2021.01.08

新アリーナ始動を控える琉球ゴールデンキングス、今感じる手ごたえと課題

琉球のキャプテン田代直希は「より選手5人で戦わないといけない」とコメント [写真]=B.LEAGUE
1986年生まれ。バスケットボールのライターとして3x3が得意領域。国内外のトレンドを追い、競技の歴史を紡いでいます。5人制もbjリーグ時代から、Bリーグに至るまでカバー。また毎年の楽しみは代々木のALLDAYに行くこと。

「次につながる試合」と振り返ったのは、西地区・琉球ゴールデンキングスの藤田弘輝ヘッドコーチだ。東地区の強豪、B1最多得点(1試合平均90.6得点)を誇る千葉ジェッツと新年最初のアウェイ2連戦で、第1戦(1月2日)を80-70で制し、第2戦(1月3日)は74-80で敗れはしたものの、冒頭のように試合後の会見で指揮官の言葉は前向きだった。

 その背景について、まず守備については「ディフェンスは大半の部分ができたと思います」とコメント。もちろん「すこし緩んでしまった」と第1戦で無得点の富樫勇樹に12得点を与え、「相手が修正してビックマンがもっと走って、シール(ポジション取り)がハードだったので、そこから崩れてしまう部分があった」と、前日抑えた速攻を要所で許したことについて指摘したが、「総合的には良いチームディフェンスが40分間できました」と、手ごたえを感じていた。

 そして攻撃については「オープンシュートは作れたと思いますので、(あとは)決め切るところかなと思います」と、成功数は6本だったが、33本の3ポイントシュートを打ち続けた選手たちを評価した。千葉はインサイドの守備が固く、一見すると中へ侵入することを阻まれたかに見えたが、指揮官曰く「(相手は)本当にゾーンディフェンスに見えるぐらいのマンツーマンのディフェンス。(我々が)ペイントに侵入する前にファースパスに対してディフェンスが寄る守りをとっていました。しかしシンプルに言えば、逆サイドが3対2か、2対1の状況だったと思います」と数的有利を作り、シュートを狙うことで相手の攻略を図ろうとしていた。

琉球の藤田弘輝HCは「次につながる試合」と前向きにとらえた [写真]=B.LEAGUE


 一方で、昨シーズンからキャプテンを務める田代直希に約半分となる27戦を終えたチームの手ごたえについて聞いた。すると「成長していますが、半分成長していないと思います」と表現して、こう続けた。

ジャック・クーリー選手のリバウンドがとても自分たちの力になっています。ただその反面、彼にリバウンドを任せてしまっていることも課題です。またドウェイン・エバンス選手の得点力に頼っているところも見受けられます」

 クーリーは今シーズンもリーグを席巻するビックマン。第1戦では25得点21リバウンドを記録し、シーズン平均でも16.9得点、リバウンドはリーグ最多12.7本を奪う。そして加入1年目のエヴァンスも平均18.1得点をマークするチームのスコアラーだ。頼もしい2人であるが、思い返せばシーズン序盤にはエバンスやキム・ティリら抜きの試合がありながらも、11連勝を飾った時期もあった。田代は当時を「日本人選手がすごいファイトしていて、連勝を伸ばしていました」と話し、今後は「より(コートにいる)選手5人で戦わないといけない」と、さらなるチームバスケットの必要性を説いた。

 現在、チームはシーホース三河と西地区首位を争っている。まだまだ突き詰めていくことは多いが、キングスからは悲願のリーグチャンピオンへ向けて着実な歩みを感じさせる。そして今年は新本拠地『沖縄アリーナ』が4月から始動する。そこでプレーすることについて、田代は次のように語った。

「沖縄アリーナは見ていただく方の視点に立ったアリーナですから、より快適にバスケットボールや、それ以外のイベントも楽しんでいただけると思います。ただ、規模(10,000人)が大きくなる分(今までと違って)近くで見られない方も出てくると思います。だから、僕たちはそういう一番遠くの席から見ていただくファンの方たちにもエネルギーやパッションを届けられるように『アリーナができたから、やったぞ』ではなく、より気持ちを大事にしてバスケットボールに取り組んでいきたいと思います」

 新たな檜舞台へ向けて、2021年のキングスはより一層競技に向き合い、ブースターたちの心に響くゲームを披露するべく、成長を遂げていく。


文=大橋裕之

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