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丸善インテックアリーナ大阪で開催されている「国際親善女子車いすバスケットボール大阪大会」(大阪カップ)。大会2日目の2月16日、日本はオランダと対戦した。昨年の世界選手権覇者のオランダは、高さとスピードを兼ね備えた世界最強のチーム。そのオランダに対し、前半をリードして折り返した日本。後半に逆転を許し、54-64で敗れたものの、2020年に向けて大きく前進する一戦となった。
文=斎藤寿子
写真=エックスワン
前半、日本は磨き上げてきたハーフコートのディフェンスでビッグマン2人をペイントエリア内から締めだし、流れをつかんだ。
「オランダのシューターは世界ナンバーワンではあるけれど、100%の確率でシュートが入るわけではない。とにかくほんの少しでもゴールから遠ざけ、シュートを打たれた時にはきちんとボックスアウトをしていこう、ということを確認し合って試合に入りました」と藤井新悟アシスタントコーチ。その言葉通り、日本がアグレッシブにプレッシャーをかけ続ける中、第1クォーターの序盤、オランダのシュートはリングに嫌われ、思うように得点を伸ばすことができなかった。
一方、ボールを広く展開し、チャンスに積極的にシュートを狙った日本は、第1クォーターでは最大6点のリードを奪うなど、順調に得点を重ねていった。特に前半、ハイポインター陣にまざって得点源となったのが、ローポインターの萩野真世だ。3本のミドルシュートとフリースロー1本を決め、チームに勢いをもたらした。日本は28-26とリードを奪って試合を折り返した。
しかし後半、その萩野へのプレッシャーが強さを増した。実はハーフタイム中、オランダは選手ミーティングを行い、萩野のミドルシュートに対して警戒しなければならないことを確認し合っていた。萩野がボールを持った瞬間に素早くローテーションをしてプレッシャーをかけることで、日本の得点チャンスの一角を潰そうとしたのだ。
そんな萩野への警戒心が一つのきっかけとなり、オランダの選手たちの気持ちを引き締めさせたのだろう。後半のオランダのディフェンスは、より厳しく、よりスピーディとなった。正確無比なオランダのローテーションに日本は苦戦を強いられた。
そして、オフェンスにおいてもオランダはギアを上げてきた。網本麻里によれば「前半は決まったシンプルな動きをしていたのが、後半になってクロスの動きをもう一つ加えるなど明らかに前半とは違っていた」という。オランダは、前半には少なかったペイントエリア内でのシュートチャンスを多く生み出した。
しかし、オランダが攻防の両面で修正をかけたのは、それだけ前半の日本の戦いに怖さを感じていたからに違いない。日本への警戒心が強まり、目覚めた世界女王は後半に牙をむかざるを得なかったのだ。そう考えれば、54-64という結果は、その内容からすれば、勝つ可能性を感じさせる善戦以上のもの。日本にとっては大きな手応えと自信をつかんだ一戦となったに違いない。
これで今大会を1勝2敗とした日本は、最終日の17日にはオーストラリアと再戦する。
「これまでの3試合で培ったものを100%出し切り、最後も勝ちにこだわっていきたい」と岩佐義明ヘッドコーチ。目指す「全員バスケ」で有終の美を飾る。