2022.01.11

4年間のブランクを感じさせない…本格参戦の今季もやはり注目のシャンソン・佐藤由璃果と吉田舞衣

新人ながらシャンソンの主軸を担う吉田(左から1人目)と佐藤(同3人目)[写真]=W LEAGUE
中学や高校、大学などの学生バスケットをはじめ、トップリーグや日本代表と様々なカテゴリーをカバー。現場の“熱”を伝えるべく活動中。

「4年間のブランクがあっても、あまり離れていた感じはないですね。オフェンスは特に息が合います」(佐藤由璃果)

「高校の時と変わらず、呼吸が合う。4年間離れていたけれど、連携は衰えてないな、大丈夫だなと感じます」(吉田舞衣)

 年が明け、後半戦へと突入した第23回Wリーグ。シャンソン化粧品シャンソンVマジックはレギュラーシーズンの16試合を戦ったところだが、全試合に出場し、ほとんどの試合でスターターを務めるのが佐藤と吉田のルーキー2人だ。

 昨シーズンも終盤にアーリーエントリーでチームに加入。デビュー戦ではともに先発を任されるなど話題をさらったが、本格的に参戦することとなったルーキーイヤーの今シーズンも、ここまで1試合平均で吉田が12.19点、佐藤が10.00点と2ケタ得点をマークしている(1月9日時点)。

 2人は、大学では佐藤が筑波大学、吉田が拓殖大学と別のチームであったが、高校時代は八雲学園高校(東京都)のチームメートとして活躍。高校では、1年生の頃からスターターを担い、高い得点力を披露して全国でもその名をとどろかせていた。3年次には、スーパールーキーの奥山理々嘉(ENEOSサンフラワーズ)も加わり、オールラウンドに動く3人の華麗なオフェンスは、破壊力抜群で、見る者を魅了した。

 4年ぶりにタッグを組むこととなった佐藤と吉田。その感想を改めて聞いたのが冒頭のコメントで、取材は別々に行ったものの、ともに「無意識のうちにプレーが合う」と同じ言葉を発していた。

ルーキーながら平均12得点を残している吉田舞衣(中央)[写真]=W LEAGUE

 特に佐藤は、高校から現在までをこう振り返ってくれた。

「高校の頃は2人とも点を取ることが仕事でした。それから大学では吉田はシューター、私はどちらかというと今の役割に近い、泥臭いプレーをする役回りが増えました。それぞれ違う経験を積んでまた一緒にプレーすることになり、吉田は(シャンソン化粧品でも)シュートを求められています。私はその中でスクリーンなどで吉田を生かし、その次に私が点を取りにいくこと、また、リバウンドなどが仕事だと思っています」

 そもそも、シャンソン化粧品への入団には、互いに進路を考えている中、先に佐藤が入団を決め、その後、吉田に声を掛けたという。そして吉田もその思いを受け、「やるなら一緒に」とシャンソン化粧品に決めたという経緯がある。

「吉田から私へのパス、逆に私から吉田へのパスなど、試合でも何本か合わせのプレーがあります。そこは八雲の時と変わっていないし、昔に戻ったみたいな感じで楽しいです」と佐藤。対する吉田も「パスを取ってくれるし、リバウンドも入ってくれるので、迷わずシュートを打つことができます。それに私がダメな時などに声を掛けてくれる。声を掛け合える人が同じチームにいるのは心強いですね」と語る。

佐藤由璃果は新人らしからぬ泥臭いプレーもいとわない[写真]=W LEAGUE

「リバウンドや味方を生かすスクリーンなどが、自分が課せられている役割で、それをやってから次に自分のシュートだと思っています」(佐藤)

「他の4人が運んできて、いい形でパスをしてくれたボールでシュートを決めるのが私の仕事。ボールをつないでくれた人たちの気持ちを乗せてシュートを打つようにしてます」(吉田)

 それぞれに今の役割を口にした佐藤と吉田。課題は多いと語るものの、1年目から試合に出場し、経験を重ねているからこそ、結果で返したいという思いは強い。

「新人ということは関係ないと思っていて、自分の役割を全うできるようにしたいです」(佐藤)

「未熟なところが多いので、もっともっと成長していきたいです」(吉田)

 シャンソン化粧品の頼もしいルーキーたちの目指す先はただ一つ。高校時代に達成できなかった『日本一』だ。

文=田島早苗

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