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バスケ漫画『イチカバチカ』のコラボ楽曲「十八番」が話題を呼んでいる。作詞作曲を手がけたのは人気ボカロP・獅子志司氏。NBA観戦をきっかけにバスケに魅了された音楽家と、12年間バスケに打ち込んだ漫画家・本間仁助氏が語り合った。挫折を乗り越えた二人の創作論から、楽曲に隠された秘密、キャラクターへの想いまで。異なるフィールドで活躍するクリエイターが、バスケットボールという共通言語で紡いだ熱いトークセッションをお届けする。
■日本最強の「王華バスケ部」でマネージャーをしていた豆田 八(わかつ)が、天才プレーヤーの阿黒 一(はじめ)に才能を見いだされコンビを組むことに!! 孤高の天才一と、消えた神童八は、王華の監督である八の父をバスケで倒すため狼煙を上げる!!インタビュー=週間サンデー編集部
サンデー編集部 今回ボカロPとして活躍中の獅子志司さんからお誘いを受けて実現した『イチカバチカ』コラボソングですが、あらためて獅子志司さんが本作を選んだ経緯からお聞かせください。
獅子志司 漫画をよく読むのですけど、「サンデーうぇぶり」さんで何か漫画読もうかなと探していて「イチカバチカ」に出会って。本間先生の描く絵が本当に好みで。しかもバスケ漫画で、しかも相棒系で。主人公はなにか底知れない感じがして。さらに白髪の天才がいて! しかも成り上がり系で(笑)。自分の好きな要素っていうのが、めちゃくちゃ盛り込まれていまして。いや、これはもうちょっとぜひとも曲を書いてみたいな、って。それでサンデーさんにオファーしたところ、OKをいただけたので。本当に皆様、ありがとうございますっていう感じでした(笑)。
サンデー編集部 こちらこそ偶然見つけていただけてよかったなという気持ちです! 今の話、本間先生的にはどう感じましたか?
本間仁助 めちゃめちゃうれしいです! しかも自分が好きと思ったものが獅子志司さんとすべて一致しているっていうのはすごいですね(笑)。特に白髪の天才、私もめちゃめちゃ好きなんです。
獅子志司 そうですか! 本当にその属性が好きだったのでよかったです。
本間仁助 そこを好きって言ってもらえるのは、本当にめちゃくちゃ嬉しいです。
サンデー編集部 本間先生が好きなポイントを獅子志司さんが押さえてくれていますもんね。それは曲もそうなんですけど、歌詞からもすごく伝わってくる。それこそ漫画家と担当編集者しか知らないはずのこととかも(笑)。
獅子志司 作品を読んで自分なりに考えて。これ大丈夫かな…って思いながら歌詞は書きました(笑)
サンデー編集部 漫画に描いてない裏側とか行間みたいな部分も歌詞に込められているのが、担当編集者的にもすごく嬉しかったですね。たとえばアニメの主題歌とかだと、 アニメがまずあって、アーティストさんに「このアニメを見て作ってください」っていう順番で楽曲が作られると思うのですけど。
獅子志司 はい。
サンデー編集部 今回はアーティストさんの側から「この作品をを曲にしたいです」って言ってもらえたからこその「理解の深さ」がすごく伝わってきて感激しました。
獅子志司 ありがとうございます。
サンデー編集部 本間先生は獅子志司さんとコラボしますって聞いたとき、どういう心境でしたか?
本間仁助 もうびっくりでした…私の人生はボカロ文化でめちゃめちゃ彩られていたので(笑)。じつは自分自身も漫画家になる前はボカロPになってみたいとか思っていて…
獅子志司 そうなんですか!
サンデー編集部 知りませんでした…!
本間仁助 ただ自分は音楽の才能がまったくなかったので、すぐ諦めたのですけど(笑)。本当に光栄としか言いようがないですね。私はよく音楽からインスピレーションを受けてキャラクターを作ったり、自分の作品に合う楽曲を探したりとかよくするんですけど、それを逆にやってもらえて『イチカバチカ』の曲を作ってもらえるっていうのが本当に嬉しくて。嬉しさと驚きで、もうすごい心境だったなとは覚えています(笑)。
獅子志司 ありがとうございます。今先生がおっしゃっていた「ボカロが人生を彩って」というのは、どなたの曲を聴いていたのですか?
本間仁助 当時はハチさんやカゲプロさんですね。今回、獅子志司さんの曲も聞かせていただいて、ぶっ刺さり (笑)。PVも好きだし楽曲の雰囲気も好きだし、当時のボカロPの雰囲気もちょっと感じるものがあって。
サンデー編集部 獅子志司さんは青春時代に聴いていたもので影響を受けている曲などはありますか?
獅子志司 本間先生と同じくハチさんもそうですけど、n-bunaさんも尊敬しかなかったですね。でも、じつはボカロPは深めに知っているわけじゃなくて…意外に浅めの有名な方を聴いていました(笑)
サンデー編集部 いえ、いいと思います!
獅子志司 でも本間先生すごいな。ボカロPを目指していたっていうのはすごく驚きました。
本間仁助
当時、自分が「物語を作りたい」ってなった時に、ボカロって結構、そういう場になっていたので。
獅子志司 確かに、そういうところはありましたね。
本間仁助 ボカロって物語を作れるコンテンツとしていいなって思ったんですけど。でも本当に自分が音楽に疎すぎて、全然駄目だったんです。それで漫画家になったっていう経緯で。
獅子志司 なるほど。
本間仁助 だからめっちゃ憧れています、ボカロPさんに。
獅子志司 俺も漫画家に憧れているんですけど…絵が下手くそで(笑)
サンデー編集部 お互い憧れているものが逆ですね(笑)。
獅子志司 尊敬している職業は漫画家さんです。漫画家さんはすごい!
サンデー編集部 お互い憧れているという(笑)。
サンデー編集部 さきほど本間先生がおっしゃっていた「自分が作りたかった物語があった」など、獅子志司さんがボカロPになったキッカケもありますか?
獅子志司 自分はシンガーソングライターになろうとしていて、路上ライブもしていたんです。でも全く見向きされず…誰にも立ち止まってもらえなかった。もう心が折れてしまって…でも曲作りは本当に好きだったので。何かのキッカケで「ボカロ」っていう文化があると知り、ネットに音楽を上げる事に一気にのめり込みました。
サンデー編集部 なるほど。まず挫折があったと。
獅子志司 挫折でしたね。
サンデー編集部 でもそのあとはボカロPとしてみんなに聴いてもらえるようになって。
獅子志司 そうですね。諦めずに頑張ってよかったな、と。
サンデー編集部 いや本当にそうですね。
サンデー編集部 獅子志司さんはバスケが好きと伺いました。
『永遠甚だしい』や『絶え間なく藍色』など数々のヒット曲を生み出す「ボカロP」として活動。曲だけでなく言葉遊びや韻を踏む巧みな歌詞が、絶大な支持を集める。YouTubeチャンネル→https://www.youtube.com/@Shishishishi_C4サンデー編集部 「バケットボールキング」は知っていますか?
獅子志司 はい。有名なので。でもさすがに自分がちょっと場違いすぎて。本間先生の話を8割にして欲しいなっていう(笑)。
本間仁助 いや、私もそれほど詳しくはないので(笑)。
獅子志司 自分は、八村塁選手(ロサンゼルス・レイカーズ)がNBAのドラフトで1巡目指名されたときぐらいから追い始めたんです。
サンデー編集部 なるほど。獅子志司 あとは渡邊雄太選手(現千葉ジャッツ)の動画を観たり、もうほぼNBAですね。NBAのバケモノたちのプレーを観ています。
サンデー編集部 獅子志司さんが好きなプレーは「バケモノみたいなプレー」なんですね。
獅子志司 そうですね。ジャ・モラント選手(メンフィス・グリズリーズ)とかアンソニー・エドワーズ選手(ミネソタ・ティンバーウルブズ)のプレーなんかもよく観ます。とんでもないプレーをしている選手が好きですね。
サンデー編集部 ものすごい迫力のダンクとか…
獅子志司 そうそう! かっこいいなって感じます。
サンデー編集部 なるほど。もともとバスケに興味なかった人が、日本人選手をきっかけでバスケにハマって、しかもバスケの曲まで作って…いい話ですね。
獅子志司 本当ですね。
サンデー編集部 本間先生はバスケを題材に選ぶぐらい、バスケに縁はあったわけですけど。その辺りをあらためて詳しく教えてもらえますか?
本間仁助 私は小学校低学年からバスケをやっていました。兄が始めたから自分も…って、よくある形だったんですけど。父もミニバスのコーチをやっていまして。
獅子志司 バスケ一家だったんですね!
本間仁助 でも運動音痴すぎて…家で絵を描くことが好きでしたし。でもある日、父に「お前の入部届け出してきたから」って言われて、そのまま体育館へ連れて行かれ(笑)。なんかもう地獄のような走り込みをさせられ…そこからすべてが始まった(笑)。
獅子志司 すごい! 漫画みたいな導入ですね…
本間仁助 でも辛かったけど仲間に恵まれて、高校まで続けて。
獅子志司 何年ぐらいやったんですか? トータルで。
本間仁助 トータルだと12年間ですかね。
獅子志司 ええっ! すごいと思います。
本間仁助 やめられる環境じゃなかった(笑)。
サンデー編集部 12年もどっぷり続けた本間先生が思うバスケの魅力ってあります?
本間仁助 なんだろう…「トランジションゲーム」っていうか、どんどん点が入るところですかね。自分がやっていても、試合中にたくさんチャンスが来るっていう感覚があって。例えば他の球技とかってシュートチャンスが少なかったりもするじゃないですか。でもバスケだと自分がシュートを1回外しても、次のチャンスがまたすぐ来るのが、自分にとってやりがいでした。
獅子志司 たしかに。自分みたいな観ている側にも、シュートが何度も見られるっていうのは魅力ですね。
サンデー編集部 本間先生は結構面白い人生で(笑)。お兄さんと弟さんがいらっしゃるんですけど。兄と弟ふたりとも強豪校のバスケ部に所属してたんですよ。
獅子志司 ええっそれはすごい!!
本間仁助 兄弟が2人とも強豪校でやっていて、その間に挟まれてる私は全然運動ができなかった。バスケも頑張ってはいましたが、得意ってわけではなかった。バスケ一家の中では存在価値がないというか…父も母も兄と弟の面倒ばかり見てましたね。
獅子志司 『イチカバチカ』の主人公とお父さんの関係に似ていますね。
サンデー編集部 さきほどの獅子志司さんの路上ライブのお話…「全然聴いてもらえなくて心が折れた」とおっしゃっていましたが、おふたりともスタートラインに挫折があるんですね。
獅子志司 もし順風満帆だったら本間先生は漫画を描いてないかも知れないですね。
本間仁助 そうですね…そう思います。
サンデー編集部 挫折を抱えたおふたりがバスケを通じて出会ったのも素敵です。
サンデー編集部 獅子志司さんは今回『イチカバチカ』というバスケ作品を題材に曲を作られましたが、感想をお聞かせください。
獅子志司 めっちゃ楽しかったですね!
本間仁助 うれしいです!
獅子志司 自分が好きな作品だとこんなにもスラスラ曲を書けるものなのか! みたいな。やっぱり自分の中ではバスケって一番に来る感情は「かっこいい」だったので、本当に「かっこいい」曲にしたいなって思って。
本間仁助 はい、最高でした!
サンデー編集部 よく聴くとドリブルの音などが入ってますよね。

©本間仁助/小学館
獅子志司 そうですね。ドリブルの音とかシュートの音とか、本当に心地いい音だなって思っていて。せっかくだから曲に入れちゃいました。
サンデー編集部 冒頭のドリブルの音は聞き取れたのですが、シュートの音はどこですか!?
獅子志司 わかるかわかんないかぐらいの音で、サビとかサビ前に若干聞こえるぐらいなんです。若干なので気付けなくて当然だと思います。
サンデー編集部 いや、むしろそのお話を今聞けてよかったと思いました。「あ、ここか!」という発見がまたあると思うので。この記事を読んだ方が「自分も探してみよう」ってなると思います。ドリブルの音は、そういう音源があるものなのですか?
獅子志司 自分の音楽ソフトにドリブルの「ダムダム」っていう音が入っていました。今回使うまで「こんな音、誰が使うんだよ」って感じでした(笑)。
サンデー編集部 かっこいい曲にしたかったとおっしゃってましたが、獅子志司さんが作ってきた曲と比べて雰囲気が変わった印象があります。
獅子志司 「かっこいい系を自分が作ってもいいのかな?」と思う節があって。こういう曲ってイケメンのロックバンドとかが歌うんじゃないのかな、みたいな遠慮があったというか(笑)。でもやっぱり『イチカバチカ』はかっこいい作品だなって思ったので。
サンデー編集部 ありがたいです。素人意見ですけど、ちゃんとめちゃくちゃかっこいい曲になっていると思います。
獅子志司 うれしいですね。
サンデー編集部 本間先生は気に入っている歌詞はありますか?
本間仁助 どこの歌詞も良くて悩むんですけど…初めて聴かせていただいたときに、最後の「今はただ君を待つ」のところで泣いちゃいました。「この漫画をわかってくれてる!!」と。本当に印象的でしたね。
獅子志司 うれしい、ありがたいです。
本間仁助 あと曲の途中のラップ部分に「ドリブル」とか「フェイドアウェイ」とか「ターンアラウンド」とかバスケ用語が散りばめられていて。それだけでテンション上がって。ターンアラウンドとか自分が小学校のころにめちゃめちゃ練習させられたな、と思い出して(笑)。
獅子志司 思い出がよみがえったんですね(笑)。
本間仁助 バスケをやっていたころを思い出して、良かったです、本当に。
サンデー編集部 歌詞がいいですよね。「エンドワン」とか、バスケをやっている人ならわかりますよね。
獅子志司 ノリで歌詞は書いちゃったんでちょっと恥ずかしいんですけど(笑)。自分の好きなフレーズをただ入れただけですし。
サンデー編集部 では韻を踏むために入れたというより、好きなバスケ用語を入れたと。
獅子志司 一応、韻は踏みつつ、自分の好きなバスケ用語を使いました。バスケの曲なのでバスケの言葉を入れてもいいのかなと思って。
サンデー編集部 とてもいいと思います。『イチカバチカ』を知らない人でもバスケを好きだったら、この曲を聴いたときに興奮するだろうと思います。獅子志司さんが気に入っている歌詞はありますか? 自分で作ったものを説明するのは恥ずかしいかも知れないですが(笑)
獅子志司 ちょっと恥ずかしいですけど(笑)。サビの「わかっていた僕は凡人だ」と「はじめから持った天性だ」のフレーズですかね。
サンデー編集部 はい! 『イチカバチカ』を連想させてとてもいいです!!
獅子志司 実はそれぞれのフレーズの頭が「八(わかつ)」と「一(はじめ)」(『イチカバチカ』のキャラの名前)になっているんです。


©本間仁助/小学館
サンデー編集部 えっ…!? 気づいていませんでした。ほんとだ、一と八の名前が歌詞に隠されてる!! ええっすごい!!
獅子志司 ちょっと気づきにくいと思いますが。上手くできたなっていう(笑)。後半にも「わかっていた有象無象なんだ」と「はじめようか唯我独尊だ」のところに八くんと一くんの名前が隠されているという…曲を聴いた『イチカバチカ』ガチファンが気づいてくれればいいな、くらいの感じで入れてます。
サンデー編集部 曲の動画を観て気づいた人がコメントしてくれたらめっちゃ気持ちいいですね。ちょっと今鳥肌なんですけど(笑)。本間先生は気づいてました?
本間仁助 いえ(笑)。名前そのものが歌詞に隠されているなんて…めちゃくちゃテンション上がります! 本当に気付きませんでした。今更ですけどタイトルの「十八番」もそうですよね。
獅子志司 そうですね。これも「一」と「八」の名前から。
サンデー編集部 随所に散りばめられた言葉遊びみたいな。作者と担当編集が一番大事なところに気づけなかった(笑)。
獅子志司 いや、難しいですよ(笑)
サンデー編集部 お二人は一と八、どちらに共通点があると思いますか? ちょっと天才の一に似ているとは言いづらいとは思いますが(笑)。
獅子志司 そうですね(笑)。
本間仁助 言えないですね(笑)。一は憧れですね。
獅子志司 そうですね、憧れ。
サンデー編集部 確かに。ボカロPと漫画家であるおふたりの周囲には、一みたいな天才はたくさんいそうですよね。 ちなみに獅子志司さんってボカロ界隈での繋がりみたいなものはあるんですか?
獅子志司 僕はあの…友だちがいないことで有名なんで(笑)。
サンデー編集部 有名なんですか(笑)。
獅子志司 1人でずっと何かやってる…みたいな人間です。
サンデー編集部 なるほど。
獅子志司 でも自分は八くんでもないような気がします。八くんも自分に比べたら「主人公」すぎる。自分は野球やってたんですけど、完全にモブだったんで。
サンデー編集部 モブ!
獅子志司 自分に比べたらふたりは存在感が強すぎます。
サンデー編集部
なるほど。もっと名前もないような…
獅子志司 はい。モブでした(笑)。ただ、人の顔色をうかがってた八くんとは、似たものがあるかもしれない。
サンデー編集部 本間さんはどうですか。
本間仁助 自分のコンプレックスを八というキャラにつぎ込んだところがあって。正直、八と父との関係性は、自分の境遇から来ているんだろうなって思っています。私も父の顔色をうかがうことがあったり…
獅子志司 うんうん。
本間仁助 たぶんそこから八の「人の顔をうかがう」って性格は来ていると思いますね。
サンデー編集部 なるほど、そうですよね。
獅子志司 ちなみにお父さんは漫画を描いていること知っているんですか?
本間仁助 バリバリ知ってますね(笑)。漫画はちょっとだけ褒めてくれるんです。バスケでは全然褒めてくれなかったのに。父にちょっとは褒めてほしいっていうのもあって漫画を描いているのもありますね。
獅子志司 バスケをやっていたころの寂しい思いを漫画で払拭できたと。
獅子志司 キャラの顔に文字が浮かぶっていうのは、どういうところから生まれたアイディアなのですか?
本間仁助 元々考えていた八の能力はちがったんです。でも担当さんと相談してこの方が面白いよねっていう話になって。

©本間仁助/小学館
獅子志司 いや斬新ですよね、まじで。
本間仁助 本当ですか。うれしいな(笑)。
獅子志司 この能力になる前、どんな能力だったんですか。
本間仁助 元々は「逃げる」能力だったんです。常にビクビクしていて、危険を察知して安全な場所に逃げ込んでしまう能力。この能力があればバスケでもディフェンスのフリーなところがわかって役立つっていう。でも今の能力に変えてよかったのかな。八のやれることの幅が増えたというか。
獅子志司 そうですね。たしかに。
サンデー編集部 本間先生の兄弟へのコンプレックスなどが漫画を考える上でネタになっていると思いますが、獅子志司さんもやっぱりそういう思い出が曲作りのバックボーンになっていると感じますか?
獅子志司 そうですね。八くんは抑圧された環境にも関わらず、それでもバスケが好きで。自分もどんなに路上ライブで立ち止まってくれなくても音楽はずっと好きだったので。そういうところは八くんに共感しました
サンデー編集部 なるほど。いい話ですね。苦しいことはいっぱいあったけれど、それでも音楽を嫌いならなかったんですね。
本間仁助 獅子志司さんの作るちょっと解釈が必要になるような歌詞、とても好きです。歌詞を作るのに何か参考にされているのとか、何かこういうことをしてきたみたいなものってありますか?
獅子志司 もうまさしく漫画ですね! 今回も『イチカバチカ』を読んでまた吸収しました。作品の中に、先生がきっといろいろ調べられただろうなっていう言葉が散りばめられているんで。
サンデー編集部 確かにそういう意味で少年漫画とボカロってすごく共通している部分があるのでは。かっこいい言い回しとか、ちょっと中二病っぽいセリフとか。
獅子志司 そうなんですよ。
サンデー編集部 本間先生をはじめ漫画家さんもすごくボカロ曲を参考にすることが多いと思うし。逆にボカロP側も漫画からインスピレーションを受けている部分があると。
獅子志司 そう思います。あと漫画家さんが付けるキャラクターの名前が面白いですね。自分のキャラクターへの愛が感じられて。
サンデー編集部 たしかに名前は漫画家さんの個性出ますね。名前にこだわらない人は全然こだわりませんけど。本間先生はこだわるタイプですよね。
本間仁助 こだわってますね(笑)。
獅子志司亜院秀太とかよかったです(笑)。

©本間仁助/小学館
獅子志司 名前だけで「天才」なキャラって思いますもんね。
本間仁助 はい(笑)。亜院秀太という名前が出たのはちょっと自分の中でもファインプレーと思ってます(笑)。
サンデー編集部 そういうのが歌詞の参考になると!
獅子志司 そうですね、今回コラボ曲を作らせて頂いたことでお互いいい刺激になればうれしいですね。
本間仁助 とてもなってます!
サンデー編集部 この対談が本間先生の漫画と獅子志司さんの曲にどんな影響を与えるか今後に期待しつつ…本日はありがとうございました!