2021.01.29
トレイ・ヤング(アトランタ・ホークス)は、スタープレーヤーへの道を順調に歩んでいる。身長はわずか185センチと、お世辞にもNBA内では恵まれた体格とは言えないが、ポイントガードに必要な視野の広さ、パスセンス、ハンドリングはもとより、得点に対する類稀な嗅覚はリーグでも指折りの存在だろう。
3年目を迎えた今季は、狡猾(こうかつ)さにも磨きがかかってきた。開幕5試合を終えた段階でのデータで、ヤングはリーグトップとなる1試合平均13.2本のフリースローを獲得。これは言うまでもなく、同選手がそれだけ多くのファウルを獲得していることを意味する。
ヤングと対峙する際、特に目立つファウルが、背後からのコンタクトだ。スクリーンやドライブでディフェンスを抜き去ったヤングは、相手選手の前に入り込み、ストップ。そして、急な出来事に相手選手は止まりきれず、後ろからヤングに接触してしまい、ヤングはそれと同時にシュートモーションへ入り、最終的にファウルがコールされる、というのが一連の流れだ。
ヤングはこのタイプのプレーを駆使して、12月31日(現地時間30日)のブルックリン・ネッツ戦でもファウルを量産した。しかし、第4クォーター中盤に起きたティモテイ・ルワウ・キャバロ(ネッツ)のファウルは、ディフェンスが「ぶつかってしまった」のではなく、ヤングから「ぶつかってきた」ようにも見え、これにはさすがのキャバロも呆れている様子だった。
今季よりネッツの指揮を執るスティーブ・ナッシュHCもキャバロのファウルを受けて、堪忍袋の尾が切れてしまった模様。ベンチを立ち上がると、審判に詰め寄り、「こんなのバスケットボールではない」と怒りをあらわにした。
"That's not basketball" – Steve Nash
Trae Young was drawing cheap fouls and Steve Nash was tired of seeing it, not being able to do anything about it. Coach Nash had to have a word with this ref. Talk heavy coach. #WeGoHard – @Keith_McPherson pic.twitter.com/tMEbkSD6Ga
— Talkin’ Nets (@TalkinNets) December 31, 2020
こうしたフロッピング問題は兼ねてから問題視されているトピックである。ステフィン・カリー(ゴールデンステイト・ウォリアーズ)は、過去にフロッピングで罰金処分を科せられ、ジェームズ・ハーデン(ヒューストン・ロケッツ)のファウルを貰うためのプレーには、対戦選手が匿名で苦言を呈していた。
ナッシュの発言に端を発した議論も、意見が二分している。ナッシュに賛同して「散々だ」「ルールを見直さないといけない」と考える者もいれば、「合法でスマート」「クリス・ポールはずっとやっている」など、ホークスのエースの“技術”の高さを支持する者もいる。
では、ファウルをもらうことなく、ヤングを止める術はあるのだろうか。『NBC Sports』は、対処法はあるものの、すべて何かしらの問題が発生すると考察している。例えば、スクリーン時にはスイッチという選択肢が考えられるが、ビッグマンとのミスマッチになった場合、ヤングはいとも簡単にディフェンスを抜き去ってしまうだろう。また、ヘッジやショーを採用すればヤング相手のディフェンスは成功するものの、ジョシュ・コリンズやクリント・カペラにロブを挙げられてしまえば、今度はインサイドが疎かになってしまう。
ヤングを支持するか、ナッシュを支持するか、読者の皆さんはこれらのプレーに対して、どのような意見をお持ちだろうか。
文=Meiji
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