2020.08.18

バーチャル空間での新しい観戦スタイルをソフトバンクが提案

ソフトバンクが開発を進める観戦アプリのスクリーンショット
バスケ情報専門サイト

スマートデバイスの中でバスケットボールの仮想空間を生み出すアプリ

最初に自身の分身となるアバターを選択。左にはチャット機能、正面にはマルチ画面、さらに右には応援機能が準備されている


 8月16日、新型コロナウイルス禍の中、5人制、3人制、そして車いすとバスケットボールの各カテゴリーの日本代表候補が初めて一堂に会した『BASKETBALL ACTION 2020 SHOWCASE』が開催された。“真のオールジャパン”としての一歩を記したこのイベントは残念ながら無観客のリモート観戦となったが、この模様は世界に配信され、多くのファンが感動を得たと言われている。

 実はこの裏で、日本バスケットボール協会、Bリーグのトップパートナーであるソフトバンクがあるテストイベントを行っていた。今シーズンは新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、アリーナでの観戦が制限されることに準備をしなければいけない。そこで実際にアリーナでバスケットボールを楽しめるようなバーチャル空間をスマートデバイス(スマートホン、タブレットなど)に実現するアプリを同社が開発しており、そのテストが報道陣に公開されたのだ。

 このアプリでは、アバターを選んで、準備された観戦ルームにチェックインすると、同じようにチェックインしているファンやブースターとともに拍手や歓声を送るなどの応援をしたり、チャットなどでコミュニケーションが取れるようになる。さらに最も気になる試合の模様はマルチアングルで観戦可能で、臨場感がさらに増すというものだ。

リモート観戦を前提に準備を進めているソフトバンクの関戸淳文部長


 このプロジェクトの責任者であるソフトバンク株式会社サービス企画本部スポーツ企画部の関戸淳文部長は、「新型コロナウイルス感染拡大の中、今シーズンは満員のアリーナでの観戦は難しいかもしれません。そこでリモート観戦を前提に準備を進めています。まだテスト段階ですが、ファンのニーズに合わせたアプリを開発していきたいと思います」と、目的を語った。

 開発中のアプリにはバーチャル空間の中でファンやブースター同士で盛り上げられるような仕掛けが準備されている。関戸部長は「ファンのコミュニケーションは大きく分けて2つあると思います。それはテキストチャットと音声チャットですが、試合展開の速いバスケの試合では音声チャットがスムーズかもしれません。さら5G(第5世代移動通信システム)の端末が一般的になり、5Gの環境が整備されればもっといろんなことができるようになるかもしれません」と、将来を見据えた。

 最後に開発中のアプリを実際に使った2人のテスターの感想をお届けしよう。

川崎の熱狂的なファンの吉田将史さんは「推しのクラブのジャージを着れるなど、アバターに個性が出ればなお面白い」

観戦仲間とアプリを楽しんだ吉田将史さん


 川崎ブレイブサンダースのホームゲームの際には必ずとどろきアリーナに駆け付けるという吉田将史さん。チケットがゲットできれば男子代表戦にも赴くだけに、この日も他のクラブのファン、ブースターと一緒にSHOWCASE、そして観戦アプリを楽しんだ。

 率直な感想を聞くと、「みんなと話をしていたのは応援するクラブが違うのに同じ部屋にいるのは気まずいかなということ(笑)。その場合、ホームを応援するルーム、アウェーを応援するルーム、そして両方を応援するルームがあるといいと思います。ただ、代表戦ならみんな一緒になって盛り上がれるので、それは楽しみですね」と語ってくれた。

 さらに「推しのジャージが着られるとか、アクセサリーもクラブグッズを付けたいですね。ディティールが細分化すると、アバターが自分なりの個性が出るとうになる。すると、『今日はあの人来てるかな?』というような名物キャラのような人が出てくるようになるとさらに面白いですね。その人を中心に集まって応援するのもありかな」と、開発中のアプリにリクエストを送った。

「アバターがもっと個性的になれば面白みが増す」と吉田さん

「マルチ画面がいいですね」とバスケ仲間と観戦を楽しんだ白井紗奈子さん

「まるでリモート飲みをしながらバスケ観戦したみたいで楽しかったです」と白井さん


 競技歴はミニバスから大学の体育会まで。特別応援するクラブはないけど、友人に連れられ2カ月に数回はアリーナでBリーグを観戦する白井紗奈子さん。今回はそんな観戦仲間とアプリをテスト。「まるでリモート飲みをしながらバスケ観戦したみたいで楽しかったです」と笑顔を見せた。

「面白かったのはマルチ画面。普段の中継ではトランジションを押さえるためにフルコートで映しますが、もう1つ画面があるとゴール下などの違うアングルで見られるので、それは新しいというか、いいなと思って見ていました」と、バスケ経験者ならではの感想を語ってくれた。

「本当は“キュキュ”と鳴るバッシュの音やルーズボールに飛び込む迫力などが好きなのでライブで見たいのですが、今シーズンは諦めないといけないかもしれませんね。でもこのアプリがあれば、色々な楽しみ方がありますね。試合そのものを楽しむ人、アバターやチャット機能を楽しむ人、応援を楽しむ人など、自分に合った観戦の方法を見つけられますね」と期待を込めた。

白井さんは違うアングルで見られるマルチ画面に満足

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