2019.07.28
八村塁のNBA入りや、9月に中国で行われる「FIBA ワールドカップ2019」など、なにかと世間の注目は男子日本代表に向いている。しかし2013年のアジア選手権(現・アジアカップ)で43年ぶりにアジアの頂点に立って以来、アジアカップ3連覇中の女子日本代表の存在も忘れてはいけない。9月にはインド・バンガロールで「FIBA 女子バスケットボール アジアカップ2019」が開催され、日本は大会4連覇に挑むこととなる。
とはいえ、2017年の前回大会からオセアニア地区(オーストラリアとニュージーランド)がアジアに組み込まれ、また昨年スペイン・テネリフェで行われたワールドカップでは、ベスト8をかけた戦いで中国代表に敗れている。アジアの覇権争いは日本と中国、そしてそのワールドカップで準優勝を果たしたオーストラリアなど、前回大会以上に激化の一途をたどりそうだ。
またアジアカップ以外にも、今年11月には東京オリンピックの出場権を争う世界最終予選のプレ予選が、来年2月には世界最終予選の本戦が行われる。すでに開催国枠での出場権を得ている日本もそれに参戦をしなければならない。大会ごとにメンバー構成を変えることになりそうだが、国内ではWリーグも行われており、コンディショニングがカギを握る。
加えてメダル獲得を目指した昨年のワールドカップでは世界との差を改めて痛感させられたことも忘れてはいけない。特に高さに対する弱点をどう克服するか。昨年のワールドカップに出場できなかった渡嘉敷来夢(JX-ENEOSサンフラワーズ)が7月の第5・6次強化合宿から復帰を果たしており、それによっていくらかは解消されるだろうが、それでも高さへの挑戦はこれからも続くはずだ。
その一方で、攻守の切り替えを早くし、チャンスがあれば誰もが3ポイントシュートを狙うアップテンポなゲーム展開を得意とする女子日本代表。「世界一」を公言するパッシングは、目標に届かなかったとはいえ、昨年のワールドカップでも世界各国のディフェンスを困らせていた。世界のトップクラスに食い込むためにも、明確な課題克服と戦術理解・遂行は必須だ。
選手に目を移せば、髙田真希(デンソーアイリス)や宮澤夕貴(JX-ENEOS)、長岡萌映子(トヨタ自動車アンテロープス)ら、アジアおよび世界で経験を積んできた選手は健在だが、春の三井不動産カップで2試合連続の2桁得点を挙げた林咲希(JX-ENEOS)など新しい戦力も台頭してきている。またリオデジャネイロオリンピックで活躍した本川紗奈生(シャンソン化粧品シャンソンVマジック)も復活の兆しを見せていて、結果を残してきた選手たちものんびりと構えてはいられない。
現状に満足することなく、常によりよい道を探り続ける女子日本代表。その向上心があれば、目標に掲げている東京2020オリンピックでの「金メダル獲得」もけっして夢物語ではなくなるはずだ。
文=三上太
写真提供=JBA
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