2025.09.18

「悔いはない」…ニモ正義が語るBリーグと豪州での2年間、新天地での再出発【後編】

ノースイースト・ミシシッピ・コミュニティカレッジへ進学するニモ正義 [写真]=本人提供
ロサンゼルス在住ライター

 2023-24シーズンにシーホース三河の特別指定選手として所属したニモ正義。父は日本の元プロバスケットボール選手で、引退後はコーチを務めており、ニモ自身も高校時代はコーチである父親の下でプレーした。姉は全米大学体育協会1部(以下DI)のカリフォルニア州立大フラトン校(以下CSUF)のスター選手として活躍。さらにニモのゴッドファーザー(代父)が、NBAのレジェンド、ボブ・マッカドゥーという、まさにバスケットボールをするために生まれてきたような存在だ。

 前編では、ノースイースト・ミシシッピ・コミュニティカレッジに進学したニモに、Bリーグでの経験や、かつてオファーを得ていたDIではなく短大でプレーすることになった経緯などについて語ってもらった。後編では、家族のことやマッカドゥーとの関係、またこの夏に参加した日本代表チーム「ディベロップメントキャンプ」について聞いた。

インタビュー=山脇明子

バスケファミリーの一員として成長

――あなたのお父様、ジェシーJr.さんは、かつて日本でプロ選手としてプレーし、現役引退後はバスケットボールコーチも務めてきた方で、姉の富士華さんは、DIのCSUFで主力としてプレーしてきた選手です。やはり小さなころからバスケットボールをしてきたのでしょうか?
ニモ バスケをやり始めたのは5歳ぐらいの時です。最初は興味がないのにやらされたという感じです(笑)。まだ小さすぎてスポーツの楽しみ方をわかっていませんでした。でも6~7歳の時にレブロン・ジェームズのプレーを見て感化され、バスケットボールを見るようになりました。そのうちラッセル・ウェストブルックにはまって彼のプレーもすごく見ましたし、ジャージーを集めていました。彼がモホークをしていたときは、僕も同じ髪型にしていました。他の選手のプレーを見るのも楽しかったです。そうしているうちにバスケットボールに対して真剣になり、自分から進んで父と練習するようになりました。すると子どものリーグで圧倒的な活躍ができるようになって、どんどんバスケが好きになっていきました。

――お姉さんはどんな存在でしたか?
ニモ 姉とも、いつも1対1をして遊んでいました。でも僕が13歳ぐらいから一気に背が伸びて強くなったので、その後は1対1はしてくれませんでした(笑)。姉は毎日のように僕が元気にしているかチェックしてくれます。そして僕を傷つけるようなことや僕にとってマイナスになるようなことに気を取られずに自分のことに集中できるようアドバイスしてくれます。彼女はとても賢明なバスケットボール選手でしたし、バスケットボールのことをよく知っています。時には試合を見に来てくれてアドバイスもしてくれます。両親も同じように僕をサポートしてくれています。特に父は、僕が聞きたくないような厳しいアドバイスも時にしてきますが、結局のところ、いつも父が正しかったとあとから気づかされます。彼は元プロですから、自分が何を言っているのかわかっています。母はバスケットボール経験はありませんが、すごく熱心にバスケを見てくれていますし、応援してくれています。

ニモのゴッドファーザーはNBAのレジェンド、ボブ・マッカドゥー [写真]=家族提供

――あなたのゴッドファーザーは、バスケットボール殿堂入りもしているNBAのレジェンド、ボブ・マッカドゥーだと聞きました。お父様が横須賀米軍基地内の軍メンバーによるチームのヘッドコーチを務めていたとき、元NBA選手で構成されたチームの一員として来日し、同基地でお父様のチームと対戦したことがきっかけで仲良くなったとうかがいました。
ニモ あまり多くの人は知りませんが、そうです。二人はバスケットボールのことよりも政治のことばかり話しているので、僕は加わりませんけど(笑)。彼(マッカドゥー)とは毎日交流があります。毎朝、心に響く名言を送ってくれ、時々話もします。毎日起きたら、彼から送られてくるメッセージを読むことが日課になっています。今日は「成功者は、他の人が時々行うことを一貫して行う」という言葉を送ってくれました。

ディベロップメントキャンプで得た刺激

――今夏はディベロップメントキャンプにも参加しました。
ニモ ディベロップメントキャンプは、最高の経験となりました、多くのスタッフや選手と出会い、すぐに打ち解けました。NBAグローバルアカデミーの先輩でもあるジェイコブス晶選手と初めて話し、仲良くなることができました。(川島)悠翔選手とはすでに仲が良かったのですが、(山ノ内)勇登選手ら、初めて言葉を交わした他の選手ともいろいろ話すことができました。日本代表になることは、もちろん僕の夢です。アメリカ代表でプレーすることを考える前に、間違いなく日本代表でプレーしたいと思います。

――自らが日本代表に名を連ねるためには、どういった部分を伸ばす必要があると思いますか?
ニモ 全体的な自信です。今回は自信が最大の妨げだったように感じます。でも今は自信を取り戻しています。ディベロップメントキャンプ以来、僕の自信は大きく増しています。ディフェンスも同様に上達しています。

同年代の選手と交流することで日の丸への意識も高まったようだ [写真]=本人提供

――短大と言えば、今シーズンはロロ・ルドルフ選手もDIのCSUFからハッチンソン・コミュニティカレッジでプレーします。
ニモ 彼とはディベロップメントキャンプでルームメートだったので、たくさん喋りました。実は僕の中学校のときの親友の一人が、今ロロとチームメートなんです。ロロは今シーズン、絶対に見せると思いますし、選手としてさらに強くなると思います。彼の存在は、僕にとってもモチベーションになっています。

――今シーズンの目標を教えてください。
ニモ 個人的な目標は、よりアクティブになり、よりアグレッシブになること。特にディフェンスにおいて、コンタクトを避けるのではなく、よりフィジカルにプレーすることです。多くの人は僕の外見から僕は力が弱いと思っています。でも今後はそんな風に思われたくありません。短大にはフィジカルな選手がたくさんいます。ほとんどみんなフィジカルです。だから自身の強さを証明するチャンスです。

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