2024.12.31

ウインターカップ3連覇の京都精華学園・桃井優が欠かさなかった“ルーティーン”

京都精華3連覇達成の立役者の1人、桃井優 [写真]=SoftBank ウインターカップ2024
フリーライター

ディフェンスを武器に夏冬3連覇に貢献

 12月28日、『SoftBank ウインターカップ2024 令和6年度 第77回全国高等学校バスケットボール選手権大会』の女子決勝が行われ、京都精華学園高校(京都府)が大会3連覇を達成した。

 京都精華学園は附属の中学校から高校へと内部進学する選手が多いが、外部の中学校から入学し、高校で活躍する選手もいる。その一人が桃井優(3年)だ。

 京都市立西ノ京中学校出身の桃井は、中学時代は京都精華学園中学と京都1位を争っていて、中学3年のときには京都精華学園中学の選手たちとともに国民体育大会(現国民スポーツ大会)の京都チームに選出されている。

外部進学の桃井は1年次からスターターを担った [写真]=伊藤大允


 指揮を執る山本綱義コーチは、「外部から来た選手はまず1年生から試合に出します。それこそ内部から上がってきた選手に甘えが出てくるので、外部の選手を起用することによって相乗効果でよくなると考えているからです。もちろん、そこでチャンスを生かす選手もいればそうでない選手もいますが、あえてチャンスは与えるようにしています」と、言う。

 1年生のころからスターターを担い、インターハイ、ウインターカップと3年連続優勝を経験した桃井はそのチャンスをつかんだ選手とも言えるだろう。

「精華の初優勝からここまで奇跡的に私はメインコートにスタートで立たせてもらっています。外部生として最初は何も分からず、全国の経験もなかったので、下級生の頃は自分が何かしたというよりは、先輩たちのおかげで勝てました。でも、今年は副キャプテンにもなったのでそんなことも言ってられないし、チームのために責任感を持った行動を取らないといけないと思っていました。チームのためを一番に考えて行動しましたが、その結果が後からついてきたのかなと思うとうれしいです」

 ウインターカップ優勝後、桃井はこのように喜びの言葉を語った。また、持ち味のディフェンスはもとより、今大会は得点にも積極的にからんでいたが、これには「基本的にはディフェンスで起用してもらうことが多いのですが、今年は、ディフェンスはもちろん、オフェンスでも自信を持ってプレーしていたし、チームのことを考えてプレーしていたら勝手に得点を重ねたという感じでした。個人としては平均的に点を取れたかなと思います」と、コメントした。

キャリアある選手たちに追いつくために取り組んだ自主練習

「体力がないので、家に帰ってから走りに行ったりしています」

 このように桃井が教えてくれたのは今から1年半前、高校2年生のインターハイ前のこと。家の周りを走るだけでなく、「(母校の)中学校が夜練習を週に2回やっているので、そこに行って体を動かしています」とも語っていた。

 全国大会で好成績を残している京都精華学園中出身の選手たちと肩を並べるには人より多く練習をしないといけない。「自分のできることをもっと引き上げたい」という思いを抱いていたのだ。

 最上級生となり、今や押しも押されもせぬ京都精華学園の主力となった桃井だが、ウインターカップの優勝後、今でも自主練習を続けているのかと尋ねると、「はい。もうルーティーンみたいな感じなんです。週2回は(高校の)練習が終わってからそのまま自転車で母校に行って。ちびっこを教えたり、シュート打たせてもらったり、ゲームに入ったりと自由にさせてもらっています。それに私はシュート確率が課題だったので、シュートをみんなよりも打たないとチームに貢献できないと思い、体育館を借りて手伝いをする分、最後はシューティングさせてもらって調整していました」という答えが返ってきた。

チームメートと喜びを分かち合う桃井(左) [写真]=SoftBank ウインターカップ2024


 そうした向上心と努力の積み重ねで不動のスターターとなった桃井は、「外部生として入学しましたが、内部と外部の垣根を超えていつも優しく、おもろい話をしてくれたのが、ほんまに心の救いだったので3年には感謝しています」と、同級生への思いを語る。そして最後に「1、2年には仲の良さで来年も頑張ってほしいと思います」と、4連覇へと挑戦する後輩たちに笑顔でエールを送った。

文=田島早苗