2020.03.10

【B1各クラブ現状チェック】抜群のチームワークを武器に、未知の世界へ〜滋賀レイクスターズ

かつてない好調なシーズンを送る滋賀[写真]=B.LEAGUE
2000年より、バスケットボール専門で取材活動中

リーグ再開を待ちわびるファン・ブースターのために、B1リーグ18クラブの現状をチェックする企画がスタート! “Bリーグ・ロス”の皆さんがお気に入りのクラブの現状を把握して、今後の展望をイメージしてもらえれば幸甚だ。第10回は滋賀レイクスターズ。過去3年とは異なるシーズンの行く末は――。

文=吉川哲彦

デニスHCのチーム作りが奏功

滋賀をけん引する司令塔・齋藤 [写真]=B.LEAGUE


 シーズン中盤まで白星に恵まれず、終盤戦に差しかかってエンジンがかかり、怒涛の追い込みで残留プレーオフを回避。これが、過去3シーズン繰り返された滋賀レイクスターズの戦いぶりだ。迎えた今季も開幕した10月を2勝8敗で終え、またもや同じ轍を踏むかと思われた。

 しかし、その後は昨季までとは異なる展開を見せる。11月と12月をいずれも勝率5割で乗りきり、天皇杯2次ラウンドでは琉球ゴールデンキングスを撃破して初のファイナルラウンド出場を決めた。そのファイナルラウンドではベスト4に入り、リーグ戦も1月は6勝1敗と大躍進。2月も5勝1敗で、ついに“貯金生活”に突入してみせた。

 いずれもアルバルク東京からの期限付移籍である齋藤拓実シェーファーアヴィ幸樹ジェフ・エアーズの活躍がその原動力となっていることは間違いない。しかし、急成長の理由はそれだけではない。就任3シーズン目のショーン・デニスヘッドコーチの戦略が浸透し、チームワークが醸成されたこと、選手のポテンシャルが引き出されたことが何よりも大きい。髙橋耕陽や佐藤卓磨といった若手が伸び伸びとプレーし、新加入の狩俣昌也も中堅らしい落ち着きで要所を締める良い働きを披露。11月8日の富山グラウジーズ戦では、大黒柱の狩野祐介の10本を含む3ポイント20本成功をマークし、昨季作ったリーグ記録を自ら更新した。これもまた、デニスHCのチーム作りの成果だ。

終盤戦の最注目はA東京戦

エアーズ、齋藤、シェーファーの3人はA東京からの期限付き移籍組[写真]=B.LEAGUE


 21勝18敗で、現在の順位は西地区3位。同2位の大阪エヴェッサとの差はわずか3つでしかなく、首位の琉球ゴールデンキングスとも4つの差。今の勢いをもってすれば、地区首位に躍り出るのも時間の問題と言っていいだろう。ただ、滋賀にとってはここからが未知の世界。どのような状況でもチームワークの良さを失わないことが重要となり、チャンピオンシップに進んだ経験のある伊藤大司クレイグ・ブラッキンズのリーダーシップが大きな意味を持ってくるはずだ。

 今後の試合でポイントになるのは、東地区の強豪との戦い方。対戦が残っているA東京と千葉ジェッツは、ともに2シーズン連続ファイナリスト。特にA東京は伊藤と荒尾岳も含めた5選手の古巣ということもあり、ブースターにとっても最注目のカードだ。これを試練の場で終えてしまうか、あるいはさらなる手応えを得るかによって、その後の戦いも変わってくるだろう。自信が備わった今、厚い壁にも怖いもの知らずで立ち向かう姿が楽しみだ。

経験豊富な伊藤がいかにしてリーダーシップを発揮するか[写真]=B.LEAGUE

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