2021.12.27

冬のマーケットを予習せよ、NBAのトレードターゲットランキング

今冬トレードされる可能性のある選手をピックアップ[写真]=Getty Images
某ストリートメディアのシニア・エディターを経験後、独立。ひとつのカルチャーとしてバスケットボールを捉え、スポーツ以外の側面からもNBAを追いかける。

 NBAの2021-22シーズンは開幕前の予想と裏腹に、優勝はよりオープンなものとなっている。ゴールデンステイト・ウォリアーズやマイアミ・ヒートのように、地に足をつけた的確なチームビルディングで好調を維持する球団もいれば、ロサンゼルス・レイカーズのように、当初描いていた青写真を描き直す必要があるチームも点在している。

 そんなテコ入れが可能な期間が、冬のマーケットだ。トレードデッドラインは2022年2月11日(現地時間10日、日付は以下同)に設定されており、フロント陣はホリデーシーズンとニューイヤーブレイクで一息ついた後、急ピッチでリストの上からアプローチを開始するに違いない。

 最近のニュースを見ていると、今冬はビッグネームが動く可能性も少なくない。燻っているスター、改革を視野に入れている球団、兼ねてから放出が噂されている選手など、状況はそれぞれだが、その多くはトレードが実現した際にパワーバランスを一変させるポテンシャルを秘めている。

『Bleacher Report』は、市場に名前の挙がった選手をもとにトレードターゲットランキングを作成。以下では、その中からハイライトとなる選手を一部ピックアップする。

ベン・シモンズ(フィラデルフィア・セブンティシクサーズ)

今シーズン開幕前に球団へトレードを要求したシモンズ[写真]=Getty Images


 未だ動向が不透明な3度のオールスター。やはり、移籍のネックとなるのは残された契約金で、シクサーズも同選手を安売りする気はなく、交渉は難解を極めている。

 シモンズは身長211センチの恵体を持つプレイメーカーだ。平均15.9得点8.1リバウンド7.7アシストのスタッツが、完成されたオールラウンダーであることを証明している。

 同選手は長所と短所が明確。NBAオールディフェンシブチームに2年連続で選出され、ポイントガードからセンターまでどのポジション・タイプでも守れる。その一方で、ジャンプショットが大きな課題とされており、チームがシモンズを生かすのであれば、スペースを作れる選手やトランジションゲームで輝く意欲的なランナーを配置する必要があるだろう。

『The Athletic』のサム・アミックによると、シクサーズは30名の選手がシモンズとのトレードに値すると考えているもよう。若さと才能溢れるプレーヤーだけに、ベストな解決策が望まれている。

カイリー・アービング(ブルックリン・ネッツ)

多彩なハンドリング能力を持つアービングには多くの球団が食指を伸ばす可能性も[写真]=Getty Images


 他の選手と一線を画す“特殊性”はさておき、アービングは紛れもなく『Bleacher Report』がリストアップした選手のなかで最もバリューの高い選手だろう。

 歴代最高のハンドラーは新型コロナウイルスのワクチン接種を拒否しているため、ニューヨーク市が定めた条例により、今シーズン一度もプレーしていない。現在ロスターに大きな欠員が出ていることから、アウェー限定のパートタイムプレーヤーとして復帰が近づいているものの、『Bleacher Report』のジェイク・フィッシャーは「ネッツがアービングのトレードに前向きだ」と伝えている。

『SNY』は、ダラス・マーベリックスがクリスタプス・ポルジンギスをカードに、ネッツへ対してアービングのトレードを打診したという。その一方で、アービングは最近、ケビン・デュラントと密にコミュニケーションを取り、ネッツの現状について話し合っているという報道も。一球団を優勝に導けるプレーヤーだけに、その注目度はシモンズ以上と言えるかもしれない。

ドマンタス・サボニス(インディアナ・ペイサーズ)

サボニスは高い能力の割にサラリーが安いため、トレードマーケットでは注目の的に[写真]=Getty Images


 ペイサーズはチーム改革が噂されており、主力のトレードを検討している。『Bleacher Report』のリストにはマイルズ・ターナーの名前も掲載されているが、他球団から需要では八村塁の先輩にあたるゴンザガ大学出身のポイントセンターに軍配があがる。

 サボニスは、市場で最も生産性とコストパフォーマンスの高い選手かもしれない。昨シーズンMVPのニコラ・ヨキッチ(デンバー・ナゲッツ)に優らずとも劣らない同選手は、ハンドオフ、ピック&ロール、ポストアップなどの技術がリーグトップクラスであり、チームの流動性を促進し、オフェンスクオリティを飛躍的に向上するスキルを兼ね備えている。

 また、オールスター選手にも関わらず、年間約2000万ドル(約23億円)と手頃なサラリーで、その契約は2023-24シーズンまで残っている。具体的な噂は挙がっていないものの、水面下で触手を伸ばしている球団は少なくないだろう。

ハリソン・バーンズ(サクラメント・キングス)

バーンズはムラが少なく安定した活躍を披露する[写真]=Getty Images


 キングスには、他球団が獲得を望む選手が多数存在するが、フロント陣の財布のひもは硬い。現在は、コアとなる既存戦力を維持しながらのチーム強化計画を遂行中。しかし、いい話が舞い込んでくれば、安定感のあるバーンズをトレードに出すかもしれない。

 個人としてのNBAでのアワード受賞経歴はないバーンズだが、持ち前のムラの少なさにより、コーチ陣からの信頼は厚い。スター選手と形容するまでには至らないものの、ロールプレーヤー以上の性能を持つバーンズは今シーズン、エースのディアロン・フォックスに次ぐ1試合平均17.5得点をマーク。もし、放出するのであれば、トレード対象はバーンズに匹敵する得点能力が求められるだろう。

 現在、キングスは勝率4割をわずかに下回っており、プレーオフ進出には5割弱が必要。将来が楽しみなチームだけに、この冬の動向に注目が集まる。

 なお、『Bleacher Report』はその他にもクリスチャン・ウッド(ヒューストン・ロケッツ)、ジェレミー・グラント(デトロイト・ピストンズ)、マイルズ・ターナー(インディアナ・ペイサーズ)、CJ・マッカラム(ポートランド・トレイルブレイザーズ)を注目株にピックアップ。

 その一方で、ジェイレン・ブラウン(ボストン・セルティックス)、デイミアン・リラード(ポートランド・トレイルブレイザーズ)、ラッセル・ウェストブルック(ロサンゼルス・レイカーズ)に対しては、移籍の可能性が低いという見解を示している。

 文=Meiji

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