2022.05.09

【朴航生が島根優勝のカギを語る】「阿部、白濱、ニカの積極性が非常に重要」

チーム初のチャンピオンシップ出場を果たした島根スサノオマジック[写真]=B.LEAGUE
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 5月12日から戦いの火蓋が切って落とされる「B.LEAGUE CHAMPIONSHIP 2021-22」。島根スサノオマジックはチーム史上初となるチャンピオンシップ出場を果たした。初めて臨むCSでは名だたる強敵が待ち受けているが、勝ち進むには何が必要なのか。島根のホームゲームで解説を務める朴航生氏に話を聞いた。

インタビュー・文=岡本亮
取材日=2022年4月13日

――島根のここまでの戦いぶりについてどんな印象を持っていますか。
 戦績を見ても分かりますが、シーズンオフの補強が成功しました。補強を成功させた時点で球団として目指そうとした場所に達しているなという印象ですし、クラブ初のチャンピオンシップ出場を決めたのでこれ以上ない成果が出ていると思います。

――今シーズンからチームを率いるポール・ヘナレヘッドコーチは『バズソーバスケット』というスタイルを掲げました。
 『オフェンスとディフェンスが表裏一体で回り続けるもの』という考えのもと、40分間とおしてタイマーが止まらない限りはプレーし続けるスタイルです。相手に得点されたとしてもすぐに切り替えてアーリーオフェンスにつなげますし、自分たちの流れを途切れさせないところが強みになっていますね。

――今シーズンは同一カード連敗が一度のみと安定した戦いぶりを披露しました。
 ヘナレHCが選手に求めるものは非常に高く、常に遂行力を追求しています。そのうえ目の前の敵を倒す意識が非常に高いので、多くの勝ち星を獲得できています。

 昨シーズン香川ファイブアローズを指揮していた時は8〜9人でローテーションを回していましたが、島根では局面によっては6、7人で試合をこなします。ファンからすると『選手をもっと使えばいいのに』と感じるとは思いますが、常に勝ち切ることを意識しているのでそういう起用方法になるのだと思います。

――今シーズン加入した新戦力の評価を教えてください。
 結果が示しているように新加入選手が存在感を遺憾無く発揮しています。安藤誓哉選手は個人成績が大幅に向上し、アルバルク東京にいた時より存在感があると感じています。

 ニック・ケイ選手は日本でのプレーが初めてですが、東京オリンピックで銅メダルを獲得したオーストラリア代表で先発を務めただけあって素晴らしい活躍を披露していますね。どんなシーンでも誰よりもひたむきにやるべきことを続ける姿は、チームメートに好影響を与えています。

 金丸晃輔選手は昨シーズンMVPを受賞し、大きな期待を受けて島根に加入しました。序盤はバスソーバスケットにフィットするのに時間がかかった印象ですが、故障明けの3月30日三遠ネオフェニックス戦からは『らしさ』が出てきたと思います。

今季加入したケイは持ち前のエナジーで攻防両面で大きな活躍を見せている[写真]=B.LEAGUE

「主力選手の疲労をどれだけ軽減できるかがポイント」

――今シーズン最も成長したと感じる選手は?
 白濱僚祐選手ですね。今シーズン序盤はプレータイムが限られていましたが、やるべきことをやり続けた結果HCの信頼を勝ち取りました。オフェンスでは3ポイントシュートの試投数が秋田ノーザンハピネッツ時代まで回復していますし、ディフェンス面ではエースストッパーとして活躍してくれる。チームにとってとても心強い存在だと思います。

白濱は持ち前のディフェンス力でエースストッパーとして活躍している[写真]=B.LEAGUE


――ディフェンス面では阿部諒選手の成長も見逃せません。
 阿部選手が序盤スターターとして起用されていた理由の一つとして挙げられるのが、オフシーズンに体を絞ったことです。昨シーズンと比べ、倍以上速い展開のバスケットに順応するために準備したのが大きかったですね。阿部選手と白濱選手は数字以上のものをチームに与えてくれていると思います。

――島根は主力選手にプレータイムが偏っているため、疲労が気になります。
 チャンピオンシップへ出場するチームの中では、主力選手にストレスがかかっているほうだと思います。リード・トラビス選手の長期離脱がチームに与える影響は大きく、ペリン・ビュフォード選手やケイ選手はフル出場が続く時期もありました。なので、チーム全体でどれだけ主力選手の疲労を軽減できるかが大きなポイントにになりますね。

――島根はチーム史上初のCSを戦いますが、勝ち抜くために必要なことは?
 CSではレギュラーシーズンよりディフェンスの強度が格段に上がるので、ビュフォード選手ら得点力のあるプレーヤーへより厳しいマークが予想されます。相手は主力選手からボールを離させようというディフェンスを仕掛けてくるため、パスを受け取る立場となる阿部選手や白濱選手、ウィリアムスニカ選手の活躍が非常に重要です。彼らが活躍できるかどうかが勝ち抜くうえで非常に重要になってきますし、ボールを受け取ったら積極性を出して得点を狙ってほしいですね。

――Bリーグ制覇を目指すうえでの懸念材料を挙げるとしたら?
 どのチームにも言えることですが、いかに選手の健康状態を保てるかがカギになってくると思います。CSが始まってしまえば一戦必勝となるので、フル出場の選手が出てくるのは仕方ない。それをどれだけチーム全体でバックアップできるかが重要ですね。また、新型コロナウイルスへの対策もこれまで以上に徹底しなければいけません。

朴氏は阿部らの積極性が重要と強調した[写真]=B.LEAGUE

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