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Bリーグが終了すると、いよいよ8月31日開幕するFIBAワールドカップ(以下W杯)に向けた準備が徐々に始まっていく。日本が13年ぶりに出場するW杯には32チームが出場。その中から日本が予選リーグで対戦するトルコ、チェコ、アメリカを対戦順に紹介していきたい。今回は新たな歴史の幕開けを迎えるアメリカ(FIBAランキング1位)を紹介する。
文=小永吉陽子
これまでの世界選手権を加えたW杯全17大会に出場して金メダル5回、オリンピックでは15回の優勝。W杯2連覇中、オリンピック3連覇中。それがFIBAランキング1位を誇る世界王者アメリカだ。
そんな絶対的王者のアメリカにとって、2019年のワールドカップは新たな歴史の幕開けとなるだろう。それは、2016年のリオ五輪を最後に、2006年から11年間アメリカ代表を率いた『コーチK』ことマイク・シャシェフスキー(デューク大学)が退任し、サンアントニオ・スパーズを5度の優勝に導いているグレッグ・ホポビッチに指揮をバトンタッチするからだ。
コーチKが指揮を執っていた11年の間には、ジェリー・コランジェロがUSA代表の責任者に就任し、継続したプログラムの重要性を唱えてきた。それまでのアメリカは2004年のアテネ五輪でよもやの3敗を喫したように、大会前にしか集合できず、有力選手の辞退も重なり、一貫した強化体制がなかった。それでも、毎回金メダル候補であることに層の厚さを見せつけてきたのだが、コーチK&コランジェロ体制になってからは、一貫したアメリカ代表の文化を作ることに専念してきたのだ。2006年のW杯では準決勝でギリシャに敗れたが、それ以降は世界大会で負けなしの成績を収めている。
ポポビッチHCも代表プログラムを継続すべく、すでに2016年のリオ五輪前のキャンプから参加し、コーチKとコランジェロとともにチーム作りの考えを共有している。さらに、W杯1年前となる昨年の夏には2020年東京五輪までを見据えた35名の候補選手を選出しているが、そこでもポポビッチHCは約20名のNBA選手たちと顔を合わせ、信頼関係の構築を始めている。
そうした代表プログラムを継続してきた証が、今回のW杯予選の戦いにも現れているのだ。
アメリカは毎回オリンピックで優勝することでワールドカップの出場権を得ていたが、今大会から予選方式が変更したことで、アメリカといえども長丁場のホーム&アウェーの予選に参戦しなければならなかった。そんな中で予選の采配を振るったのは、2017年のアメリカップ(アメリカ大陸選手権:優勝)に続いてチーム作りを継続させたジェフ・バンガンディ。ニューヨーク・ニックスとヒューストン・ロケッツでHC歴がある指揮官だ。
シーズン中ゆえ主にGリーグの選手で代表を構成。NBA経験があり、アメリカップで主軸を務めたレジー・ハーンやザビエル・マンフォードらを軸に、時にはNBAにコールアップされる選手がいる中で総勢54名を起用しながら予選を乗り切った。メキシコとアルゼンチンに1敗ずつ黒星を喫したが、最終的には10勝2敗でアルゼンチンを上回ってグループ1位。出場権獲得とともに、選手層の底上げに成功した。
そして今夏のワールドカップからはいよいよポポビッチ体制となる。現時点ではどれだけの候補選手がキャンプに参加するかは不明だが、どのメンバーになっても優勝候補であることに変わりはない。何しろ、ジェームズ・ハーデン、ステフィン・カリー、ケビン・デュラント、カワイ・レナード、デイミアン・リラードらNBAオールスター級の選手が35人も名を連ね、オリンピックやワールドカップでの優勝経験者も揃っている。前回のワールドカップでは、大会で一番若い平均24歳で構成された布陣にもかかわらず、試合ごとに成長を見せて優勝を果たした。複数のポジションをこなせる2m前後の万能選手が揃うのが強みであることは今回も同様だ。
懸念点をあげるとすれば、ポポビッチ新体制になっての実戦が初めてだということ。代表プログラムは継承しているものの、ポポビッチHCが求めるスタイルをいかに短期間で浸透させるかがカギを握るだろう。ラスベガスでのトレーニングキャンプは8月5日からスタートする。
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