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『B MY HERO!』
「自分で攻めながら、周りの選手も使えるように。オフェンシブなガードになってほしいと思います」
岐阜女子高校(岐阜県)の安江満夫コーチがこう期待を寄せるのが、今年からポイントカードを務める榎本麻那(2年)だ。
それまではフォワードで、中学時代はセンターポジションだったという榎本の身長は176センチ。パスのスキルなど、ガードとしての適性に安江コーチが目をつけ、新チームになってからポイントカードへとコンバートした。
「最初はうまくいかないこともありましたが、チームがステップアップするには榎本をガードにした方がオフェンスのバリエーションが増えるし、可能性もある。また、本人の将来的なことも考えました。世界では176センチのガードでも小さい方ですから」と安江コーチはコンバートの理由を語る。
榎本自身も「ガードは一番最初に発信しないといけない立場で、そこはまだ慣れていませんが、自分の高さを生かし、フォワードやセンターの経験も生かしながらやっていきたいです」と意気込む。
「ドライブ行ったときに、ガードとの1対1だったらそのまま上でシュートを打つことができるし、ポストの1対1でも有利なことが多いです」と榎本。その言葉どおり、3月31日〜4月2日の期間で開催された「姫路イーグレッツカップ 高校招待女子バスケットボール大会」では、高さを生かした攻めで自らが得点を奪取。加えて、ディフェンスが寄れば頭の上からパスをさばくなど、アシストでもチームの得点を演出した。
「毎試合20得点以上が目標」と言うように、攻撃パターンは多彩で得点力も十分。そこに視野の広さから繰り出されるパスを持ち合わせているため、「マジック・ジョンソンのように」という指揮官の期待もうなずける。
榎本自身の憧れの選手は「家族みんなで応援している」という川崎ブレイブサンダースの藤井祐眞。「ルーズボールやリバウンドなど、全部のプレーにからんでいるし、ガードとしても参考にしています」と声を弾ませる。
176センチは、2年前に卒業した藤田和(三菱電機コアラーズ)の172センチを越える高さ。全国屈指の強豪校である岐阜女子の中でも今までにない大型ガードだ。
一方で、マークマンは榎本より小さい選手が多いため、先述したように“高さ”はメリットにもなるのだが、「自分より小さい選手につくことがまだ慣れてないので、そこは練習や試合を通して取り組んでいきたいです」と、ディフェンスに関しては今後の課題でもあるようだ。
それでも「他の強豪校には、注目されているガードがたくさんいるので、その方たちと対戦できるのは楽しみです」と榎本は目を輝かせる。そんな伸び代が大きい司令塔に安江コーチも、「本人は『周りを使うのは面白い』と言っています。トレーニングやスキルアップを積み重ね、あのサイズで町田瑠唯選手(富士通レッドウェーブ)のようなクイックネスをつけることができればと思っています」と大きな期待を寄せている。
取材・文・写真=田島早苗