2017.10.01

開幕直前のピンチを回避したアルバルク東京、安藤誓哉と正中岳城が序盤戦のカギ

チームの新司令塔として期待を背負う安藤[写真]=B.LEAGUE
バスケットボールキング編集部

 2シーズン目のBリーグは9月29日に続いて、翌30日、残る5カードも行われ、B1全18チームがアリーナに登場した。強豪がそろった東地区は2017-18シーズンの開幕前から注目を集めているが、関東アーリーカップを制したアルバルク東京が、大阪エヴェッサのホームである府民共済SUPERアリーナに登場。開幕戦を戦った。

 ルカ・パヴィチェヴィッチ新ヘッドコーチを迎え入れ、新体制でリーグ初優勝に挑むA東京。その中で開幕前にポイントガードの1人、伊藤大司が期限付きながらレバンガ北海道に移籍となりチームを離れた。加えて、開幕の1日前に小島元基がケガのため大阪戦を欠場することが発表され、A東京はいっぺんに2人のポイントガードを失う事態になってしまった。

 チームで残されたポイントガードは安藤誓哉のみ。ルカHCは今シーズン、コンボガード(ポイントガードとシューティングガードの両方の役割を行い、ポイントガードと一緒にコートに立つ攻撃的なポジション)で起用予定だった正中岳城を1番の控えに回すことを決断。さらに学業のためチーム練習を十分行えず、当初開幕戦でプレーさせない予定だった馬場雄大もスタンバイさせ、スクランブル体制を敷いた。

 それもあったのだろう。第1クォーターは大阪のプレッシャーの高いディフェンスもあり、重い展開となった。ルカHCが得意とするピック&ロールからの崩しもアジャストされ、17-17の同点で第2クォーターに入っていく。4532名のブースターが詰めかけた府民共済SUPERアリーナは、善戦に呼応するかのように大歓声で大阪を後押しした。

大阪のグレッグ・スミスは両チーム最多の19得点[写真]=B.LEAGUE


 その嫌な流れを断ち切ったのがジャワッド・ウィリアムズ。コートに入った早々7連続ポイントをあげて、リード広げる。この場面、すかさず大阪の桶谷大HCがタイムアウトを申請して試合を止める。その後、大阪はグレッグ・スミスのインサイド、橋本拓哉の速攻などで何とか踏みとどまった。

 後半に入り、A東京はディフェンスのプレッシャーを高める。また、安藤、正中を同時にコートに立たせてボールムーブを速めると、大阪のディフェンスの足が止まるようになり、A東京は速攻やレイアップなどのイージーオフェンスが多くなり、次第にリードを広げていった。対する大阪はタイムアウトやディフェンスをゾーンにチェンジして何とか抵抗を試みるも、A東京の圧力を跳ね返す力はなく、リードを広げられたまま試合終了。大阪とA東京で争われた開幕戦は、80-61でA東京が今シーズン初勝利をあげた。

 「後半に入り、何本かオフェンスの終わり方が悪く、そこで戻りが遅くなったところをレイアップで決められた。前後半を通して、戦術的には間違ってなかったと思うが、選手たちがそれを40分やりきる力がなかった。これが今の実力だと思うが、遂行能力を上げていきたい」と、桶谷HCは敗因を分析。「しかし、点差ほど力の差がないことも確信した。第2戦に向けてすぐに準備を行う」と、気持ちを切り替えていた。

指示を送るルカHC[写真]=B.LEAGUE


 一方、自身としてリーグ戦初勝利をあげたルカHCは選手の活躍を評価。「開幕戦で、しかも大阪のファンの前でいいパフォーマンスをしてくれた選手たちにおめでとうと言いたい。この試合は40分間、大阪のオフェンスを簡単に決めさせなかったのが勝因。ただ前半はややソフトに入ってしまい、相手のセンター陣にやられたイメージはある。アウェイでの連勝は厳しいが、ディフェンスを修正して第2戦に臨みたい」

 こちらも開幕戦勝利の余韻はすでになく、第2戦に向けてアジャストを始めているようだ。開幕直前に起きた緊急事態を回避したA東京。それでも小島の復帰、さらにこの試合で無得点で終わった馬場が本調子になるまで我慢の戦いとなるだろう。長いシーズンだが、開幕ダッシュが大切なのは戦いの常道。それを敢行するためにも、正中をはじめとする残りのメンバーたちの奮闘は不可欠だ。

文=入江美紀雄

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