2020.08.26

「デイム・タイム」のデイミアン・リラードは本当に“覚醒”しているのか

リーグ屈指のクラッチ・シューターであるデイミアン・リラード[写真]=Getty Images
某ストリートメディアのシニア・エディターを経験後、独立。ひとつのカルチャーとしてバスケットボールを捉え、スポーツ以外の側面からもNBAを追いかける。

 リーグ最長の平均出場時間で、人員不足のポートランド・トレイルブレイザーズを支えるデイミアン・リラード。ブレイザーズは現在、レブロン・ジェームズアンソニー・デイビス擁するロサンゼルス・レイカーズにプレーオフで後塵を拝しており、第3戦、第4戦は自慢の攻撃陣も息を潜めている。

 それでも、第3クォーターまで接戦を演じれば、対戦相手にとっては恐怖の時間が待ち受けている。なぜなら、「デイム・タイム」の幕開けだからだ。リラードは直近の数シーズン、持ち前の勝負強さで幾度となくクラッチショットを沈め、チームに勝利をもたらしてきた。コート上で腕時計を指差すあのジェスチャーを一体、何度目にしたことだろうか。

 NBAファンの多くは、Rip Cityのキャプテンをリーグトップのクラッチシューターだと認識している。では、リラードは実際、クラッチタイムでどれほど有益な活躍をしているのだろうか。

 『HoopsHype』は、試合時間残り5分、5点差以内のクラッチタイムにおけるデイムのスタッツを分析。調査の結果、リラードはNBA入団後、全シーズンでクラッチタイムの合計得点でトップ20に入っており、デビューから2シーズン目以降に限定すれば、1度を除き、全てトップ10入りを果たしているという。

 リラードの勝負強さは、一朝一夕で磨かれたものではない。例えば、プロ2シーズン目の2013-14シーズン、リラードはクラッチタイムで43本中19本の3ポイントを成功させている。成功率44.2パーセントという数字は、彼のキャリア平均37.2パーセントを大きく上回るもので、同年のクラッチタイムにおけるスリーポイントでデイム以上の成績を残したのは、当時オクラホマシティ・サンダーに所属していたケビン・デュラント(現ブルックリン・ネッツ)、ただ1人だった。

 また、『InPredictable』が開示している情報によると、リラードは今シーズンのレギュラーシーズン、勝利を手繰り寄せるクラッチショットで118得点を記録。だが、この合計得点数はリーグ全体7位と意外なもので、同僚のCJ・マッカラム(ブレイザーズ)を下回っている(1位はアトランタ・ホークス所属のトレイ・ヤングの154得点)。

 それでも、MVPに選出され、チームをプレーオフに導いたバブルでのスタッツは圧巻と言わざるをえない。バブルにおけるクラッチタイムでは、全選手最多の36得点を記録。さらに、リスタート後のクラッチショット40本、同時間帯のアシスト数10も参加選手最多のスタッツである。

 今シーズン、リラードがこれまで放った、試合の明暗を分けるフィールドゴール成功率は、53.5パーセント。リーグ平均の45.9パーセント、クラッチスコア1位のヤングの49.7パーセントと比較すると、リラードがどれだけ“覚醒”しているかがよくわかる。

 3勝1敗でカンファレンスセミファイナル進出に王手をかけたレイカーズ。しかし、リラードの前で安心するには時期尚早である。

文=Meiji

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