、これちょっとやってみたいかもと思ったんです。もちろん優勝が決まる大一番という試合をたくさんの人に見ていただきたいというのもあったのですが、私たち大人が必死にコートを駆け回る姿だったり、一個のボールに対してみんながひたむきに頑張ったりする姿というのは、たくさんの人の活力になるのではないかなというのがあって。個人的には力にしてほしいなという思いが強かったんです。たくさんのファンのみなさんの前でプレーしたいという気持ちももちろんありましたが、一番はみなさんの活力になってほしいという気持ちが強くて始めました」と、千葉はその活動の理由を語る。
実際、初日は1953人、2日目は3193人と、立ち見も出るほどの満員に。そして東京羽田の選手たちは多くの声援の中で躍動し、優勝を決めたのだ。
立ち見も出た大田区総合体育館で両チームが激突 [写真]=W リーグ
「正直、満員にはならないのかもしれないなと思っていたのですが、コートに入って全体を見渡したら全部埋まっていて。こんなにたくさんの方の前でバスケットができるのって本当に幸せだし、今日は本当にずっと楽しかったです」
こう語った千葉は三菱電機との2戦目では23分35秒の出場で14得点3アシスト2スティールをマーク。3ポイントシュートにいたっては100パーセントの確率で3本を沈めた。その内の1本は本人が「ぶん投げ」と言う、第3クォーター終了時のブザービーターのロングシュート。「まぐれみたいなのが入ってしまったんですけど、それも本当にみなさんの思いや自分たちの思いが乗って入ったのかなとは思います」と、笑顔を見せた。
優勝決定戦に向けてコート内外での貢献が大きかった千葉だが、実はシーズン中は悩んでいた時期があったという。
「シーズンを通して安定した働きでチームに貢献したいという思いがあったのですが、なかなか安定しなくて。それこそ10週ぐらいで毎週末試合があったときには、毎週(試合に向けて)スイッチを入れないといけないことで肉体的にも精神的にも少しきつさを感じてしまったんです。加えて自分のパフォーマンスも満足できるものではなかったことで落ちてしまった。この頃は結果だけを見て『自分は安定していない』と思ってしまい、それまで自分が積み上げてきたことやスタッツには残らなくても一生懸命やっていたことも認められなくなってしまいました。そうした自分の中で感情のアップダウンがありました」と、振り返る。
それでも「このマインドでいては絶対にうまくいかないというのも分かっていたので、それならどういう心の持ち方で試合に入ることが一番チームのためになるのか、パフォーマンスが出るのかということを考え、自分と向き合いました。それもあって、1月から今日までの試合は気持ちも切り替わり、すごくいいマインドで臨めたのではないかなと思います」と、自分自身をしっかりと見つめ直したことで復調のキッカケをつかんだという。
うまくいかない時期に自身と向き合うことは口で言うほど簡単ではないかもしれない。それに対して千葉は、「私がメンタルの勉強を始めたというのもありますが、どうしてもチームのためになりたいという気持ちがありました。だからそのためには、どちらかというと“向き合うしかなかった”という方が正しいかなと思います」と、言う。
「これだけ一生懸命、真剣にやってるんだったらそれでいいんじゃないかと思えるようになってからは気持ち的に楽にプレーすることができるようになりました。今日(三菱電機との2戦目)も点を取ってやろうと思っていたわけではなく、自分のできることを一生懸命やろうという思いでやった結果、ああいうパフォーマンスが出ました。そういう意味ではコツコツ準備してきたことがいい場面で出たので、今後も引き続き努力はしっかり続けていきたいと思っています」
来シーズンのプレミアリーグ昇格を決めた東京羽田ヴィッキーズ [写真]=W LEAGUE
シーズン中の苦悩も乗り越え大一番で大仕事をやってのけた千葉。3月2日に控える2024-25シーズンの最終戦に向けても「頑張ります!」と目を輝かせていた。
文=田島早苗
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