2023.12.24

強豪校からライバル校へ…京都両洋・木谷夢菜を動かす新天地での挑戦

本格復帰戦で京都両洋のは17得点をマーク [写真]=伊藤大允
元バスケットボールキング編集部。主に国内バスケ(Bリーグ、高校・大学バスケ)を中心に取材活動中。バスケでオウンゴールしたことあります。

「自分としては復帰戦だったので、みんなからの『おかえり』という声がすごく嬉しかったです」

 京都両洋高校(京都府)の木谷夢菜(2年)は、昨年のウインターカップ1回戦で1年生ながら25得点を挙げている。新チームとなった今年はエースを担う点取り屋だ。しかし、インターハイ予選決勝の直前に左足首を負傷。5月末のことだった。

「すごく苦しかったです。今年は京都精華さんとのインターハイ予選決勝もウインターカップ予選決勝も出られてないですし、自分がエースにも関わらずチームの役に立ててなかったので本当に辛かったです」

 一時はコートに戻れた時期もあったが、ようやく復帰の目処が立ったのは「SoftBank ウインターカップ2023 令和5年度 第76回全国高等学校バスケットボール選手権大会」が開幕する約1週間前。チームは12月23日の初戦で清水ケ丘高校(広島県)とのハイスコアゲームを113−99で制した。だが、木谷のプレータイムは約10分に制限され、次戦での“本格復帰”に備えた。

 2回戦の相手は兵庫県代表の三田松聖高校。両チームは6月の「第70回近畿高等学校バスケットボール大会」でも顔を合わせており、その試合は三田松聖が3点差で競り勝った。「あの時はケガでチームの力になれなかったですし、みんなとも『今日は絶対に勝とう』って話していました」。白熱した展開となった一戦、京都両洋の背番号7が躍動した。

 試合は、第3クォーターを終えて京都両洋が2点リード。最終クォーター序盤で70−72とされると、ベンチスタートの木谷がコートに入った。

「今はピンチの場面を任されているし、自分がこのチームのエースなので『絶対にこのチームを勝たせる』っていう気持ちでコートに立ちました」

 攻撃の中心を担う木谷は、ボールを受ければ果敢にリングへアタックし続けた。2点をリードした残り5分14秒にはレイアップで4点差とすると、同3分17秒には鮮やかな個人技から得点を挙げて8点差に拡大。同2分16秒には力強いドライブからバスケットカウントを沈めて勝利を大きく手繰り寄せた。

 エースの得点を機に三田松聖を突き放した京都両洋は、終わってみれば94−76で勝利。6月のリベンジを果たし、試合後は選手だけでなく2階席で戦った応援団も涙を流した。

 木谷は15分48秒のプレータイムにも関わらず、合計17得点をマーク。40分プレーするにはまだ時間がかかるものの、勝負の第4クォーターで10得点を挙げて仕事を果たした。

 中学時代は京都精華学園のキャプテンとして全国大会にも出場。中高一貫の同校に進んでいれば、今頃日本一も経験できている。しかし木谷は、京都両洋の門を叩くことを選んだ。

「3つ離れてる姉がいるんですけど、 姉も京都両洋なんです。いつも姉がすごく楽しそうにプレーしてたので、自分も吉田(聡)先生の下でバスケットをやりたい気持ちになりました。もちろん、京都精華さんでそのまま中学のチームメイトとやっていく選択肢もあったので葛藤もありました。でも、新しい環境で挑戦していきたい気持ちの方が強くなりました」

 彼女の新天地での挑戦はこれからが本番だが、3回戦では桜花学園高校(愛知県)への挑戦権を獲得。チームにとっても目標にしていた場所だ。

「この大舞台で桜花学園さんと試合ができるのはうれしいことですし、チームとしても挑戦したいという気持ちを持ってウインターカップに来ました。明日はみんなでやりきるだけです」

 現在のコンディションを考慮すれば、明日もコートの立てる時間は限られるだろう。だが、その中でも木谷は「自分が出ることによってチームメイトに安心感を与えたり、『何とかしてくれる』って思ってもらえたりできるように背中で引っ張っていきたい」と、チームのためにベストを尽くす。

文=小沼克年

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