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『B MY HERO!』
ロサンゼルス・レイカーズが2010年以来10年ぶりの優勝を達成した2019-20シーズンのラストゲームから早2カ月、NBAのプレシーズンマッチが開幕した。各球団、異例のドラフトと限られた時間でのチーム再編を済ませ、多くの選手に出場時間を与えながら新体制をテストし、最終調整に突入している。
オフシーズンの動向は、新シーズンを占う重要なファクターだ。コーチ陣の優れた審美眼とフロントの交渉力がチームの出来を決めると言っても過言ではない。市場には今年もトップクラスの選手たちが名を連ね、例に漏れることなく、今年も勢力図に影響を与えるであろう移籍が多数行われた。
『HoopsHype』は、2020-21シーズンの開幕に先駆けて、各球団のオフシーズンの動向を評価したランキングを発表。以下では、同ランキングで不名誉にも下位に選出された5球団のオフを振り返っていく。
タンクをするか否かの決断は、容易なものではない。なぜなら、マイケル・ジョーダンがオーナーを務める同球団は、直近4シーズンでプレーオフを逃しているからだ。
しかし、昨年はPJ・ワシントン、今年はラメロ・ボールと、優秀なルーキーの補強に成功。そして、class of 2020が豊作であることがわかっているのであれば、強力な若手トリオを形成するために、もう1年辛抱してもよかったのではないだろうか。
そんな明るい未来が見える中、中位でシーズンを終えるためにゴードン・ヘイワードと4年1億2000万ドル(約124億円)のMAX契約を締結し、来季のドラフト上位をみすみす逃したのであれば、フロントの決定はとても評価できるものではない。確かに、ケンバ・ウォーカーの退団によりスター選手不在の状況ではあったが、ヘイワードは大ケガ以降、トップフォームまで回復することができておらず、年齢も31歳とベテランの域に入った。
D-という不名誉な評価となったが、汚名返上のためにルーキーのラメロに期待を寄せるのはいささか荷が重すぎる。グレッグ・ポポヴィッチの下で経験を積んだジェームズ・ボーレゴHCの手腕に注目だ。
新球団社長のレオン・ローズはニックスで最初のオフを迎えたが、今季のオフで評価を下すのは時期尚早だろう。去年までのチーム状況を踏まえると、フランチャイズを任された初年度から大物を連れてくるのは容易な作業ではない。したがって、今季は若手の成長を促し、チームのコアを見極め、マイナー契約で最小限の補強をするしか選択肢はなかったのだ。
目立った補強としては、オースティン・リバースの加入が挙げられる。勝手のいいコンボガードで、アイソレーション、3ポイントとオフェンスオプションも豊富。必要最低限のサラリーキャップ消費でRJ・バレットのサポートメンバーを迎えることに成功した。
また、ドラフトでは8位指名でオビ・トッピンを獲得。デニス・スミスJrとのコンビはリーグ屈指のアスレチック性能を誇り、うまく機能すれば相手の脅威となるだろう。
今オフでのチーム強化という面で大きな前進はない。しかし、来年のオフにリバースとジュリアス・ランドルを放出すれば、ニックスは2人のビッグネームとMAX契約を締結するキャップスペースを確保することができる。そして、ドラフトで上位指名権を手中に収めれば、リーグ屈指のブランド力を有するニックスも長かった暗闇から抜け出すことができるかもしれない。
正直なところ、マジックのオフシーズンに目立ったコンテンツはない。マーケットでより積極的な姿勢を示し、ヘイワードやラッセル・ウェストブルックなど、ニコラ・ブーチェビッチの相方探しに奔走することもできたが、チームはマイケル・カーター=ウィリアムズとの再契約と、FAでのベーコン獲得を選択した。
特にベーコンの獲得は、費用対効果を考えても悪くない補強になるかもしれない。まだプレシーズン2戦を終えた段階だが、平均出場時間25.5分、11得点は十分に得点源として換算することができる。
また、ルーキーのコール・アンソニーも硬さが見えるパフォーマンスで2試合平均11.5得点をマーク。高校時代のスター性を考えればスタッツには成長の余地があり、大化けする可能性さえ秘めている。
退屈なオフシーズンとなったが、マジックには2年連続でプレーオフに進出する底力が備わっている。今季も持ち前の堅守を活かしてプレーオフ進出を狙う。
スパーズは、今季のオフで最も物静かな球団だった。FAになった注目選手を狙うこともなければ、特筆すべきトレード履歴も残っていない。
22年続いた球団のプレーオフ進出記録が途絶えたにもかかわらず、何もハイライトのないオフを過ごしたスパーズは、再建の道を考慮したのだろうか。ポポビッチがキャリア晩年であることを考慮する必要があり、大胆なトレードが功を制する保証もないが、デマー・デローザンやラマーカス・オルドリッジを放出してオクラホマシティ・サンダーと同じ路線を進むことも選択肢のひとつだったように思える。
もちろん、2人のオールスター選手が好調を維持することができれば、今季とは違った結果が得られるかもしれない。しかし、それを差し置いたとしても、ブリン・フォーブスの残留には尽力すべきだった。なぜなら、同選手は昨季、シューターとしてのチームのベストオプションだったからだ。
フォーブスの穴は、ヴァッセルが埋めるという魂胆なのだろうか。いずれにせよ、プレシーズン2連敗は上々の滑り出しとは言えず、何かしらの解決策が求められている。
バックスは、今季最大のミッションであったヤニス・アデトクンボとの契約延長に成功。だが、2年連続のMVPがチームに優勝を約束する補強を要求していたとすれば、フロントの動きに及第点を与えることはできない。
ポジティブな側面とすれば、ドリュー・ホリデーの獲得だろう。長年ガードが弱点と言われていたバックスだけに、昨季1試合平均19.1得点、6.7アシストをマークした堅実なAクラスガードの加入は朗報。しかし、その対価としてニューオーリンズ・ペリカンズにブレッドソーとヒル、そして3つの1順目指名権を譲渡したことについて、一部では過払いとの見解もある。
しかし、ボグダン・ボグダノビッチの補強ミスは大失態として咎めなければならない。バックスは、サクラメント・キングスとのサイン&トレードでボグダノビッチ獲得に近づいていた。しかし、球団間の契約は選手本人からの合意を得られていないまま進行しており、最終的にトレードは破談。もしボグダノビッチ獲得に成功していれば、アデトクンボ、ホリデー、クリス・ミドルトン、ブルック・ロペスという強力な布陣を形成できていただけに、この失敗は悔やまれる。
それでもフォーブス、オーガスティン、ポーティスは優秀なセカンドユニットになるだろう。重ねてになるが、もしボグダノビッチを獲得できれていれば、評価がD+になることは決してなかったはずだ。
文=Meiji
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