2018.08.04

開志国際…八雲学園をスピードで翻弄するも、終盤に失速しジャイアントキリングならず

サンブ・アストゥはインサイドで奮闘[写真]=山口剛生
大学時代より取材活動を開始し、『中学・高校バスケットボール』編集部を経て独立。メインフィールドである育成世代から国内バスケット全体を見つめる"永遠のバスケ素人"。

 惜しくもジャイアントキリングとはならなかった。女子2回戦、開志国際高校(新潟県)は八雲学園高校(東京都)に75-81で敗れた。

 八雲学園高校は超高校級の長身オールラウンダー・奥山理々嘉(3年/180センチ)を筆頭に、スタメン全員が170センチを超える大型チーム。対する開志国際はスタメンのうち3人が160センチ台。伊藤翔太コーチは「相手の3倍は走れ」「オフェンスの50パーセント以上はファストブレイクを狙っていこう」と選手たちに言葉をかけ、運動量とスピードで相手を上回る戦い方を挑んだ。

 第2クォーターはその速さが効いた。今大会が本格的な全国デビュー戦となった小野寺佑奈(2年)が、157センチの小さな体を「逆ミスマッチ」のような形で活かした。八雲学園の大型選手たちをスピードで翻弄し、リングからこぼれたボールをサンブ・アストゥ(3年)がコツコツと押しこむ。同クォーター開始時の16-23から最後は38-38の同点に追いつき、第3クォーター終盤には最大5点のリードが生まれた。

前半は、機動力を活かし互角に渡り合った[写真]=山口剛生

 しかし、奥山を守っていた松浦なずな(3年)が4つ目のファールを犯したことで、アストゥが奥山にマッチアップするという予定外の状況に。持ち前のディフェンスの機動力を捨て、アウトサイドが強い八雲学園に対して「外は捨てて中だけを守りに行く」(伊藤コーチ)という選択をせざるを得なくなった。膠着状態が続いた最終クォーター終盤にそのシュートが当たって抜けだされ、そのままタイムアップを迎えた。

 伊藤コーチは試合終了後、選手たちに「もうちょっと勝ちにこだわるチームになろう。仲良しこよしはやめよう」と語りかけた。

 今年のチームはどちらかというと真面目で引っ込み思案な選手が多い。そこから脱却し、1人ひとりの個性をコートで発揮できる集団になってほしいというのが指揮官の願いだ。

 その上で、ウインターカップまでにはさらに速さを追求したチームを作りたいという。「アストゥのスピードに合わせず、日本人選手たちが1、2プレー作ったところにアストゥがからんでいくスタイルを目指したいです」(伊藤コーチ)

 創部5年目。まだまだ新興チームだが、すでに全国で注目される存在にはなっている。強豪校の一員として肩を並べるためには強さだけでなく、選手たちが発するプライドや自信のようなものも必要。ブレイクスルーの瞬間を心待ちにしたい。

八雲学園の奥山は32得点をマークする活躍を見せた[写真]=山口剛生

文=青木美帆

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