2020.02.18

初の全国制覇を目指す東山が全試合100点ゲームで近畿新人を制覇

2年連続5回目の優勝を果たした東山高校 [写真]=バスケットボールキング
バスケットボールキング編集部。これまで主に中学、高校、女子日本代表をカバーしてきた。また、どういうわけかあまり人が行かない土地での取材も多く、氷点下10度を下回るモンゴルを経験。Twitterのアカウントは @m_irie3

京都勢2校が決勝にコマを進める

東山の米須玲音はチャンスと見れば自身でゴールを目指した [写真]=バスケットボールキング


 30回目を数えた近畿高等学校新人大会が2月15日、16日の2日間にわたって、おおきにアリーナ舞洲(大阪市)で開催。初日を終え、男子のベスト4に名前を連ねたのは昨年と同じ東山高校(京都府)、報徳学園高校(兵庫県)、関西大学北陽高校(大阪府)、洛南高校(京都府)が勝ち残った。

 準決勝、東山と報徳学園の対戦は、昨年から主力を務める選手が残ったチーム同士の対戦だけに、熱戦が期待された。

 報徳学園の丸山賢人の3ポイントシュートでスタートしたこの試合、東山は司令塔の米須玲音、センターのムトンボ・ジャン・ピエールを軸にじっくりと構える。互いにハーフコートオフェンスを中心にゲームを組み立てるが、チャンスと見れば東山のウイング、中川泰志西部秀馬らが速攻の先頭を走って効果的に加点すると、次第に東山ペースとなる。報徳学園はデイビット・コンゴロウにボールを集めて反撃を試みるが、そこをピエールがシャットアウト。東山が100-78で報徳を破り決勝進出を決めた。

 もう1つの準決勝は、昨年、初めて近畿新人でベスト4に入った関西大北陽が今大会19回の優勝を誇る洛南に挑戦。しかし、この対戦では、互いのキープレーヤー、洛南の西村慶太郎、関西大北陽の金近廉が初日にケガを負い、準決勝に出場できないという状況となった。

 これによるアクシデントは絶対的エースの金近を擁する関西大北陽に大きくのしかかった。試合後、関西大北陽の渡辺真二コーチは「金近がアンダーの代表活動で抜ける時も多くなるので、他のメンバーが成長できるチャンス」と臨みたかったが、「朝からチームは放心状態」(渡辺コーチ)と戦う前からその準備ができず。洛南が88-55で勝利し、東山との京都府対決に臨むことになった。

序盤のビハインドも慌てず。第2クォーターから東山がゲームを掌握

打点の高いシュートが魅力の淺野ケニー [写真]=バスケットボールキング


 迎えた決勝戦、東山の高さに対して、洛南が持ち前の早いパス回しで対抗。序盤は洛南が主導権を握る展開となる。1年生センターの山岸雄介がピエールとの距離を取ったハイポストからのジャンプシュートを小気味よく決めて、第1クォーターは19-17とリードを奪った。

 しかし、東山は慌てない。第2クォーター、ピエールのゴール下やリバウンドショット、さらに西部が連続で速攻を決めると、反対に10点ものリードを奪い自分たちのペースに持ち込んでしまった。

 洛南は小川敦也の1対1、淺野ケニーの打点の高いシュートで反撃を試みるが、ピエールがゴール下を制圧。米須も次々とアシストを決めて最後まで洛南にペースを渡さなかった。終わってみれば、100-78と洛南を寄せ付けず、近畿新人優勝を果たした。

 優勝した東山の大澤徹也コーチは、「ウインターカップが昨年末に終わってから(新チームがスタートしたという)時間がない中でどういうメンバーで構成しようか、試行錯誤でした。米須、ジャンピ(ムトンボ・ジャン・ピエール)、西部を中心に点が取れますが、まだまだ安定していない部分もあります」と、チーム状況を話してくれた。「ケガ人も戻ってきてサイズアップもしたので、まずはハーフコートオフェンスの精度を上げたいと思います。ただセットで重い展開になることもあるので、それをどう打開していくか。合格点は出せませんか、主力の3人(米須、ピエール、西部)以外も頑張ったと思います」と大会を総括。ただし、もちろんこれで満足をしているわけではない。「今年は勝ちきれるチームを作りたい。いろんなことにチャレンジして、“東山らしさ”に新しいスパイスを加えたチーム作りをしていきます」と今後の展望を語った。

 東山はこれで2年連続5回目の近畿新人の優勝。初の全国制覇に向けて、好スタートを切ったと言えるだろう。

文・写真=入江美紀雄

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