2020.08.28

2020年度男子日本代表候補発表!!Bリーグの活躍は代表選考に影響があったのか?!

昨年FIBAワールドカップに出場した男子日本代表は来年にはオリンピックが控えている。その候補が選ばれた [写真]=Getty Images
バスケットボールコメンテーター

「BASKETBALL ACTION 2020 SHOWCASE」の開催とともに日本のバスケットボール界は再スタートを切ったと言えるだろう。Wリーグは9月18日、Bリーグは10月2日開幕予定だ。また、8月7日には男子日本代表候補選手23名が発表されている。今回は東京五輪に向けたメンバーが選出されているだけに、多くの注目を集めたことは記憶に新しい。この選考について、バスケットボールコメンテーターの井口基史氏に寄稿してもらった。

このタイミングでの代表候補発表とは

 再び日本のバスケットボールが動き出す。東京オリンピックがコロナにより延期となり、日本代表にとっては1年間強化できる期間が延びプラスとも捉えられるが、それだけに大切な1年となる2020年度日本表候補が発表された。


 コロナやオリンピック延期の影響により代表スケジュールは流動的なはずだが、目先の日本代表の試合として見据えるのが、11月26~29日に行われるアジアカップ予選だ。1st ROUNDの前節は2月24日にAWAY台湾戦で無観客試合の勝利を覚えているだろうか。そのアジアカップ予選の1st Roundの続きが11月26日にAWAYマレーシア戦。11月29日にAWAY中国戦が行われる。本当に開催できるかは別として、日本のバスケットボールの歩みは止まらない。今回はそのアジアカップ予選もそうだが、継続した強化としての代表候補発表と捉えるべきだろう。

 今回日本代表に選ばれた選手たちは、自チームでの新シーズンの準備と共に代表活動も両立するという、普段のシーズンでもなかなか大変な作業なのに、新型コロナという先の読めない環境のもとで行わなければならない、身体と心のコンディション作りにはかなり苦労する事が予想される。日本代表のメディカルチームと自チームのメディカルチームとの連携など、個人だけでなく周りのサポートもエクストラのケアが必要になるだろう。また予選の準備をしていたとしても延期や中止なども起こりえる事を考えると、ブースターからの彼らへの熱いブーストは大きな後押しになるはずだし、「日本代表価値向上」のために出来る事を引き続き取り組みたいと個人的には感じた。

川崎の藤井祐眞は2019-20シーズンに大活躍したもののリストに名前はなかった [写真]=B.LEAGUE


 その中で今回の代表候補の発表にさいして、少なくとも私の周りで驚きの声が上がったのが、Bリーグアワードで史上初となる個人賞トリプル受賞を果たした藤井祐眞選手が候補に挙がっていない事にふれたい。Bリーグアワードショーではベスト5とベスト6thマン賞という背反関係のポジションで選出した事について疑問の声もあったが、それを打ち消したのは、藤井選手の昨シーズンまでの仕事ぶりと献身を知る、選手、HC、メディアのベストファイブへの投票があったからこそだと思っている。そこに合わせて彼の特徴の一つであるディフェンスの持ち味も評価されベストディフェンダー賞にも選出され、彼が望んだわけではなく、周りの評価がそうさせた個人賞トリプル受賞だ。史上初とあるだけに、今後もこのレベルの受賞は歴史の中でも、なかなか生まれ難い事はだと思うし、そうあるべきだと考える。

 その藤井選手が選ばれなかった事は川崎ブースターにとっては悔しさもあるだろうし、自分がもし藤井選手の幼なじみやファンならプンプンだし、これだけの受賞や評価を得たタイミングで選出されないとなると、もし彼が日本代表を夢みていたとすると、今後どうなれば選出されるのか、思い悩むことにならないかと気をもむ。

過去には長く選出されなかった選手も

 今回の日本代表候補にも選ばれている、金丸晃輔選手がBリーグ発足以降なかなか選出されず、日本代表に消極的なのか? とか、クラブが代表活動に抵抗があるのか? など、あらぬ憶測を生んだ。4年連続4回目のベスト5というBリーグで残した実績からしても、待望論があった事は確かだ。「Bリーグから世界へ」と会見でよく耳にする言葉だが、初代Bリーグ新人王のベンドラメ礼生選手は今回選出、2代目馬場雄大選手も選出されたのに対して、3代目岡田侑大選手と4代目前田悟は不選出と、ここ2年の新人王選手も選ばれておらず、昨シーズンのベスト3P成功率を収め、今、ナウ、TODAYの日本では一番3Pが入る可能性が高い確率を残した松井啓十郎選手も候補には入っていない。

(左から)松井啓十郎岡田侑大前田悟の名前もなかった [写真]=B.LEAGUE


 過去にJリーグにおいても得点王だった、大久保嘉人選手が代表に選ばれず、サポーターがザッケローニ監督へ向けて「親愛なるザック。我々川崎のヒーローを見てください」などと書かれたイタリア語の横断幕を掲げたことがある。これも待望論だ。ワオ! しかも偶然同じ川崎だ!

代表論争できることに感謝し次のステップへ

ここ数年は代表論争の主役とも言えた金丸晃輔 [写真]=Getty Images


 これまではこんな代表論争を出すこと自体が、バスケ活動に良くない影響があると想像できた時代があった。ブースターそれぞれが思い描く日本代表があって自然だし、ウチの選手を選んでくれ! という代表論争が出て、それを楽しめてこそ、地域の誇りのチームや選手が生まれている証でもあると思う。代表論争・代表待望論--いいじゃないですか! 楽しんでやりましょうよ! はい。正直に言います。サッカー日本代表が行っている日本代表候補選出記者会見はずーーーっと羨ましかったです!! バスケも日本代表候補を大いに語ってもいい時代が来たんだ。これからはブースターと一緒に日本代表の価値を高め、選手が誇りに思ってくれる存在にしつつ、それぞれのファン・ブースターが思う「ウチの選手」を日の丸まで押し上げちゃいますか!

 かぁー! 興奮してきました! レッツゴーニッポン!!

文=井口基史

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