2017.12.23

中津北145センチのキャプテン畑中、土浦日本大に奮闘も「まだやれたという思いがある」

試合中も何度もチームメイトを鼓舞し続けた畑中(中津北)[写真]=河野大輔
バスケットボールキングプロデューサー(事業責任者)。学生バスケをテーマにしたCM制作に携わったのがバスケに関する初仕事。広告宣伝・マーケティング業務のキャリアが一番長いが、スポーツを仕事にして15年。バスケどころの福岡県出身。

 12月23日、東京体育館にて『ウインターカップ2017 平成29年度 第70回全国高等学校バスケットボール選手権大会』が開幕。女子1回戦で、県立中津北高校(大分県)は土浦日本大学高校(茨城県)と対戦した。スピードと粘り強いディフェンスを身上とする中津北は、ウインターカップ2年連続10回目の出場。大津留礎(おおつるもとい)コーチが赴任して4年目の今年は、インターハイで初の16強入りを果たしている。
 
 中津北は、170センチ台の選手をずらりとそろえた大型チーム、土浦日大に対し、持ち前の粘り強さを見せて善戦。ファーストシュートを決められるも、攻守に渡り小気味よく動き、高さに勝る相手に対して、ボールをチップアウトしてこぼれたボールに跳び込んでいくアグレッシブな試合を展開する。この元気ではつらつとしたチームの司令塔はキャプテン畑中みつみだ。身長145センチとコート上でも一際小柄な畑中だが、コート上で大きな声で指示を出し、チームメイトを鼓舞し続ける。チームを率いる大津留コーチは「いいね!いいね!」、「それも成功の1つ!」と常にポジティブに声をかけ続ける。我慢強く付いていく中津北だったが土浦日本大のキャプテン山下涼香にうまくインサイドを攻められると徐々に点差が開き、第2クォーターを終えて20-34。14点のビハインドで前半を終えた。

選手たちへ常にポジティブに声をかけ続けた大津留コーチ[写真]=河野大輔

 中津北は後半もフルコートでアグレッシブなディフェンスをしかけ、土浦日本大のターンオーバーを誘発すると、エース東真菜につなぎ、点差を詰めにかかる。一時は7点差まで詰め寄った中津北だったが、大観衆の詰めかけた東京体育館で緊張を強いられ体力の消耗が大きかったのか、ディフェンスの足が止まり始める。この試合29得点を挙げた土浦日本大の児玉志織にディフェンスの隙間を破られるなど、土浦日本大に効率よく得点を奪われ、ジワリジワリと、その差を広げられた。最後までチームの身上である粘りを見せた中津北だったが、42-72で試合終了、善戦むなしく初戦で東京体育館から姿を消すこととなった。

この試合で29得点を挙げた土浦日本大の児玉[写真]=河野大輔

 試合後の取材で中津北の大津留コーチは「鍛え方が足りなかった。体力的なこと、大事なシュートを決めきる力などトータルの部分で足りませんでした」と試合を振り返ると、この試合で引退する3年生に対し、「ありがとうの言葉しかない。本当に楽しませてもらいました」と声を詰まらせた。

 キャプテンの畑中は「最初は自分たちのプレーができなかったが、ベンチから大きな声で声をかけてくれて、少しずつ自分たちのプレーが出せるようになりました」と最後まで大きな声を送り続けたベンチメンバーと観客席から応援を送り続けた関係者に対する感謝を口にした。第3クォーターで7点差まで詰めたシーンを振り返り、「第3クォーターにもう少し時間があれば、さらに(点差を)詰めることができたと思います」と述べると、試合が終わったときの率直な感想を問われ「まだやれたという思いが正直あります」と悔しさをにじませた。

ベンチメンバーや関係者に感謝を口にしつつ、悔しさもにじませた畑中[写真]=河野大輔

 自主性を重んじるコーチのもとで、自分たちで練習メニューを考え、工夫を重ねてウインターカップの出場権を勝ち取った中津北。小さなキャプテンの想いや今年の悔しい経験が後輩たちの大事な財産となって、次へとバトンが渡されていくだろう。

文=村上成

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