2018.06.03
約1年ぶりの帰還となった。永吉佑也はかつてのホームアリーナで成長した姿を見せることができた。所属する京都ハンナリーズは古巣の川崎ブレイブサンダースに連敗。4月27日の1戦目(80-85)は、永吉自身も6得点に終わったが、翌日の2戦目(73-77)は39分15秒の出場で13得点11リバウンドの“ダブルダブル”を記録。チームも第4クォーター残り4分までリードを奪うなど、昨シーズンのファイナリストに冷や汗をかかせた。
26歳となった背番号43は堂々たるパフォーマンスを見せながら、「チームメートが助けてくれた」と味方の奮闘、援護を称えた。自身のプレーについては「昨日も試合があり疲れもあってシュートタッチが良くなかった。リバウンドに関しては……」といった感じで歯切れが良くなかった。
「勝てそうな試合で勝てなくて悔しい」との言葉どおり、一度は逆転しながら終盤にゲームをひっくり返された。「手応えをつかめたけど、まだまだだなと思う部分もある」という想いからだろう。あと一歩届かず連敗を喫したことで、充実感よりも無念な気持ちが先行しているようにも見えた。
3年間過ごした川崎を離れ、昨夏京都に加入。川崎市とどろきアリーナでプレーすることには特別な想いもあり、「いろいろと思い出しながらプレーしていた」。会場の雰囲気はたった1年で大きく変わった。「昨シーズンよりもパワーアップしていた。フロントスタッフの努力によってファンを獲得したんだな、クラブとして着実に力をつけているんだなと感じた」
「川崎ではどちらかと言うとサポート役で、言われたことを一生懸命やるだけだった」。歴史ある強豪クラブでは“受け身”だったのかもしれない。それが、決意新たに移籍した京都では「自分を出せるようになった」という。「自分のやりたいことを伝えるようになったし、逆に周りに意見を求めるようにもなった」
主体的にプレーしているからこそ、チーム全体の課題も見えている。第2戦を振り返り、永吉はこう提言する。「がんばって食らいついていく中、勝負どころで川崎はエンジンを掛けてきた。そこで自分たちがどれだけギアを上げられるかだった。こういう場面では、チーム内で鼓舞し合いながらやっていくしかない」
外国籍選手が実質1人という状況下で、その唯一のジョシュア・スミスもファウルがかさみ、日本人ビッグマンである永吉への負担は大きかった。それでもゴール下で体を張り続け、チームは川崎と互角に渡り合った。古巣を苦しめたこと、これこそ永吉の成長の証であり、お世話になったクラブへの“恩返し”と言えるだろう。
文=安田勇斗
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