2024.05.29

決戦直前に“ファンの笑顔”で一致団結「カープやサンフレに負けたくない」広島は感謝のB初優勝

広島はファンの後押しも下剋上のエナジーに[写真]=B.LEAGUE
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■「試合前に選手たちへ見せた」

 5月28日、Bリーグの年間王者を決める「日本生命 B.LEAGUE FINALS 2023-24」第3戦が行われ、広島ドラゴンフライズが65-50で琉球ゴールデンキングスに勝利。Bリーグ創設8年目にして、初めてB2経験のあるクラブが年間王者に輝いた。

 1勝1敗で迎えた最終決戦の会場は、広島のホームアリーナから670キロ離れた横浜アリーナ。現地で1万2209人が熱視線を送った試合は、立ち上がりから広島が主導権を握り、一度も逆転を許さない盤石の試合運び。最後はワイルドカードからの下克上を掲げる広島が、前年王者の琉球を突き放すようにして頂点まで駆け上がった。

 広島の指揮をとったカイル・ミリングヘッドコーチは、試合直後の場内インタビューで「1、2、3、勝ちじゃけぇ!勝ちじゃけぇ!勝ちじゃけぇ!」と、お馴染みの掛け声でファンに優勝を報告。Jリーグ・サンフレッチェ広島の本拠地であるエディオンピースウイング広島で開催されたパブリックビューイングに集まった7700人のファンも「勝ちじゃけぇー!」と歓声を上げた。

 アメリカ出身で現在49歳のミリングHCが広島にやってきたのは、B1昇格2年目で新型コロナウイルスの影響が残っていた2021-22シーズン。「私がHCに就任した3年前は観客席が半分空いているようなサンプラザホールで試合をしたこともありました」と、懐かしむように振り返りつつ、「そういった中でもスタッフや選手たちは信じ続けてやってきたし、ファンのみなさんも私たちを信じてサポートし続けてきてくれたからこそ、こういった成功を成し遂げられたんじゃないかと思います」と、感謝の思いも込めながらクラブの歩みを回顧。

 優勝を決めた28日の第3戦直前には、「西谷(亮一)アシスタントコーチがモチベーションビデオを作ってくれて、試合前に選手たちへ見せた」といい、「その映像にはファンのみなさんの写真や、ファンの皆さんの笑顔が詰め込んでありました。今日は『ファンために戦おう』と声をかけて選手たちを送り出しました。皆さんが諦めずにサポートしてくれたからこそここまで来れたので、本当に感謝の思いしかありません」と、熱戦の舞台裏を明かした。

■ 優勝の立役者「なんとか恩返ししたい」

第2戦、中村のパスを受けた山崎が3Pを決めた場面は今シリーズのハイライトに[写真]=B.LEAGUE


 そしてもう一人、“広島”に対する特別な思いを語った選手がいた。移籍1年目でチャンピオンシップMVPに輝く活躍を見せた山崎稜だ。ファイナルでは第1戦、第2戦と2試合連続で2桁得点をマークし、優勝を決めた第3戦も武器である3ポイントシュートを2本成功。負けたら終わりのCSで抜群の勝負強さを見せた立役者の一人だ。

 埼玉県出身で優勝経験ある宇都宮ブレックスにも在籍していた山崎は、「広島ではカープとサンフレッチェの知名度が高くて、それに負けたくないという思いもあった。広島のバスケット、ドラゴンフライズをどんどん根付かせるというか、もっともっと広めていきたいと思ってもいた」と、新天地で戦う今シーズンに込めていた思いを吐露。

「自分たちが勝つことで注目してくださるとわかっていましたし、今日は新しくできた大きなスタジアムでパブリックビューイングもしてくださって、本当に注目されているんだなと感じました。そういう広島県全体で応援して下さる方々になんとか恩返ししたいという気持ちで戦えた。沢山の方が応援してくださって感謝しています」と、改めて広島を後押ししたファンに謝辞を述べた。

 今シーズンのBリーグは、昨夏のワールドカップで躍進した“日本代表効果”が日本全国で見られ、広島も過去最高のシーズン平均入場者数4618人を記録。2024-25シーズンの広島は、Bリーグ王者であると同時に、プロ野球の広島東洋カープ、Jリーグのサンフレッチェ広島にも負けない“県民の誇り”として、シーズン開幕を迎えることになりそうだ。

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