2022.05.12

【山口晋平が千葉優勝のカギを語る】「立ち上がりのエナジーと苦しい時の我慢」

Bリーグ2連覇を狙う千葉ジェッツ[写真]=B.LEAGUE
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 5月12日から戦いの火蓋が切って落とされる「B.LEAGUE CHAMPIONSHIP 2021-22」。5大会連続5回目のCS進出を果たした千葉ジェッツは、Bリーグ2連覇を目指して戦うこととなる。CSでは名だたる強敵が待ち受けているが、連覇するためには何が必要なのか。Bリーグで解説を務める山口晋平氏に話を聞いた。

インタビュー・文=岡本亮
取材日=2022年4月14日

――千葉ジェッツのここまでの戦いぶりについてどんな印象を持っていますか。
山口 昨シーズン優勝したこともあって他チームからのマークが厳しいですが、新加入選手がうまくチームにフィットしました。チャンピオンシップMVPを獲得したセバスチャン・サイズ選手やシャノン・ショーター選手の退団は痛手でしたが、ジョン・ムーニー選手、クリストファー・スミス選手と穴を埋められるプレーヤーをピンポイントで補強できたと思います。

――千葉は今シーズン連敗がなく、7敗のうち6試合が1ケタ差と安定した戦いぶりを披露しました。
山口 昨シーズン優勝した経験もありますし、どういった戦い方をすれば勝てるのか、勝つためのメンタリティーを構築できたのが大きいと思います。大野篤史ヘッドコーチは『エナジーとタフに戦うことが土台として最低限できないといけない』という表現をしていますが、チームとして最後まで戦い抜くことができますし、破れたとしても接戦を演じることができています。

――今シーズン新たに加わった新戦力の評価を教えてください。
山口 千葉は昨シーズン3ポイントシュートを1試合平均1本以上成功させた選手が富樫(勇樹)選手と原(修太)選手だけだったので、チームとしてアウトサイドを抑えられた時の攻め手の少なさを弱点に感じていたようですが、スミス選手が見事にその課題を解決しました。今シーズンは平均5.0本の試投で同2.0本の成功、40.5パーセントの成功率と精度も高い。加えて身体能力も優れていてペイントにアタックできるので、非常に頼りになる選手だと思います。

 また、ジョン・ムーニー選手はまだプロ2年目と若いですがクレバーで得点能力も高く、千葉の要であるリバウンド能力にも長けています。彼がゴール下を支配しているからこそ、千葉は大きく崩れずに戦えているのだと思います。

ムーニーは平均ダブルダブルを記録するなどチームに欠かせない活躍を見せている[写真]=B.LEAGUE

「ここ一番で相手に押し負けないことが重要」

――今シーズン最も成長した選手は?
山口 佐藤卓磨選手ですね。昨シーズン千葉に加入してディフェンス面での成長は見られましたが、得点面では滋賀レイクスターズ時代に比べると少し物足りない部分がありました。今シーズンはディフェンスでのポジショニングや戦術などが体に浸透したこともあり、オフェンス面では余裕を持ってシュートが打てるようになりました。3ポイントシュート成功率は昨シーズンに比べて約7パーセントも向上しており、成長が明確に数字として表れています。

佐藤は今季3ポイント成功率を大きく向上させた[写真]=B.LEAGUE


――シーズン終盤に先発を経験した赤穂雷太選手の成長も著しいですね。
山口 赤穂選手は196センチとサイズがありながら2番(シューティングガード)と3番(スモールフォワード)をこなせる稀有な選手です。このサイズでハンドリング能力にも優れていて、速攻で走ることやボールプッシュにも非常に積極的。力強いプレーを得意としているという意味でも、佐藤選手と原選手がいいお手本になると思います。特に原選手は生え抜きで、4〜5年かけて優勝チームのレギュラーになるまで成長しました。赤穂選手も彼らのように成長することを期待しています。

――大学2、3年次に特別指定選手としてプレーし、昨年12月にプロ契約を結んだ大倉颯太選手も心強い存在です。
山口 大倉選手は赤穂選手とともに終盤戦で存在感を増しています。昨シーズンのCSでブレイクしたコー・フリッピン選手が移籍してしまいましたが、大倉選手は同様の活躍をする可能性も十分あります。両選手の存在もあり、優勝した昨シーズンを上回る戦力が整いつつあるのではないでしょうか。

――千葉はBリーグ2連覇を目指していますが、連覇するために必要なことは?
山口 立ち上がりにエナジーを出して先手を取れるかですね。千葉は立ち上がりに先行して試合を優位に進め、タイムシェアしながら試合をコントロールするのが勝ちパターンです。ただしCSではここまで勝ち残った力のあるチームばかりですし、レギュラーシーズンに増して試合の入り方には注意が必要です。いつも通りの力を出せれば優勝できる力はあるので、まずは立ち上がりで相手を上回るエナジーを出せるか、思い通りの展開にならなかった時に我慢できるかが大事だと思います。

――Bリーグ2連覇を目指すうえでの懸念材料を挙げるとしたら?
山口 ゲームの入り方を失敗しないことですね。千葉は相手に先行されたらそのまま逃げ切られてしまうチームではありませんが、逆転勝ちが特に多い琉球ゴールデンキングスと比べると、追いつけずに負けてしまった試合が多い。千葉にも追いついて逆転する力があるのは疑いようのないことですが、追いつくことに力を使いすぎるのは危険です。千葉は天皇杯を3連覇したこともあって一発勝負の経験が豊富ですし、勝負強い選手がいるので大丈夫だとは思いますが、CSでそのようなゲームをしないことが大切です。

――Bリーグ2連覇へのキーマンは?
山口 スミス選手ですね。彼のように入り出したら止まらないという選手は千葉には富樫選手以外にはいないので、彼にいかにいい形でボールを預けることができるか。スミス選手が好調であればオフェンス面で常に優位に立てますし、苦しい時にも状況を打破できる選手として期待しています。

山口氏は千葉ジェッツ2連覇のキーマンにスミスを挙げた[写真]=B.LEAGUE

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