2022.09.25

【B1クラブ展望/三遠】カルチャーの構築と勝利…名将・大野篤史は難題にどのような解を示す

今季から三遠の指揮官に就任した大野篤史HC[写真]=B.LEAGUE
ライター・カメラマン

 正直に言えば、蓋を開けてみなければ分からない。だが、それ故に、不気味であり、期待感も大きい。なにしろ、チームを率いるのはあの名将・大野篤史ヘッドコーチであり、ロスターにはあの“変態シューター“金丸晃輔が名を連ねているのだから。

 昨シーズンは太田敦也サーディ・ラベナら4選手以外を総入れ替えして再建を図ったが、14連敗を喫するなど低迷が続き、西地区最下位に終わった。Bリーグ初年度を除いて毎シーズン地区下位に沈んでいる状況を打破するため、今シーズンの三遠はクラブとして変革へと大きく舵を切った。

 千葉ジェッツをリーグ制覇、3度の天皇杯優勝に導いた大野HCを招へい。チームスタッフには大野HCを支えてきた8人を迎え入れ、刷新した。ロスターも継続選手が4選手、新加入が10選手と全く違うチームに生まれ変わった。2020-21レギュラーシーズン最優秀選手賞に選出された金丸晃輔、B1史上初の4試合連続トリプルダブルを達成したカイル・コリンズワース熊本ヴォルターズで活躍したスピードスター・佐々木隆成など個性豊かな布陣がそろった。

 ポイントとなるのは、コリンズワースの起用法だろう。アウトサイドでの高さのアドバンテージや金丸との連係の良さは魅力だが、外国籍選手は同時に2人しかコートに立てないため、彼が出場する時間はインサイドの1枚を日本人ビッグマンが担わなければならない。諸刃の剣を武器として生かすためには、ベテラン太田と大宮宏正、ポテンシャルの高い土屋アリスター時生の奮起が不可欠となる。

 今シーズンもゼロからのスタートとなり、序盤は苦戦が予想される。とはいえ、今シーズンから降格が復活するため、それほど悠長に構えてもいられない。チームカルチャーの構築と勝利を両立させるという難題にどのような解を示すのか。今シーズン一番の注目チームであることだけは断言できる。

■KEY PLAYER/PG・SG #24 佐々木隆成

[写真]=B.LEAGUE


 日本人ポイントガードは安定感のあるベテラン山内盛久、熊本からのステップアップに挑む佐々木隆成、中京大学在学中の高橋快成と持ち味の異なる3選手が揃った。なかでも注目は類いまれな身体能力を誇り、スピード豊かなドライブや巧みなパスと攻撃力の高い佐々木だ。

 2020-21シーズンには一流シューターの証である「50-40-90」を達成し、B2ベストフリースロー成功率賞(92.2パーセント)に輝いたシュート力を併せ持つ。プレシーズンゲームではディフェンスに定評があるB3静岡を相手に20得点を奪った。どのチームも金丸へのマークを徹底してくる中、佐々木がB1の舞台でシューターとしての力を発揮できれば、チームは一気に前進する。

 文=山田智子

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