2020.09.07
「白羽の矢が立った」とはまさにこのことを言うのだろう。かつては甲子園を沸かせた強打者、そして昨年まで高校野球の指導者として多くの教え子を世に送り出した阿久澤毅氏が群馬クレインサンダーズの社長に就任したのだ。早速スポンサーへのあいさつ回りを始めた阿久澤氏は人情味あふれる“上州人気質”に感謝の言葉を忘れない。
取材・文=入江美紀雄
取材協力=群馬クレインサンダーズ
――周囲の反応は?
阿久澤 本当にたくさん反応をいただいています。そして「見に行きます」という言葉をいただくことが多いのも、ありがたい話です。「ブースタークラブに入ります」と言ってくださる方もいて。私の周りでも卒業して疎遠になっていた卒業生たちが、新たな役職に就いたことをきっかけに「もう1回会おう」という話になっているようです。ネットワークの再構築とでも言いましょうか。ありがたい話ですね。
――“上州人気質”と言われる群馬県の県民性について教えてください。
阿久澤 昔から言われているのは、義理や人情を大切にする風土があるということです。確かに実際に各地を回ってみると昔からの知り合いや、友人関係を通じて「じゃあ紹介するよ」などと言っていただけるんですね。そうして関係がつながっていくと、「じゃあ次はあそこへ行ってみたらいいんじゃない?」と実際に話もいただいています。本当に人情味を感じます。
――そういった方たちがブースターになるのはとても心強いですね。
阿久澤 そうですね。人と人とのつながりで良い方向にどんどん進んでいければ、とてもありがたいと思います。サンダーズをみんなで好きになっていただいて、サンダーズそのものを応援してくれるようになるとうれしいですね。
――開幕戦の日程、対戦相手が決まりました。来る2020-21シーズン、「群馬のここを見てほしい」というものがあれば教えてください。
阿久澤 私はバスケに関して初心者ですので色々と調べたのですが、サンダーズは大変粘り強く頑張るチームだということがわかりました。これに加えて、チームを束ねる平岡(富士貴)ヘッドコーチがどのようなチーム作りをしていくのか。今後どんな化学反応を起こすのか、これに期待されているブースターの方が多いと思いますが、私も期待しています。実際に平岡さんは「基本をしっかりとやらなければ絶対に強くなれないという」というしっかりとした考えの持ち主です。これは彼が歩んできたキャリアの中で身につけたものだと思っています。伊達に小さな頃から日本一を経験しているわけではなく、経験値が彼の体の中で血や肉になっていると私は感じました。それらが新しいメンバーを加えてどんな進化するのか、素人ながらも見てみたいと楽しみにしています。
――「バスケで群馬を熱くする」という言葉の意味を教えてください。
阿久澤 バスケットの成績だけではなく、ミニバス、中学、高校などのチームの規範になるような、皆さんに「ああいうチームになりたいな」と思ってもらえるようなチームにしていきたいですね。もちろん運営を含めて、そういうところを目指したいなと思っています。難題は多いと思いますが、とにかく私たちはお客さんありきのバスケットボールだと考えています。バスケットボールを見ることで「来てよかったな」と思っていたただきたいですね。そして「また行こう」というサイクルをどんどん作って、気がつけば群馬県民のたくさん方が「応援したい」と思ってもらえることが本当の日本一じゃないかなと思います。それにはバスケットそのものの成績も必要ですし、我々フロントがどういったアイデアで、お客さまをおもてなしをするのかも必要です。NBAのゲームを僕は映像でしか見たことがないのですが、現地に行ってみないとわからないことがたくさんあると考えています。ああいうことが日常的に群馬で体験できるようになれば、本当にうれしいことだと思っています。
――開幕戦は茨城ロボッツとの対戦が決まりました。対戦相手が決まった時の感想をお聞かせください。
阿久澤 私たちにとってもロボッツさんにとっても大事な一戦になると思います。長いシーズンの中の1試合ですが、ここで全力を出し切って、勝てるかどうかがその後のシーズンに重要であることは明白。開幕戦は最も緊張するとも言われますが、大事な初戦を選手と一丸になって戦いたいですね。平岡HCもここで絶対にやってくれると思うので、期待しています。
――最後に群馬の躍進を期待するブースターへメッセージをお願いします。
阿久澤 私たちにとって大事な一年になりますので、全力で応援をお願いいたします。選手をはじめ、スタッフ、フロント全員が120%やり切るぞという気持ちで立ち向かいますので、ブースターの皆様にも勝利へ導いていただければと思います。一緒にB1へ行きましょう。
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