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『B MY HERO!』
「1戦目は追い掛ける展開できつかったのですが、今日の2戦目はディフェンスが良かったので、うちのリズムだったかなと思います。まずは2連勝できて良かったです」
1月8、9日の2日間、日立ハイテククーガーズと対戦したENEOSサンフラワーズの渡嘉敷来夢は、苦しみながらも連勝を収めた試合について感想を語った。
渡嘉敷が所属するENEOSは、12月に行われた「第88回皇后杯 全日本バスケットボール選手権大会ファイナルラウンド」(以下、皇后杯)に勝利し、優勝。準々決勝のシャンソン化粧品シャンソンVマジック戦から準決勝のトヨタ紡織サンシャインラビッツ戦、決勝のデンソーアイリス戦と、いずれも前半からリードを奪う戦いで『強さ』を見せつけた。またこの大会では、史上最多となる9連覇という偉業も達成している。
だが、年が明けて迎えた第23回Wリーグの後半戦では、1月3日、4日のトヨタ自動車アンテロープス戦に連敗。2戦ともにトヨタ自動車の総合力の前に屈した。
「皇后杯の前がチームとしてはあまり良くなかったのですが、皇后杯に向けていろいろな準備をする中でチームの雰囲気もすごく良くなり、それが皇后杯ではいい形となって出ました。でも、(1月3、4日の)トヨタ自動車戦では皇后杯前の『悪いENEOS』が出ちゃったかなと感じています」(渡嘉敷)
また、「(試合の中で)いつもと違う、悪い時間帯が出るのですが、今はそれが何で出てしまうのかが分からない。それが出たときは、そこから崩れてしまいます。それと相手のディフェンスが強いときにオフェンスが止まってしまい、それを試合の中でうまく修正できないことも今のチームの弱さだと思います」と、トヨタ自動車と日立ハイテク戦を経て、チームの現状も語った。
昨シーズンに負った大ケガから復帰し、今シーズンはここまで1試合平均19.33得点10.39リバウンドと気を吐いている渡嘉敷(1月9日時点)。自身のパフォーマンスについて問うと、「特別悪いとは思いませんが、『チームとして何をするんだ?』という時間帯が長いと、自分のプレーもつまってしまうことがあります。チームが勝てない、苦しいということは、イコール、自分のプレーも良くないということなんだと感じています」と自分自身を奮い立たせるかのように言葉を並べた。
ここまで18試合を戦い、1試合平均で約31分の出場。ケガから復帰したシーズンだけに、ケガをした足の状態を心配する声も多い。
「そうも言ってられないというか(笑)。ただそれは、体自体というより、プレーに悩みが出ると気持ちの面で疲れて、それで体が重くなってしまってるのかなとも思います」と渡嘉敷。今シーズンは、それまで以上に自己投資しながらオフの日も時間をかけて体のケアを行っているそうだ。
渡嘉敷にとって同じチームに連敗を喫したのは「ENEOSの12年間ではじめてのこと」。だが、そのことに悲観している暇はない。トヨタ自動車戦後、彼女はチームメートにこう言ったという。
「下を向く必要はないと思う、ただ開き直らないでほしい」
「負けをしっかり受けとめて、前向いて、上を見て頑張っていこうと言いました。一人ひとりやるべきことをやって、いいところは伸ばしていく。(トヨタ自動車戦後は)そうやって前向きな姿勢で練習から取り組んだので、日立ハイテクの連勝につながったかなと思います」
今シーズンは、昨シーズンからの主力選手の変動もあり、まだチームに安定感があるわけではない。新たなENEOSを構築している最中でもある。その中で、「一人一人の懸ける思いが強かった」(渡嘉敷)という皇后杯では優勝。チームの持つポテンシャルの高さもエースは十分に把握している。
「(1月末から)約1か月試合がないので、練習から悪いときの打開策をうまく見つけられるようにして、チームとして上がっていけるようにしたいです」
試合や練習での『経験』の積み重ねがチームを強くしていく。チーム最年長でベテランの域に達した渡嘉敷は、Wリーグ奪還に向けて、若手選手も多い新生・ENEOSを、あらゆる面で引っ張っていく。