2022.06.17
昨年秋に恩塚亨氏が女子日本代表のヘッドコーチ(以下HC)に就任。『2024年のパリオリンピックで金メダル獲得』という目標を掲げる恩塚HCにその強化方針、ロードマップをうかがった。
今年は9月22日〜10月1日の期間でオーストラリアにて開催される「FIBA女子バスケットボールワールドカップ2022」(以下ワールドカップ)を控えており、チームは5月上旬から活動をスタートさせている。
ワールドカップを見据えた日本代表候補には、髙田真希(デンソーアイリス)、宮澤夕貴(富士通レッドウェーブ)、赤穂ひまわり(デンソーアイリス)といった昨年の東京2020オリンピックで主軸を務めたメンバーに加え、𠮷田舞衣(シャンソン化粧品シャンソンVマジック)、鷹のはし公歌(東京羽田ヴィッキーズ)ら2021-22シーズンのWリーグで活躍を見せた選手たちも名を連ねた。さらには、ドイツリーグにて1シーズンを戦った安間志織(UMANA REYER VENEZIA)に、学生では大学生から江村優有(早稲田大学2年)ら3選手。そして、193センチの高さを持つ高校生の福王伶奈(桜花学園高校2年)も候補入りを果たし、実に27名中8名が初選出という顔ぶれとなった。
「常に『パリオリンピックで金メダルを取る』ということから発想をしているので、その可能性がある選手を考えています」と、選考の理由を語ったのは恩塚HC。今年のワールドカップで結果を残すことはもちろんだが、あくまでもパリオリンピックを見据えて、Wリーグだけでなく様々なカテゴリーに目を向けているという。
女子日本代表は恩塚HC体制となってから、「FIBA女子アジアカップ2021」「FIBA女子バスケットボールワールドカップ2022予選」(以下OQT)と2大会に出場。その間、多くの選手が代表候補選手として代表活動を行なってきた。
就任当初から『世界一のアジリティ』を掲げて取り組んできたが、ここまでを、「(選手たちに)戦略やチーム原則を伝え、共有すること」に重きを置いてきたと恩塚HCは言う。それを踏まえたうえで、今後は、「自チームの強みを生かす戦術や相手が対応しにくい戦術などを増やしていきたいです。試合中の適応力、アジャストなどを、コーチの指示、あるいは選手自身の判断できるという段階になっていくと考えています」と語った。
5月21日〜6月3日の期間にはオーストラリア遠征を実施。27名中15名が参加した遠征では、若手のオーストラリア代表と1試合、またトップのオーストラリア女子代表とは3試合の計4試合を戦った。
「非常に手応えがありました。チームの原則を共有できていたので、一言で言うとアジリティーが高まった。そのため、『こういう時はこうしよう』ということを選手が即応できる機会が増え、チームとしても、それがシンクロしてプレーできる機会が増えたと思います」と恩塚HCは振り返る。
また、「一方で、フィジカルの強さにはみんな衝撃を受けていて、(ワールドカップの本大会では)これを10日で8試合の日程でやるのかと感じたと思います。そういった今後の強化に向けての学びも得られましたし、すごく大事な経験になりました」と、収穫も課題もはっきりと見えた遠征となったようだ。
「ゲームから学び、ゲームで起こる不合理をクリアしていくことが一番成果につながると思っています」と恩塚HCが言うように、試合を数多く行うことはチームの強化に直結する。
そういった中で、6月18、19日には「三井不動産カップ2022(千葉大会)バスケットボール女子日本代表国際強化試合」が千葉ポートアリーナ(千葉市)にて開催予定だ。まだまだコロナ禍で海外遠征や対外試合の実施が容易ではない中、世界ランキング9位のトルコ代表との対戦は日本の強化を後押しするものとなるだろう。
「本当に感謝しています」と思いを語った恩塚HCは、三井不動産カップに向けて、「まずは質の高いゲームをすること。ここ数年、日本はトルコに勝ったことがないので、強敵と戦う経験を積める機会だと考えています」と意気込む。
特にプレーの面では、「ポイントになるのは、トルコはディフェンスが素晴らしいチームなので、そのディフェンスに対して日本のオフェンスのアジリティが上回れるか。また、トルコは(オフェンスの)セットプレーも多いので、そこに対してのディフェンスでのアジャストなど、いろいろな意味で戦術的にレベルアップできると思っています」と声を弾ませた。
さらに、日本国内のファンの前でのプレーに、「自分たちの存在理由を実感できる素晴らしい機会でもあります」と笑顔も見せた。
バスケットボールでは「あらゆる状況に即応していく」ことが必要と語る恩塚HC。相手の動きや戦術などに即応し、カウンター入れるといったイメージから、自らが命名した『カウンターバスケットボール』でまずはワールドカップの優勝を狙う。そのためのレベルアップとして、三井不動産カップは、日本にとって欠かすことのできない2試合となるだろう。
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