2024.07.12

強固なディフェンスと総合力の高さで岐阜女子が桜花学園に競り勝ち3年ぶりに東海大会制覇

3年ぶりに東海大会を制して喜びに湧く岐阜女子のメンバー [写真]=田島早苗
フリーライター

 岐阜メモリアルスポーツセンターにて行われた「第71回東海高等学校総合体育大会バスケットボール競技」は、6月29、30日の2日間にわたって熱戦が繰り広げられた。

 初日の1、2回戦を終えて女子のベスト4の顔ぶれは岐阜女子高校(岐阜県)、桜花学園高校(愛知県)、浜松開誠館高校(静岡県)、安城学園高校(愛知県)に。そして決勝は、準決勝で浜松開誠館に67−42で勝利した岐阜女子と安城学園に131−46で快勝した桜花学園との対戦となった。

 決勝戦、幸先良くスタートしたのは桜花学園で、金澤杏(2年)のドライブからのシュートで先制点を奪うと、深津唯生(3年)が続きリードする。しかし、岐阜女子も三宅香菜(2年)、安藤美優(3年)らで対抗。第1クォーターは13-13の同点で終えることとなった。

 第2クォーターに入ると、インサイドのディヤイ ネイ(3年)を軸にインサイドとアウトサイドとでバランス良く攻撃を仕掛ける岐阜女子がわずかにリードを奪う。桜花学園は深津を中心に食らいつくが、後半に入っても形勢は変わらず。それでも第3クォーター中盤には白石弥桜(3年)や阿部心愛(3年)らで意地を見せた桜花学園が点差を3点に詰めてこのクォーターを終えた。

桜花学園は白石弥桜等の攻撃で対抗したが… [写真]=田島早苗


 そして第4クォーター出だしには連続得点で逆転に成功した桜花学園。だが、ここで慌てなかった岐阜女子は残り約5分から思い切りの良い攻めなどで一気に点差を広げる。スティールなどディフェンスでの貢献も大きかった小松美羽(2年)の活躍もあり、粘る桜花学園に主導権を渡さず。最後は58−51で勝利し、地元開催の東海大会で3年ぶりの優勝を飾った。

「ロースコアはうちのゲームだと思います。(2月の)東海新人大会でもディフェンスは成功していたけれど、点が取れなかった。広島(3月末の全関西大会)で対戦したときも同じような感じでしたので、十分戦える手応えは持ってはいました。ただ、(決勝は)ラッキーシュートなどもあってたまたま勝っただけだと思います」

 優勝の喜びにも謙虚な言葉で感想を語った岐阜女子の安江満夫コーチ。春以降の得点力アップには「春の段階ではまだ足がしっかりできていなかった」が、今大会の決勝でも14得点9リバウンドを記録したディヤイ ネイの存在を挙げていた。また、指揮官は「三宅が非常に良くなっていて、小松も大事なところで頑張ってくれた。それと林琴美(3年)が(ケガから)復帰してくれたことも、チームとしては非常に大きかったです」とも語った。

岐阜女子の安江コーチは勝因の一つに2年生の三宅香菜(写真右)、小松美羽の成長を挙げた [写真]=田島早苗


 ハードなディフェンスから勝機をつかんだ岐阜女子。「スーパースターがいるチームではないのですが、みんながそれぞれにしっかり仕事をする。チームとしてディフェンスを機能していけば、岐阜女子らしい戦い方ができると思います。これがうちのチームなので」と、安江コーチはいう。今年は昨年の絈野夏海(東京医療保険大学1年)のような高校時代から代表候補の選ばれ、超が付くほどのポイントゲッターは不在だが、決勝でも見せたように、インサイド、アウトサイドともにどこからでも得点が取れることが特長で、攻防において総合力の高いチームだ。

「こういった重たいゲームをものにしていくというのはすごく大事。こういうことは経験の中でしか教えてあげられないことなので、選手たちにとってもいい経験になったと思います」(安江コーチ)と、東海大会決勝での戦いもチームにとっては大きなプラスとなるだろう。

 この結果により岐阜女子は福岡で開催されるインターハイには第2シードでの参戦となった。また、敗れはしたが、個々の能力の高さがある桜花学園も攻撃力は抜群。両チームともに8月のインターハイでは優勝を争う存在として大いにその活躍が期待される。

文=田島早苗

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