2018.01.04

篠山竜青を勝利に向かわせる2つの強い想い

琉球戦後、優勝への想いを語った篠山[写真]=山口剛生
バスケットボールキング編集部。これまで主に中学、高校、女子日本代表をカバーしてきた。また、どういうわけかあまり人が行かない土地での取材も多く、氷点下10度を下回るモンゴルを経験。Twitterのアカウントは @m_irie3

 1月4日に開幕した「第93回天皇杯・第84回皇后杯 全日本バスケットボール選手権大会」ファイナルラウンド(準々決勝〜決勝)の男子準々決勝第4試合は、川崎ブレイブサンダース琉球ゴールデンキングスに81−61で快勝した。

 スタートに成功したのは琉球だった。「高いエナジーを持って試合に入ってくれた」と、琉球の佐々宜央ヘッドコーチが振り返ったとおり、速いリズムからのシュートが小気味よく決まり、流れを引き寄せた。このクォーター、琉球は実に8分の5の3ポイントシュートを決める。しかし、対する川崎も黙っていない。残り3分56秒にタイムアウトを取ると、ニック・ファジーカス辻直人が3ポイントシュートで対抗。川崎も9分の5という高確率の長距離砲を決め、流れを引き戻した。

 第2クォーターに入ると、流れは次第に川崎に傾いていく。佐々HCは「我慢の時間帯にミスが出たのがうち。川崎さんはその場面でもきっちり仕事をする。経験の差が出た」と、試合を分析。川崎は12-0のランを含めて、このクォーターで21得点を挙げてペースを掴んだ。

 琉球はゾーンディフェンスで揺さぶりをかけるも、後半に入っても川崎はリズムを琉球に渡さない。ファジーカス、藤井祐眞ジョシュ・デービスがきっちりとシュートを決めて、リードをさらに広げていった。反撃を試みる琉球だが、「大事なところでミスが出た」(佐々HC)ため流れを掴みきれず、川崎を慌てさせることもできなかった。

ファジーカスは、両チーム最多の19得点10リバウンドで攻撃をけん引[写真]=山口剛生

 試合後、メディア対応を行った川崎の篠山竜青は、この大会には様々な想いが交錯していることを明かした。「東芝さんがオーナーとして出場する最後の天皇杯。会社に方々からも激励されて大会に臨んでいる。恩返しの意味も含めて、ぜひとも優勝したい」と、決意を新たにする。さらに昨年の大会では決勝戦に勝ち上がったものの、千葉ジェッツに敗れ去った。「まるでブラックアウトしてしまったように、自分たちから勝ちを逃した感じ。そんな負け方をしているだけに、この大会にかける想いは強い」と、自分に言い聞かせた。

篠山は試合後、「ぜひとも優勝したい」と決意を口にした[写真]=山口剛生

 佐々HCは「ここの雰囲気は独特」と語っていたが、天皇杯初出場の琉球に対し、東芝時代を含め過去3回の優勝を誇る川崎との経験の差が如実に表れた結果とも言えるだろう。それにプラスして篠山の想いがチームを後押しし、川崎は次の戦いに歩を進めた。果たして川崎は準決勝に進出。難敵、シーホース三河と対戦する。

文=入江美紀雄

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