2019.05.07
見ている自分と、プレーしている長谷川技には感じ方にギャップがあった。確かに、3ポイントシュートを9本打って成功は2本と確率は決して高くない。実際、2017年11月18日の富山グラウジーズ戦では3ポイントを8本打って5度ネットを揺らしており、好調とは言えないかもしれない。とはいえ、この試合では何度もノーマークの状態を作り、3ポイント試投数は今季最多の9本。決めた2本は24-24とする同点弾、40-37とする逆転弾とどちらもインパクトが強く、勝負強さが印象に残った。
長谷川は淡々と話す。「ノーマークだから打っただけ。でも、今日は全然入らなかった」。チームプレーの賜物とも言えるが、そもそもノーマークになれるポジショニングセンスが際立っていた。「相手のディフェンスがニック(ファジーカス)のピック&ロールや、逆サイドのヘルプに寄っていた。コーナーが空くのがわかって、そこに自分が行ったけどシュートが入らなかった」と小さく笑う。
北卓也ヘッドコーチからは、「ディフェンスで相手の流れを止めることと、得点も2ケタは取ってほしいと言われている」。前日は約22分間出場して2ポイントの試投1本、0点に終わった。それもあってか、この日は積極的にリングに向かう姿勢が見て取れた。
ノーマークでは打つよう指示されており、「(第1クォーターに)2本外して、今日はダメだと思った」が、北HCからの反応は良く、打ち続けた結果、大事な場面で得点が決まった。1本目は第2クォーター開始3分43秒、相手に流れを持っていかれそうなところで篠山竜青のアシストから3ポイントを突き刺した。
2本目は第3クォーター開始2分38秒、自らオフェンスリバウンドを拾い、辻直人からパスを受けコーナーからチームを勢いづかせる3ポイントを沈めた。40-37としたこの得点以降、川崎ブレイブサンダースは終始リードを守り、滋賀レイクスターズを74-60で撃破した。チームは8連勝を達成、東地区2位の千葉ジェッツに1ゲーム差に迫った。
チーム好調の要因は「最近は、ディフェンスして走ってイージーに点を取るという、自分たちのバスケットができている」こと。実際、滋賀戦では27本の3ポイントを放っており、これはチームバスケットが機能していることを表していると言えそうだ。長谷川の3ポイント成功率はここまで40.5パーセント。9本放っていれば本来3、4本は決まるだろうし、チーム全体で見てもシュート確率がもう少し安定していればスコアは大きく伸びただろう。
これから川崎は栃木ブレックス、千葉、アルバルク東京と同地区のライバルとの試合が続く。あまり多くを語らない“仕事師”だが、チームの仕上がりには自信を口をする。「相手どうこうより、自分たちのバスケットを40分間できればいい結果がついてくる」。その言葉どおり、こうした戦いを続けていれば地区首位も見えてくるはずだ。
文=安田勇斗
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