2018.08.03

能代工業を追い詰めるも…藤枝明誠を率いる女性コーチ「今日から出直していく」

藤枝明誠の指揮官、阿部桂コーチ [写真]=三上太
バスケ情報専門サイト

 藤枝明誠高校(静岡県)女性指揮官の就任後初となる全国の舞台は、県立能代工業高校(秋田県)を前に1回戦敗退という結果で終わった。

 8月2日にドルフィンズアリーナで「平成30年度全国高等学校総合体育大会 バスケットボール競技大会(インターハイ)」男子1回戦が行われ、3年ぶり11回目の出場となった藤枝明誠が、男子最多22回の優勝を誇る能代工業と対戦した。

 チームを率いる阿部桂コーチは、かつては東京都などで中学生を中心に指導。2016年に藤枝明誠の指揮官の座に就き、就任3年目にして初めて全国大会の切符を手にした。試合は第1クォーターで19-16とリードを奪い、「能代のやりたいことに対して、ファーストチャンスを潰せていた」と順調なスタートに成功。しかし、齋藤創(3年)にドライブ、新田由直(3年)にフェイダウェイを決められだし、「ボールを追いかけてもドライブでかわされるケースが多くなっていた」。アジャストできているが我慢しきれない時間が続き、34-38と4点ビハインドで試合を折り返した。

 10分間のハーフタイムを迎えると、選手たちは阿部コーチ、金本鷹アシスタントコーチから離れてミーティングを実施。指揮官はこの意図について次のように説明する。

「このチームになってから決めていることで、前半が終わってすぐに話をしても、(選手たちの)頭に入らないだろうと。6分間休んで、ラスト4分間は私が話すと決めた。(私も)ACと話して意思統一して、選手に話すようにしている」

 この「かみ合わせの時間」(阿部コーチ)を経て後半に突入すると、207センチの留学生、ドゥクレ・セコウ(2年)へ徹底的にボールを集め、インサイドから得点を狙っていく。第3クォーター開始約3分に11点差まで広げられたが、セコウの連続バスケットカウントなどで猛追。46-51と立て直して迎えた最後の10分間は、簡単なミスや、相手のハッスルプレーに苦しんだが、試合終了残り3分25秒の時点で2点差まで詰め寄る。それでも、最後までゲームをひっくり返すことができず、61-69でタイムアップ。1回戦で姿を消すこととなった。

207センチの高さを活かして奮闘したセコウ [写真]=三上太

「お話にならない状況だった」という東海大会を乗り越えて臨んだ今大会について、指揮官は「3ポイントへの対応をすごく練習してきたが、安易に中に入りすぎて、ピックされてショットを打たれることが多かった。また、ディフェンスの対応も、6、7、8人目の選手が出た時、全員の意識が高くないと」と振り返り、「40分間とおして我慢したけど、相手のシュートが上手だったかな」と嘆いた。

 就任後初めての全国大会はほろ苦い結果に終わった阿部コーチ。苦笑いしながら「次がんばります」と述べ、「やれなくないと思ったので、ウインターカップ予選に向けて、今日から出直していく」と、すでに冬へ向けて切り替えている。

 今大会に出場している藤枝明誠、飛龍高校を筆頭に、浜松開誠館高校、浜松学院高校など強豪ぞろいの静岡県予選を勝ち抜き、再び全国の舞台に立つことができるか。全国男子高校バスケットボール界では稀な女性指揮官に注目したい。