2023.11.15

【インタビュー】テーブス海が語るNBAの魅力…「やっぱり自分と同じポジションのガードのプレーに注目してます」

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10月25日、NBA2023-24シーズンが幕を開けた。各チームが82試合というレギュラーシーズンの長丁場を戦い、16チームによるプレーオフで王座を目指す。スーパースターのプレーはもちろん、渡邊雄太(フェニックス・サンズ)と八村塁(ロサンゼルス・レイカーズ)の活躍からも目が離せない。今回は父親の影響でNBAをより見ることになったテーブス海アルバルク東京)へインタビューを実施。NBAの注目点を語ってもらった。

インタビュー=入江美紀雄
写真=野口岳彦

セルティックスのファンだった父親に明かした秘密とは

――NBAを見るようになったのはお父様の影響ですか?(父はカナダ出身で元プロバスケットボールプレーヤーのBTテーブス氏。現在はWリーグ、富士通レッドウェーブのヘッドコーチを務める)
テーブス はい。ちょうど2008年、僕が10歳のときでした。ボストン・セルティックスがケビン・ガーネット、ポール・ピアース、レイ・アレンのビッグ3を結成して、22年ぶりの優勝を果たしたシーズンに見始めました。

――もうバスケは始めていましたか?
テーブス ミニバスのチームに入っていたのもあって、その自然の流れでバスケの試合を見るようになったとも言えます。父がファンだったセルティックスの試合を見るようになっていったと記憶しています。

――お父様は熱心なファンだった?
テーブス はい、かなり。なので、僕は父の影響でコービー(・ブライアント、レイカーズのレジェンド)を好きにはなれなかったんですよね。

――セルティックスとレイカーズは長年のライバルで、日本のプロ野球に例えれば、巨人と阪神のような関係で、大阪の人が巨人を応援しないようなイメージですよね?
テーブス そうですね。自分もまだ10歳だったので、そのあたりはあまり理解してなかったのですけど。父が嫌いだから「僕も嫌い」みたいな。

――当時、レブロン・ジェームズ(レイカーズ)が率いるクリーブランド・キャバリアーズも同じ東地区でセルティックスのライバルチームでした。
テーブス はい。レブロンにも苦しめられていましたよね。それでレブロンも自然に嫌う流れになっていたのですけど…、実はレブロンについては個人的にすごい好きになってしまって。そこからこっそりレブロンを応援するようになってたんです。数年後、「レブロンどう?」と聞いたら、実は父もレブロンが好きだったという(笑)。

――互いにカミングアウトしたんですね⁉
テーブス そうです。二人でレブロンへの愛をカミングアウトしました(笑)。

――なぜレブロンを好きになったのですか?
テーブス NBAといえばマイケル・ジョーダン(元シカゴ・ブルズほか)という人も多いと思うのですけど、やっぱり僕らの年代より上の人たちの憧れなのかなと。それにジョーダンは異次元すぎるというか、人間離れしたパフォーマンスと性格だったと聞いているので。それに比べるとレブロンは実際に自分がテレビで見ていた選手ですし、人間味を感じることも多かったので好きになったと思います。

――当時のレブロンはまだ若手だったこともあり、ゲームを支配しているのに勝敗を決める大事な場面で味方にパスをしてしまうこともありました。
テーブス そのときの彼の言い分を聞くと、いつでも一番いいプレーを選択することを心がけていたと。すでにスーパースターだったのにそのようなマインドでプレーしていたのも、とても魅力的でした。

お気に入りはアービングとドンチッチ


――NBAも新シーズンが開幕しました。
テーブス 今でも試合は結構見ますね。もちろん日々の練習や試合に支障を来すようには見てはいないのですが、プレーオフになると毎試合見る感じです。レギュラーシーズンとはまた違う、強度の上がったプレーに惹きつけられます。

――注目しているチームは?
テーブス 個人的に好きな選手がカイリー・アービングルカ・ドンチッチなので、二人が所属するダラス・マーベリックスの試合を見ますね。特にマーベリックスのファンではないのですが、二人のプレーは見ているだけで単純に楽しいので、見る感じです。やっぱシンプルに見てて楽しいですからね。

――アービングとドンチッチのプレーを参考にすることはありますか?
テーブス ありますよ。同じガードと言ってもタイプが全然違いますが、参考になるところがあります。二人とも1on1のスキルが高いので、「どんなことを自分に取り入れられるかな?」と思いながら試合を見ていますね。あと、特にプレーオフになると、各チームのコーチがシリーズの中でガラッとディフェンスシステムを替えることも多いので、その変化を見ることも楽しいです。

――ある選手を徹底マークしたと思ったら、次の試合でマークが違う選手になっていたりなど、守り方一つとっても色々あります。「次はどんな手を打ってくるんだろう?」ということを考えながら見ているわけですね。
テーブス そういう見方もしますね。NBAのすごいところは、このヘッドコーチが繰り出した戦術が間違えていなかったとしても、それを凌駕する選手がいたりすることです。例えばカイリーにダブルチームやアイスをしても、あのハンドリングでかわしたり、それこそステップバックのシュートを決められればディフェンスは何もできなくなってしまいますからね。

――確かにアービングはスキルの高さが際立っていますね。一方ドンチッチはどのような点を注視しているのですが?
テーブス ドンチッチは僕より年下なんですけど、あの年齢で高いバスケットボールIQを持っていますよね。本当に年齢を感じさせない落ち着きだったり、ある意味驚きです。

――ドンチッチの武器は広い視野だと言う人も多いと思います。ノールックのパスも得意ですよね?
テーブス ドンチッチは身長が200センチもあるビッグガードです。自分もBリーグのガードでは大きな部類に入るので、それを生かしたミスマッチでの攻めや、大きいから見える視野の広さを利用したプレーなど、本当に参考になります。あと、やっぱりメンタル的なところも本当に長けてるなと思いますね。試合の勝敗を左右するような場面でシュートを決めるところなど、本当にすごいと思います。

――ほかに注目選手はいますか?
テーブス オクラホマシティ・サンダーのシェイ・ギルジャス・アレクサンダーですね。今夏の国際大会ではカナダ代表で活躍したので覚えている人もいると思います。プレーがカッコいいですし、スルスルとディフェンスの間を抜けていくステップもすごいと思います。日本人に例えると比江島(慎、宇都宮ブレックス)選手のような(笑)。

――カナダ版比江島ステップですね?
テーブス とても独特なリズムとステップなんです。彼も実は198センチあるのですけど、大きさを感じさせない運動能力を持っています。昨シーズンはオールスターとオールNBAファーストチームに選出されましたし、本当に注目してますね。

――やはり気になるのはガードですね?
テーブス やっぱりガードを見ることが多いですね。

――子どものころに憧れていたレブロンの今はどうですか?
テーブス 異次元ですよね。今年で39歳になるのに、いまだにスーパースターであり、カリスマですよね。今でも先発で出場していますが、ロールプレーヤーとして続けるのであれば、後10年は現役でいそうな気がします。アスリートとしての自己管理にはストイックですし、自己投資もきっちりしているんだと思います。

これまで以上に渡邊雄太八村塁に注目


――やはり今シーズンも注目したいのは、渡邊雄太選手と八村塁選手だと思います。テーブス選手も注目してますか?
テーブス もちろんです。

――渡邊選手とは日本代表で一緒にプレーしました。代表合宿も含めてどんな印象を持ちましたか?
テーブス もちろん持って生まれた才能を備えていると思いましたけど、一緒に試合にも出て、勝利へのこだわり、そしてハングリー精神だったりとか、全てにおいて一流だなと感じました。それを全部組み合わせないとNBAまでは行けないと思いました。

――ある意味日本人的ではないというか。
テーブス そうですね。あんまり日本人的ではなかったですし、アメリカに渡られて自然に身につけていったのだと思います。日本人の良さである周囲に気がつかえるところは素晴らしい文化なんですけど、コートに立っている以上、関係ないですし必要ではないところもあるので。雄太さんはそれを理解しているなと、一緒にプレーして思いました。

――渡邊選手は今シーズンでNBA6年目を迎えました。
テーブス 本当にすごいと思います。なかなか本契約を結べなかったり、Gリーグとのツーウェイ契約だったり、苦しい時期もあったと思います。NBAでは年齢を重ねることで契約するのが難しくなるのに、それを跳ね返したわけですから、本当にすごいと思います。

――八村選手についてはどうですか?
テーブス 八村選手は僕の1個上の学年なので、明成高校時代はもちろん、奥田中学時代も見ていましたよ。

――八村選手が中学のとき、将来NBA選手になると思っていましたか?
テーブス さすがに当時は想像できませんでした。それが明成高で2年生になったころには、あのサイズで機敏に動けて、シュートタッチも良くなっていて。すでにアメリカでもめったにいないような選手に成長していたので、環境さえ整えばアメリカの大学に行くと思っていました。

――その後、八村選手はゴンザガ大学に進みます。テーブス選手もアメリカのカレッジでプレーしましたが、NCAAトーナメントのファイナル4の舞台に立った八村選手をどう思っていましたか?
テーブス ゴンザガ大はアメリカの中でもレベルがかなり高いので、主力はすべてNBAのドラフト候補生という世界ですから。そこで下級生から活躍していたのはすごいですよね。

――今シーズンは渡邊選手と八村選手は西地区のチームに所属します、直接対決も4試合に増えます。加えて、プレーオフで顔を合わせるかもしれません。
テーブス 激熱ですよね。二人がチャンピオンを決めるプレーオフでマッチアップする可能性があるなんて。日本人のファンからすれば、もう夢の世界です。やばいっす。

――二人が活躍することで、今まで以上にミニバス、中学、高校生がNBAを見るようになると思います。子どもたちに自分のバスケの実力を上げるために、どのようにNBAの試合を見ればいいのか、アドバイスをお願いします。
テーブス まず自分の好きな選手を見つけて、その選手の技を見て、次の日の練習で試してみてください。自分にも経験がありますが、それが一番楽しいですし、その技術を覚えることにもつながります。実は今でもそういうことをしているんですよ(笑)。NBAの試合を見て、次の日の練習で試してみたりしています。自分が興味を持って、楽しいと思って練習することがうまくなる一番の近道です。そんな子どものころの気持ちを忘れたくないし、ぜひ実践してもらいたいと思います。

――アルバルク東京に移籍したシーズンがスタートしています。個人的には日本代表復帰のために大切なシーズンになると思います。
テーブス 代表メンバーから外れたことで悔しい部分もあったのですが、実際に国際大会が始まって試合を見ていると、一緒に練習してきた仲間が活躍しているわけです。興奮もしましたし、刺激も受けました。みんなのおかげもあり、来年、また国際大会にチャレンジできる機会を得たわけなので、モチベーションは当然上がりました。

――アルバルクではどのようなことを意識しながら試合や練習に取り組んでいますか?
テーブス チームの優勝が最優先ですが、自分がステップアップすることはチームにとってマイナスにはならないし、代表復帰にもポジティブな影響が出ると思っています。

――トム・ホーバス日本代表ヘッドコーチ(以下HC)のバスケを知っていることもアドバンテージになりますね?
テーブス はい。あると思います。実際に練習していたセットプレーを今大会でも使っていましたし、それが決まったときなど、自分もうれしく思いました。

――ホーバスHCの練習は厳しかったと出場した代表選手も言っていましたが、テーブス選手はどうでしたか?
テーブス 僕らがあまり前向きでなかった練習でHCは「今やっているメニューが本番で絶対に役に立つから」と言っていました。それらを時間をかけて徹底的に練習していったので、本番で迷いなくできたと思います。それこそ選手たちも迷いなく、今までやってきたことをそのままやればいいというマインドでプレーできたのではないかと思います。

――代表復帰のためにもケガなく、そしてアルバルクでの練習、試合が大事になってきますね。充実していますか?
テーブス 楽しいです。レベルの高い選手がそろっているので、刺激にもなっていますし、頼りにもなります。試合はもちろんそうですけど、練習からでも本当にいろんなものを吸収できるので、毎日が楽しいですね。充実しています。

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