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9月20日、第22回Wリーグ西地区の開幕節第2戦がウィングアリーナ刈谷で行われた。第2試合では、前日の第1戦で三菱電機コアラーズに59-63の接戦の末に敗れたデンソーアイリスが、79-60で勝利してリベンジを果たした。
大型移籍で注目された本川紗奈生は、移籍後初勝利を挙げ「開幕戦から勝ちたかったというのが本音ですけど……。昨日は自分自分になっちゃっていた部分があったのですが、全員を信じてバスケットをしないと良いバスケットができないと思ったので、今日は仲間を信じて(プレーできた)。これを継続していきたい」と安堵の表情を見せた。
9年間所属したシャンソン化粧品シャンソンVマジックから加入したベテランフォワードは、エースの髙田真希、赤穂さくら&ひまわり姉妹、新キャプテンの稲井桃子という昨シーズンからの主力に並び、早速開幕から2試合連続でスターターに名を連ねた。
連敗が許されないデンソーは、立ち上がりからアグレッシブなオフェンスで三菱電機に襲いかかる。第1クォーター髙田が13点を挙げ、24-13と一気に流れを引き寄せると、第2クォーターも攻め手を緩めず42-24と大きくリードを奪った。
本川もハードなディフェンスや、アシスト、スペースを作るなど気が利くプレーでチームのパフォーマンスを上げることに貢献した。
「自分は基本的に点を取ることが好きなんですけど、デンソーは5人が攻められる。替わって入ってきた選手も点を取れる良いチームなので、その中で自分はドライブもあるので、アシストや動きをつくることとか、ディフェンスで穴が空かないようにとか、そういう小さい部分で貢献していきたい」
献身的にプレーした前半と変わり、後半はスラッシャーの本領を発揮。「ペイントアタックする時間帯があまりなく、ハイロープレーが続き重くなってしまう時間があった。外から狙いたかったので、自分がアタックすることを意識しました」。武器であるドライブで相手の守備陣を切り裂き、得点機会をクリエイト。40分間アグレッシブなバスケを貫いたデンソーが最終スコア79-60で勝利し、1勝1敗に戻した。
開幕節2試合平均で6得点5アシスト。19-20シーズンの17得点、5アシストからすればやや物足りなく映るかもしれない。しかし本川の数字には残らないチームへの貢献度は、非常に高い。
とりわけメンタル面で、経験豊富な日本代表が与えた影響は大きかった。デンソーは若手が躍進を遂げているものの、精神的支柱である髙田がベンチに下がっている時間帯の戦い方に課題があった。本川は要所でチームメイトに声をかけるなど、髙田不在の時間に安定感をもたらした。
「自分が(コートに)いない間もリーダーシップを取ってやってくれていますし、自分だけではなく、同じポジションの選手も練習から良い経験を積めているし、学ぶことがあるので、(本川の加入は)大きい」と髙田も信頼を寄せる。
日本代表ではポジション争いのライバルでもある赤穂ひまわりも「すべてのプレーにおいて高いレベルで、それを練習から見られて、マッチアップできることは自分にとってプラスだと思う。どんどん吸収していきたい」と刺激を受けている。
開幕戦の敗戦で課題が露呈したように、チーム力はこれから積み上げる必要がある。
「まだ合流してから日が浅いので、細かいところを詰めていけばよりいいチームプレーができるし、もっと彼女を生かせるようなプレーをできると思うので、これからチーム力を上げていきたいと思います」と髙田。
本川も「前のチームとは役割は替わってくると思うんですけど、その中で自分ももっと得点を取れれば余裕で勝つことができたり、難しいゲームにはならないんじゃないかと思います」。その試合でチームが必要とする役割を柔軟に果たしていきたいと話す。
移籍にあたり、クラブ広報を通じて「移籍をする事は簡単な決断ではありませんでしたが、優勝したいという気持ちが強くこの決断に至りました。これまでの経験を活かし、チームの優勝に貢献できるよう頑張ります!」と語った本川。
新天地での活躍は、自身そしてデンソーの悲願でもある優勝に必要不可欠であると同時に、古巣への恩返しにもなる。
写真・文=山田智子