2018.03.29

目前での優勝決定も、名古屋ダイヤモンドドルフィンズの笹山貴哉「力で負けているとは全く思っていない」

名古屋Dをけん引する司令塔の笹山。28日の三河戦では両チーム最多タイの20得点をマーク[写真]=B.LEAGUE
バスケットボールキングプロデューサー(事業責任者)

 3月28日、ウィングアリーナ刈谷でB1リーグ第25節が行われ、シーホース三河名古屋ダイヤモンドドルフィンズとの“愛知ダービー”を延長戦までもつれながらも91-90で制し、今シーズンも一番乗りで地区優勝を決めた。

 目の前で優勝決定を決められる悔しい思いをした名古屋Dだが、第3クォーターまでは67-54とリード。試合全体をとおしても最大得点差は17点あったにもかかわらず、このリードをひっくり返される大逆転を許し苦杯をなめる結果となった。

 ホームアリーナで地区優勝を決めたい三河と、目前での優勝を阻止したい名古屋Dの試合は、序盤から一進一退の白熱した試合となったが、より自分たちのバスケットボールを実践できていたのは名古屋Dだった。

 名古屋Dはスピードに欠ける三河のインサイド陣の弱点を突き、意識して速い攻撃を展開。若さと脚力を活かしたスピード溢れる攻撃と、迷いのないシュートセレクトで、第3クォーターまでは、三河を上回るパフォーマンスを見せた。この名古屋Dの攻撃をけん引したのが25歳の司令塔、笹山貴哉だ。

 笹山はこの試合で両チームトップタイの20得点を挙げると同時に、苦しい局面では難しいシュートを次々と沈めてみせた。笹山は、自身の奮闘むなしく延長戦の末に敗れた一戦を振り返ると「第3クォーターまでは自分たちのやりたいことができていたが、(ジャスティン)バーレルが退場して、三河のインサイドに得点を取られはじめて流れが悪くなりました」と語り、「(バーレルの退場により)そうなることは目に見えていたが、自分たちのオフェンスでカバーできなかった」と肩を落とした。

 名古屋Dは第4クォーターに入り、大声援の後押しを受ける三河の勢いと、地鳴りがするようなアウェイの雰囲気に完全に飲みこまれてしまい、一気にトーンダウン。それまでの思いきりの良さは影をひそめ、パスを出す相手を探すようなプレーが目立った。ボールの預け先としてファーストチョイスとなるバーレルをファウルアウトで失うと、迷いはますます顕著となり、攻撃のリズムを完全に失った。

 笹山はポイントとなった第4クォーターについて「もっと自分が声を出して、中心になるべきだった。勝っても負けてもポイントガードの責任は大きい」と述べると、「第4クォーターは僕がもっと長い時間ボールをもって、しっかりと時間を使ってシュートを打ちきるべきだった。」と反省を口にした。

 この一戦では接戦を演じた名古屋Dだが、シーズンをとおしてみると、同地区首位の三河に対し15ゲーム差(同日時点)を許し、結局、リーグ最速での地区優勝を決められる結果となった。この三河との大きな差について問われた笹山は「力で負けているとは全く思っていない」とはっきりと口にすると、「経験、そしてメンタルタフネス・・・・・・。一番はメンタルの差だと思います」と語った。続けて「あの状況でゲームを楽しむことができないと、三河には勝てない。アウェイということもあったのですが、最後は完全に敵地の雰囲気に飲まれてしまいました」と追いこまれて浮足立ったチームの状況を分析した。

 チーム自体は悔しい敗戦を喫したものの、2年目のBリーグにおいても部類の強さを見せた三河に対し、互角以上に渡りあった笹山のプレーは光るものがあった。三河の屈強なインサイド陣をあざわらうかのようなフローターシュートを度々決めてみせた名古屋Dの司令塔は「僕は正直、完全な悪者になることを楽しめていました」とアウェイの大観衆を前に演じたヒール役をを楽しんでいたことを明かしたが、「(第4クォーター)最後のシーソーゲームになったところでも、試合を楽しむことができるタフさをもっと身に着けていかないと、三河には追いつけないと思います」と同地区のライバルに追いつくための反省も忘れてはいない。

 中地区優勝は決定したが、チャンピオンシップ出場権のかかる2位争いは予断を許さない状況が続く。名古屋Dがこの椅子を勝ち取るためには、チームのメンタルタフネスの向上と、司令塔笹山のさらなる成長が不可欠となる。

文=村上成

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