2024.06.27

近畿大会を制した東山高校「収穫が多くあった」瀬川琉久、佐藤凪らを軸に夏のリベンジへ

瀬川琉久を軸に近畿を制した東山高校[写真]=田島早苗
フリーライター

■ 新戦力も武器に「試行錯誤している最中」

 京都決戦を制したのは東山高校だった。

 6月23日に行われた「第71回 近畿高等学校バスケットボール大会」の男子決勝は、京都1位の東山と京都2位の京都精華学園高校との顔合わせとなった。

 試合は、出だしに瀬川琉久(3年)の連続得点で先行した東山が、その後も着実に得点を重ねていく。しかし、対する京都精華学園も203センチのソロモン レイモンド(3年)の高さを生かしたシュートや新開温矢(3年)の強気のドライブなどで食らいついていく。それでも23-17と東山がリードし、第2クォーターでは中盤から東山がジリジリとリードを広げ、前半は東山14点リードの51-37で終了。後半も危なげない戦いぶりを見せた東山が96-73とハイスコアで勝利した。大会連覇を達成した東山は、31得点の瀬川を筆頭に19得点の佐藤凪(2年)、12得点の小野寺星夢(3年)が気を吐いていた。

「インターハイに向けてやらないといけないことがたくさんある中、前半と第3クォーターの序盤あたり(の戦い)で、少し可能性が見えてきたかなというゲームでした」と、決勝戦を振り返ったのは東山の大澤徹也コーチ。さらに「インターハイ予選のときはボールが止まってしまって個で打開するようなところがありましたが、少しずつボールムーブがうまく行くようになったかなと感じました。収穫が多くあった大会だったと思います」と、4試合を通じて手応えも大いに感じたようだった。

 東山は、北海道で行われた昨年のインターハイで準優勝。今年も優勝候補の一つに挙げられている。昨年もチームの中心として引っ張った瀬川、佐藤凪が健在で、そこに四日市メリノール学院中学校時代に全国中学校大会、ジュニアウインターカップで優勝を果たした中村颯斗(1年)︎が加入。「昨年から主力として試合に出ている選手も多くいるので、その選手たちを中心に、新しく入った選手たちを含めて新たな長所を見つけて、今(戦い方を)試行錯誤している最中です」と、指揮官は現状を語る。

■ 「ああいった役割をしてくれると…」主軸だけじゃない仕事人

決勝で瀬川、佐藤に次ぐ12得点を挙げた小野寺星夢[写真]=田島早苗


 昨年、瀬川、佐藤凪らとともに『三銃士』と呼ばれ、チームを引っ張った佐藤友(東海大学1年)が今春卒業。佐藤友は、得点だけでなくリバウンドやディフェンス、数字に表れない泥臭いプレーでも貢献した得難い存在であったため、その穴は決して小さくない。だが、瀬川、佐藤凪はもとより、スーパールーキーの中村、そして昨年から試合経験を積んできた南川陸斗(3年)など今年も実力ある選手が揃っているだけに、大澤コーチの先のコメント通り、「新しい長所」を引き出した戦い方を夏に向けて構築しているところだ。

 もちろん、主軸だけでなく、昨年のようにセカンドユニットもカギとなる。その点では「決勝の第2クォーターでの彼らの頑張りがチームに活力を与えていたので、セカンドユニットは大収穫ぐらいの収穫だったと思います」と、大澤コーチは近畿大会決勝でのバックアップメンバーたちの奮闘を手放しで称えた。特に松島慎弥(3年)は積極的なリバウンドも光ったが、これについても「あれがうちの生命線。松島がああいった役割をしてくれるとすごくチームは勢いづきますね」と、語った。

 安定した力で近畿王者となった東山だが、見据える先は夏の頂点。昨年は、福岡第一高校(福岡県)ら強豪を倒して決勝まで辿り着いたものの、決勝では大会の台風の目となった日本航空高校(山梨県)の勢いを止められずに惜敗。悔しい銀メダルとなった。そのときの思いを知る選手が多い今年はリベンジの年。近畿大会を通じて得た課題を修正しながら、福岡の地で行われるインターハイでの悲願達成を目指す。

取材・文=田島早苗

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