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「京王 Jr.ウインターカップ2024-25 2024年度第5回全国U15バスケットボール選手権大会」(以下Jr.ウインターカップ)の女子1回戦で岐阜ダークプリンセス(岐阜県)と対戦した新潟清心女子中学(新潟県)。ともに大会の常連でもある強豪チーム同士の対戦は予想に違わぬ接戦となった。試合が動いたのは後半。前半を34−33と1点リードで折り返した新潟清心女子が後半に爆発。特に目を引いたのが後半だけで18得点(合計27得点)を挙げた加地百花だ。
登録では身長169センチの加地だが、指導する坂本一文ヘッドコートいわく「すでに170センチを超えている」とロスターでは2番目の高身長。しかし、ポジションはチームの2枚看板の一人である若槻悉とともに2ガードを構成。ボール運びから得点でチームをけん引する。
まず注目したいのがリバウンドから1人でシュートを決めきる走力やスピード。加えて1対1の場面でもチェンジ・オブ・ペースやハンドリングで抜き去る能力も兼ね備えており、スケールの大きなポイントガードに成長するポテンシャルを秘めている。
2回戦では大会2連覇中の京都精華学園中学(京都府)と対戦。持ち前の高さを生かした攻撃に苦しむ新潟清心女子は前半で25−39でリードを奪われる。後半も試合を通して46得点を挙げたオディア カウェル リッツを止めることができず、47−93で敗退した。
2024年8月に行われた「第54回全国中学校バスケットボール大会(以下全中)」は新潟清心女子の地元、長岡市と三条市で開催。坂本HCは「最終日に残る」を目標にチーム作りを進めてきた。しかし、予選リーグを突破した全中では決勝トーナメント1回戦で後に準優勝となった樟蔭中学(大阪府)に48−55で敗れ、大会を終えることになる。
そこで、「冬にリベンジしようと」と切り替えて挑んだJr.ウインターカップだった。しかし、組み合わせが決まると、1回戦を突破すると戦うのが前宙を制して大会連覇を目指す京都精華学園中学。ならば「この試合は決勝戦だよ。このような舞台でプレーできることはないから、チャレンジャーのつもりで戦おう」と坂本HCは選手たちに声をかけた。
「戦力的には若槻と加地の2人が中心で、他の子は普通の子。一生懸命、毎日毎日練習してアウトサイドシュートが入るようになりました。限界までやれたのかと思います」
と、チームをねぎらった坂本HC。加地について聞くと、「1年から全中でも試合に出させてきました。大きいからとか外があまりできなかいからといって、(諦めず)ずっとガードをさせてきました」と、将来性を買って司令塔として育ててきた。「3年間でここまで来たかという感じ。いい経験を積んできた」と、振り返った。
加地にガードでのプレーについて尋ねると、「ゲームメイクが好きです。ボールにたくさん触れるし、その分責任感を持ってプレーしています」とコメント。続いて、目標にしている選手を聞くと、「ディフェンスでは福岡第一(高校・福岡県)の宮本ツインズ(聡・耀/2年)。激しいディフェンスから速攻を出せるような選手になりたいです。オフェンスでは瀬川琉久選手(東山高校3年)。パスもうまいし、自分で行くところはいくし。ジャンプシュートや3ポイントも決めるし。状況判断してゲームメイクできるのですごいなあと思ってます」。
「ジャンプシュートだとどうしても一旦止まらなければいけないのですが、フローターなら流れで打てるので早くシュートに行けます。京都精華のように大きな相手と対戦するときの対策で夏から練習して、この試合に臨みました」(加地)
本人は「まだまだです(笑)」と謙遜するが、このテクニックを完全に身につけられれば、高校のステージでも注目を集める選手になるはず。未来の目標や夢を聞くと、「自分ができるところまで上を目指して頑張りたいと思います」と前を向いた。
慣れない取材にドギマギしながら、それでも自分の思いはしっかりと表現できるのが加地。しかも笑顔を絶やさずハキハキと受け答えをする姿勢にも大きな将来性が見えた気がした。
文=入江美紀雄