2022.08.02
6月29日に開催される「FIBAバスケットボールワールドカップ2019 アジア地区1次予選」のWindow3を控え、“BOOMERS(ブーマーズ)”ことオーストラリア代表(FIBAランク10位)が来日した。
昨年11月27日に行われたWindow1で、男子日本代表(同48位)はオーストラリア代表に58-82で敗れているとはいえ、現在4連敗中の日本にとって、2次予選進出を懸けたオーストラリア戦は勝利が必要。しかしながら、今回のオーストラリア代表には2人の現役NBA選手が加わり、ますます手強くなっている。日本代表はマシュー・デラベドバ、ソン・メイカー(ともにミルウォーキー・バックス)という強敵とも戦わなければならないからだ。
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— FIBA Basketball World Cup 🏆 (@FIBAWC) June 24, 2018
デラベドバはNBAキャリア5年を誇る191センチ89キロのガードプレーヤー。カリフォルニア州にあるセント・メアリーズ大学で4年間プレーし、4年次には平均15.8得点3.4リバウンド6.4アシストを挙げたものの、13年のNBAドラフトでは指名されなかった。
だが、開幕前にクリーブランド・キャバリアーズとの契約をもぎ取り、13-14シーズンからキャブスでコンボガードとして3シーズンをプレー。15年プレーオフではカイリー・アービング(現ボストン・セルティックス)の負傷時に先発ポイントガードを務め、ファイナルではステフィン・カリー(ゴールデンステート・ウォリアーズ)とのマッチアップで奮闘。翌16年のプレーオフでは出番が減ったものの、見事チャンピオンリングを勝ち取っている。
NBAでは決して身体能力が高い選手ではないものの、フィジカルコンタクトを恐れない攻防両面におけるアグレッシブなプレー、チームの勝利を最優先した自己犠牲もいとわない献身的な姿勢が光る。キャブスで見せたプレーが評価され、16年夏にバックスはデラベドバと4年3840万ドルで契約を結んだ。ここ2シーズン所属しているバックスでは、先発と控えを行き来し、ローテーションの一角を占めている。
今年のプレーオフで、デラベドバという男を端的に表すプレーがあった。
セルティックスとのファーストラウンド第4戦。1勝2敗としていたバックスは、シリーズを2勝2敗のタイへと持ち込むべく、必勝態勢でホームゲームに臨んだ。その第1クォーター終盤。残り1.0秒でクリス・ミドルトン(バックス)が得点を記録し、セルティックスのスローインで、背後からスルスルとデラベドバが入り込んでスティールすると、そのままフローター気味にショットを放ち追加点を挙げた。
残り数秒で相手チームにダメージを与える得点、そして決めた後にホームのファンとともにシャウトして会場の雰囲気を盛り上げたことで、試合のリズムをバックスに持ち込んだ。
現在27歳のデラベドバがオーストラリア代表としてプレーするのは、2016年のリオデジャネイロ・オリンピック以来となる。それでも、国際経験が豊富なこの男ならば、チームメートへ的確な指示を出し、タフなディフェンスでも先陣を切って相手チームへプレッシャーをかけるに違いない。
一方、メイカーは16年ドラフト1巡目10位でバックスから指名された216センチのビッグマン。体の線は細いものの、機動力があり、3ポイントシュートを決めることのできるシュート力が魅力。
今年のプレーオフでは、ホームで行われた第3戦で大暴れ。4投中3本の長距離砲を含む14得点に加え、5リバウンド5ブロックをマークして勝利に大きく貢献。第4戦では8得点だったものの、ブロックは2試合連続で5本を記録し、バックスの守護神と化した。
6月23日(現地時間22日)、オーストラリアのメルボルンにて、デラベドバは現地メディア『ESPN』へこう語っていた。
「今年は複数のケガによって多くのゲームに欠場した。だから(オーストラリア代表に)戻ってプレーできることを楽しみにしている。このチームの一員になることができて、とてもエキサイトしているんだ」
日本に到着後、デラベドバはお寿司を堪能するなど初の日本を楽しんでいる。27日はチームメートたちを連れて渋谷を歩き回るなど、アクティブに動き回っていた。これは自身が約2年ぶりの代表入りだったこと、そしてメイカーが初の代表入りということもあり、コート外でともに過ごすことでチームメートとより親しくなり、チームケミストリーを構築していたと言っていいだろう。
1次予選4戦全勝のオーストラリアが狙うのは勝利のみ。日本との試合でも、試合開始早々からアグレッシブなプレーで向かってくるに違いない。
では、日本代表はデラベドバとメイカーというNBA選手に対して、どのように戦っていくのか。
まず、デラベドバのサイズとフィジカルの強さが厄介となるだろう。富樫勇樹(千葉ジェッツ)と篠山竜青(川崎ブレイブサンダース)、そして比江島慎(シーホース三河)は、粘着質なディフェンスに手を焼くことが予想される。また、たとえショットまで持ち込むことができても、それぞれが得意とするプレーをさせないディフェンスを敷いてくるだろう。
デラベドバのフィジカルコンタクトで体力だけでなく集中力をも奪われると、圧倒的不利になってしまう。そのため、相手のリズムを少しでも崩すような小刻みなフェイクやドリブル、ショット時にはステップワークを駆使してかわしていきたい。また、チームメートとのピック&ロールや素早いボールムーブメントで相手ディフェンスのズレを生み出し、より良いタイミングでショットを放ちたいところだ。
メイカーに関しては、やはり216センチという高さから繰り出すブロックが脅威となるだろう。インサイドの選手に限らず、ドライブから得点を狙う選手にも影響を及ぼすため、ショットセレクションに迷いが生じてしまうかもしれない。ドライブでショットを放つ際は、メイカーとマッチアップしている選手が身体を張ってメイカーを跳ばせないようにすることが賢明だろう。フィジカル面では決して強い選手ではないため、少しでも動きを止めて、スコアラーたちを支えたいところだ。
もっとも、日本代表にはニック・ファジーカス(川崎)というすばらしいスキルを持ったビッグマンがいる。ファジーカスはペイントエリアを中心に絶妙なシュートタッチで得点を稼ぐことができる能力を持ち、マッチアップ相手の特徴を頭に叩き込んで柔軟な対応ができる点も強みとなる。メイカーがマークについた際も、1度や2度ブロックされようとも、一瞬の隙を突いて得点あるいは相手のファウルを上手く誘う抜群のテクニックを駆使すれば、決してかなわない相手ではないだろう。
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