2019.12.20

【大会展望】王者の連覇か、それとも打倒・福岡第一に燃えるライバルが待ったをかけるか

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 今夏のインターハイ男子は、下馬評通りの強さを見せた福岡第一高校(福岡県)が3年ぶり3回目の優勝を成し遂げた。その福岡第一が第1シードとなり、12月23日から幕が開く「SoftBank ウインターカップ2019 令和元年度 第72回全国高等学校バスケットボール選手権大会」は、出場チームが例年の男女各50チームから60に拡大。頂点までの道のりは一層険しくなった。前回大会覇者であり、夏の王者がまたしても栄冠をつかむのか。それとも他チームが待ったをかけるのか。各ブロックごとに今大会を展望する。

 左上ブロックは、連覇を狙う福岡第一が頭一つ抜けている。同校最大の魅力はダブルキャプテンの小川麻斗河村勇輝(ともに3年)が中心となって繰り広げる高速バスケット。堅い守備からのファストブレイクは一層磨きがかかり、天皇杯2次ラウンドで対戦したBリーグの強豪・千葉ジェッツでさえ手を焼いたほどだ。

 しかし、インターハイまでは無敗を誇るも、10月の交歓大会では東山高校(京都府)に59ー76と思わぬ敗戦を喫した。だが、この負けが「初心に戻らせてくれるいい経験になった」(河村)と、気を引き締め直すきっかけとなったのも事実。今回も決して奢ることなく、一戦必勝で頂点まで駆けあがる。

 福岡第一が順調に勝ち進めば、準々決勝で対戦するのは能代工業高校(秋田県)か桜丘高校(愛知県)の可能性が高い。前回大会3位の桜丘は、第1シードとしてインターハイに臨んだものの初戦敗退に終わった悔しさがある。昨年からチームを支える村口宗羅、木村貴郎らの最上級生を中心に、ディフェンス力がどれだけ向上しているかに注目だ。

前回大会覇者に加え、インターハイ王者として臨む福岡第一[写真]=佐々木啓次

 左下はシードの報徳学園高校(兵庫県)、前述の通り福岡第一に土をつけた東山の近畿勢が一歩リードか。報徳学園は現在2年生の宇都宮陸、丸山賢人、コンゴロー・デイビッドを軸とし、昨年のウインターカップでベスト8、今年の夏はベスト4と着実に力を付けてきている。シューターの丸山が予想される密着マークをかいくぐり、今大会も一段上のステージへと登りたいところだ。

 東山は巧みなパスとゲームメイクが光る米須玲音、206センチのムトンボ・ジャン・ピエール(ともに2年)を筆頭に、内外問わず得点を奪える松野圭恭、キャプテンで3ポイントシューターの脇阪凪人(ともに3年)など、どこからでも点が取れる抜群の攻撃力を誇る。選手たちは準決勝で王者との再戦を望んでおり、河村をライバル視する米須も「1勝1敗なのでウインターカップが本当の勝負」と意気込んでいる。

 注目カードは関東王者の実践学園高校(東京都)vs前回大会4位の帝京長岡高校(新潟県)による一戦。実践学園は2メートル超えの留学生擁する相手に対し、江原信太朗(3年)の190センチがチーム最長身。身長で劣る分、スピードとディフェンスの強度で上回れるか。また、初出場を果たした祐誠高校(福岡県)が、東京の地でどんなバスケットを披露するかも見どころの1つ。その初戦の相手は6年連続出場の豊浦高校(山口県)だ。

報徳学園は2年生を軸に昨年超えを目指す[写真]=佐々木啓次

 右側2つのブロックは、どこが勝ちあがるか全く読めない激戦区となった。夏4強の開志国際高校(新潟県)が属する右上には、福岡大学附属大濠高校(福岡県)、洛南高校(京都府)、正智深谷高校(埼玉県)、尽誠学園高校(香川県)など有力校が並ぶ。中でも福大大濠と洛南は、全国屈指の強豪ながらインターハイ出場が叶わなかっただけに、今大会に懸ける思いは一層強いことだろう。

 福大大濠が初戦を突破すれば、2回戦ではシード校の開志国際と対戦。開志国際にとっては初戦でいきなり山場を迎えることになる。実現すれば、最後まで意地と意地がぶつかり合う好ゲームになりそうだ。インターハイベスト8の延岡学園高校(宮崎県)も、このブロックを勝ち抜く可能性を秘めている。夏はムヤ・カバング・フランシス(3年)のケガに泣き、「フランシス中心のフォーメーションしか作ってこなかった僕の指導力不足」と悔やんだ楠元龍水コーチのさらなる手腕が気になるところだ。

開志国際は初戦で福大大濠と対戦する可能性が高い[写真]=佐々木啓次

 最後はインターハイ準優勝の北陸高校(福井県)が属する右下のブロック。ここには市立船橋高校(千葉県)、東海大学付属諏訪高校(長野県)、明成高校(宮城県)と、いずれも夏に北陸の前に敗れ去ったチームが入った。

 互いに1回戦に勝利すると、明成と東海大諏訪は2回戦で顔を合わせる。明成はルーキートリオの山﨑一歩、菅野ブルース、山崎紀人の成長も気になるが、木村拓郎、蒔苗勇人といった3年生の出来が勝敗を分けそう。東海大諏訪も同様、上位進出へは黒川虎徹、高原伊吹、米山ジャバ偉生(いずれも3年)の奮起が不可欠だ。その他、大会屈指のオールラウンダー、三谷桂司朗(3年)のいる広島皆実高校、2年ぶりの出場となる土浦日本大学高校などが虎視眈々と番狂わせを狙う。

北陸のいるブロックも激戦区となった[写真]=佐々木啓次

 バスケットボール界における冬の風物詩であるウインターカップ。令和元年の締めくくりにどんなドラマが待っているのか。今年も高校生たちの熱き戦いから目が離せない。

文=小沼克年

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