7月も終盤に差し掛かり、落ち着きを見せ始めている国内移籍市場。東西2地区制が導入される2020-21シーズンに向けて、積極的な補強で世間の話題をさらったのはB1のクラブよりB2のクラブかもしれない。
この夏、日本代表にも届きうる実力者やB1で確かな実績を残している外国籍選手のB2クラブへの移籍が相次いだ。B2の頂点、そしてB1への昇格を目指し、有力選手獲得に成功したB2各クラブ。本稿では昨シーズンまでB1のクラブに所属し、今シーズンからはB2に活躍の場を映す注目の選手たちを紹介する。
■マーク・トラソリーニ(レバンガ北海道→茨城ロボッツ)
茨城ロボッツはレバンガ北海道で3シーズンにわたって得点源として活躍したトラソリーニを獲得した。2013年に祖父母の母国であるイタリアでプロキャリアをスタートさせた同選手は、カナダやアメリカ、フランスなどさまざまな国のリーグでプレーしてきた経験豊富なベテラン。2017-18シーズンから北海道に在籍し、加入初年度から1試合平均19.0得点をマーク。翌2018-19シーズンは平均17.7得点、2019-20シーズンも平均17.8得点と安定した活躍ぶりを見せてきた。茨城は昨季B2得点王のチェハーレス・タプスコットも獲得しており、その攻撃力に注目が集まる。
■マイケル・パーカー(千葉ジェッツ→群馬クレインサンダーズ)
“超”積極補強で注目を集める群馬クレインサンダーズ。現時点で7選手をB1クラブから獲得しているが、その中でも抜群の実績を誇るのが千葉から期限付きで加入したパーカーだ。現在39歳のパーカーは200センチ102キロのパワーフォワード。2007年から日本でのキャリアをスタートさせ、2015年には日本国籍に帰化。2016年から所属する千葉ジェッツでは、天皇杯3連覇に貢献するなど確かな存在感を示し、昨シーズンも39試合出場で495得点(1試合平均12.7得点)332リバウンド(同8.5リバウンド)をマークしている。群馬には上江田勇樹やトレイ・ジョーンズなど、パーカーのほかにもかつて千葉でプレーした選手たちが新たに加入しており、千葉のファン・ブースターにとっても注目のチームだろう。
■畠山俊樹(大阪エヴェッサ→越谷アルファーズ)
畠山は大阪エヴェッサから越谷アルファーズに移籍した。現在29歳の同選手は、170センチ70キロのポイントガード兼シューティングガード。青山学院大学卒業後に大阪に入団し、西宮ストークスと新潟アルビレックスBBを経て、2018-19シーズンからは再び大阪でプレーしていた。越谷の青野和人GMは「昨シーズンまで2番起用が多い中で得たものをプラスし、PGとしてゲームを支配してほしいと思っています」と、畠山の活躍に期待を寄せている。なお、越谷は同じく大阪から長谷川智也を獲得。さらに、ホール百音アレックスやアイザック・バッツ、クレイグ・ブラッキンズと昨季B1所属選手を多数チームに加えており、B2優勝も十分に狙える戦力を整えている。
■岡田優介(京都ハンナリーズ→アースフレンズ東京Z)
岡田はBリーグ初年度から在籍していた京都ハンナリーズを離れ、アースフレンズ東京Zに入団した。185センチ81キロのシューティングガードで、これまでトヨタ自動車アルバルク(現アルバルク東京)やつくばロボッツ(現茨城ロボッツ)、広島ドラゴンフライズ、千葉ジェッツ、京都で活躍。日本代表の経験もあり、日本バスケットボール選手会の初代会長も務めた同選手の存在は、チームメートに好影響を与えるだろう。本人も入団発表時のコメントで、「コート上で結果を出すことはもちろん、ポテンシャルに溢れた将来性豊かな若手選手たちに対して良い影響を与えることも自分に与えられた役割だと認識しております」と、コート内外での尽力に意欲を示している。
■藤髙宗一郎(大阪エヴェッサ→バンビシャス奈良)
3x3の選手としても活躍する藤髙は、小中学生時代を過ごした奈良を新天地に選んだ。190センチ90キロのスモールフォワードで現在28歳。2014年に関西大学から日立サンロッカーズ東京(現サンロッカーズ渋谷)に入団し、2017-18シーズンからは大阪エヴェッサでプレーしていた。3x3に本格参入したのは2018年で、現在はOSAKA DIMEに所属。3x3選手として2021年の東京オリンピック出場を熱望しており、本人の意向を奈良とOSAKA DIMEは可能な限り尊重し、サポートしていくという。なお、OSAKA DIMEには川嶋勇人(三遠ネオフェニックス)や晴山ケビン(滋賀レイクスターズ)、鶴田美勇士(山形ワイヴァンズ)などが、藤髙と同じく5人制と3人制の両方でプレーする選手として在籍している。
■相馬卓弥(島根スサノオマジック→佐賀バルーナーズ)
今シーズンからB2に参加する佐賀バルーナーズは、島根スサノオマジックから相馬を獲得した。182センチ80キロで主にシューティングガードを務める相馬は、大阪エヴェッサを経て2017-18シーズンに島根に入団。毎シーズン、1試合平均7.0得点以上を記録するなどチームに貢献していた。佐賀のヘッドコーチは、2019年のワールドカップ王者であるスペイン代表でアシスタントコーチを務めたルイス・ギル・トーレス氏。相馬本人も移籍発表時に「自分の成長を求めて、世界一のコーチのいる佐賀に移籍します」とコメントしており、トーレスHCのもとでプレーすることを喜んでいる様子だ。名将が率いるチームで相馬がどのような働きを見せるのか、非常に楽しみなシーズンとなるだろう。
■“B1→B2”移籍選手一覧
※2020年7月27日時点
※()内は前所属
〇仙台89ERS
笹倉怜寿(アルバルク東京)※期限付き移籍
鎌田裕也(川崎ブレイブサンダース)
ジョシュ・ペッパーズ(富山グラウジーズ)
〇山形ワイヴァンズ
栗原貴宏(宇都宮ブレックス)
柳川龍之介(三遠ネオフェニックス)
鶴田美勇士(京都ハンナリーズ)
〇茨城ロボッツ
中村功平(滋賀レイクスターズ)
マーク・トラソリーニ(レバンガ北海道)
〇群馬クレインサンダーズ
上江田勇樹(新潟アルビレックスBB)
笠井康平(名古屋ダイヤモンドドルフィンズ)
山崎稜(宇都宮ブレックス)
田原隆徳(宇都宮ブレックス)
ブライアン・クウェリ(島根スサノオマジック)
ジャスティン・キーナン(秋田ノーザンハピネッツ)
マイケル・パーカー(千葉ジェッツ)※期限付き移籍
〇越谷アルファーズ
畠山俊樹(大阪エヴェッサ)
ホール百音アレックス(横浜ビー・コルセアーズ)※特別指定選手契約
長谷川智也(大阪エヴェッサ)
アイザック・バッツ(富山グラウジーズ)
クレイグ・ブラッキンズ(滋賀レイクスターズ)
〇アースフレンズ東京Z
綿貫瞬(京都ハンナリーズ)
岡田優介(京都ハンナリーズ)
〇ファイティングイーグルス名古屋
松山駿(富山グラウジーズ)
〇西宮ストークス
今野翔太(大阪エヴェッサ)
福田真生(琉球ゴールデンキングス)
〇バンビシャス奈良
長谷川智伸(琉球ゴールデンキングス)
藤髙宗一郎(大阪エヴェッサ)
〇愛媛オレンジバイキングス
ユージーン・フェルプス(琉球ゴールデンキングス)
坂田央(島根スサノオマジック)
大﨑翔太(島根スサノオマジック)※期限付き移籍