2023.04.19

NBAプレーオフで勝敗のカギを握る注目のセカンドユニットをピックアップ

第1戦で3ポイントや豪快ダンクで29得点と上々のスタートに成功したレイカーズの八村塁 [写真]=Getty Images

 いよいよ、「NBAプレーオフ2023」が幕を開けた。4勝先取とはいえ、シリーズを有利に立ち回るためには1ゲームたりとも落とせず、ポストシーズンは早速、ファーストラウンドとは思えないほど緊張感のある試合が繰り広げられている。

 プレーオフの勝利にエースの活躍は不可欠だが、相手も対策を講じてくるのが勝負の世界。そういったスリリングな状況下において、ベンチメンバーのクオリティは勝敗を大きく左右する。

 まだ評価を下すには時期尚早な気もするが、『Sidelines』はプレーオフの開幕に伴い、シリーズで注目すべきセカンドユニットを格付け。本稿では、同ランキング上位に名を連ねた3球団を厳選して紹介したい。

第1位:サクラメント・キングス

ベンチから出場し、2戦計50得点とシックスマンとして活躍するマリーク・モンク [写真]=Getty Images

 レギュラーシーズンをウェスタン・カンファレンス3位でフィニッシュし、17年ぶりにプレーオフの舞台に帰ってきたキングス。本拠地ゴールデン1センターの熱狂的な後押しを受け、ファーストラウンドでは王者ゴールデンステイト・ウォリアーズに2試合連続で黒星をプレゼントした。マイク・ブラウンヘッドコーチのゲームプランにも非の打ちどころがなく、文字どおり、幸先の良いスタートを切ることに成功した。

 キングス好調の理由は、一つに絞れない。しかし、マリーク・モンクの貢献度は手放しで賞賛に値するだろう。第1戦では約29分の出場で32得点の大爆発。続く第2戦でも18得点を記録し、直近の2試合では得点源としてチームに勢いをもたらした。

 また、2年目のデイビオン・ミッチェルは要所でのスコアに加えて、持ち味のハードなディフェンスで相手にイージーバスケットを許さず。アレックス・レントレイ・ライルズもオフェンスリバウンドを確保するなど、サイズに不安のあるウォリアーズに対してプレッシャーを掛け続けた。

 昨シーズンまでの脆弱なディフェンスはどこへいったのか。漆黒の守備網を突破するのは、骨の折れる作業になることだろう。

第2位:ミルウォーキー・バックス

バックスはアデトクンボを欠くことになれば、一人ひとりの奮起が求められる [写真]=Getty Images

 熾烈なイースタン・カンファレンスを首位で終えたバックスは、ヤニス・アデトクンボのアンストッパブル加減に気を取られがちだが、セカンドユニットの懐の深さはリーグでも随一である。

 アデトクンボの途中退場を余儀なくされた第1戦は、ベンチから登場した5選手が合計95分プレー(対戦相手のマイアミ・ヒートは73分)。勝利にこそ結びつかなかったものの、ボビー・ポーティスの活躍は印象的で、エースの抜けた穴を埋めようと21得点8リバウンドをマークした。また、リーグ屈指の3&Dと評価されるジェイ・クラウダーにジョー・イングルス、守備職人のジェボン・カーター、ベテランスウィングマンのウェズリー・マシューズと、派手さこそないものの、玄人好みのロールプレーヤーが次から次へとコートに出入りした。

 アデトクンボの不在は大打撃だ。しかし、今後の試合でエースのドライブからキックアウトというバックスのオフェンスシステムが機能すれば、ノックアウト方式に強い球団も勝利には最高のクオリティが求められる。

第3位:ロサンゼルス・レイカーズ

第1戦ではオースティン・リーブス(中央)やデニス・シュルーダー(左)の活躍も光った [写真]=Getty Images

 レブロン・ジェームズアンソニー・デイビスの二大巨頭を擁するレイカーズこそ、ほかの選手たちの調子が勝敗のカギを握る。だが、ダービン・ハムHCはプレーオフ初戦までの直近10試合を8勝2敗で勝ち越し、苦労の末に現ロスターの正解を見出すことに成功したかもしれない。

 そのなかでも八村塁のフィットは2人のエースの大きな助けとなり、当初期待されていた三番手の役割に名乗り。第1戦ではベンチからチームハイの29得点を挙げ、マイカル・トンプソン氏が持つプレーオフでマークしたベンチからの球団最多得点記録に並んだ。

 また、デニス・シュルーダーの狡猾さは相手につかみどころを与えず、オールラウンダーのトロイ・ブラウンJr.と、ゾーンに入れば20得点は目処が立つマリーク・ビーズリーもベンチから隙を見計らっており、その夜に誰か1人でも職務を全うすれば、110得点以下のロースコアに終わることは滅多にないはず。ムラのあるセカンドユニットが台風の目になる可能性は十分にあると見た。

文=Meiji

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