2022.12.26

ウインターカップ2022女子準決勝の見どころ「熾烈なビッグマンの攻防と“矛盾”対決に注目」

準決勝に進出した(左から)京都精華、東海大福岡、札幌山の手、岐阜女子[写真]=バスケットボールキング
元バスケットボールキング編集部。主に国内バスケ(Bリーグ、高校・大学バスケ)を中心に取材活動中。バスケでオウンゴールしたことあります。

 11月26日、東京体育館で「SoftBank ウインターカップ2022 令和4年度 第75回全国高等学校バスケットボール選手権大会」の女子準々決勝4試合が行われ、明日のメインコートに立つ4校が決定。京都精華学園高校(京都府)、岐阜女子高校(岐阜県)、札幌山の手高校(北海道)、東海大学付属福岡高校(福岡県)がトーナメントを勝ち上がり、準決勝の対戦カードは京都精華学園vs東海大福岡、札幌山の手vs岐阜女子に決まった。

京都精華のウチェと東海大福岡のアミナタによる主導権争いに注目

 今大会第1シードの京都精華学園は、初戦で県立小林高校(宮崎県)に22点差をつけて快勝スタートを切ると、3回戦では慶誠高校(熊本県)に81-35、東京成徳大学高校(東京都)との準々決勝でも84-45の大差をつけた。イゾジェ ウチェ(3年)、八木悠香、堀内桜花(ともに2年)の3選手は昨年から主軸を担い、チームとしてもインターハイ優勝という経験を積んだ京都精華学園は、ここまで危なげなく勝ち進んでいる印象を受ける。

 だが、山本綱義アシストコーチは「チームプレーの繋がりが完璧ではなくて、ターンオーバーも多いです。けれど、リバウンドやディフェンスは良くなっているので、今はその分でなんとか堪えている状況です」と言及。指揮官は主にオフェンス面で物足りなさを感じているようだ。

昨年から主軸を担っている八木悠香もチームのカギを握る存在だ[写真]=バスケットボールキング

 準決勝で相まみえることとなった東海大福岡には197センチを誇るファール アミナタ(3年)がいる。京都精華学園にも188センチのウチェが大黒柱として君臨するが、今大会で留学生を擁するチームとの対戦は初。山本ACは「うちのチームよりも背の高い選手がいる相手に対して、どこまで自分たちのインサイドプレーが通用するかがすごく重要になる」とポイントを挙げ、そのうえで決勝進出へのキーマンには「やっぱりウチェです」と背番号4を指名した。

「1年前に比べるとすごく自覚も含めて大きく成長してくれているので、粘り強いディフェンス、オフェンスでもシュートを決めきれるか。自分たちは何も成し遂げていないですし、とにかく果敢に挑戦していくチームですので、その気持ちを失わずに頑張りたいと思います」

 対する東海大福岡は、25日の3回戦で桜花学園高校(愛知県)との大接戦を制し、インターハイに続き初のベスト4へ進出。チームは決してアミナタだけではなく、桜花学園撃破の立役者にもなった境さくら(2年)や赤間静夏(3年)など、ガード陣も京都精華学園に対抗できる戦力をそろえる。

桜花学園との試合では16得点を挙げた赤間静夏[写真]=バスケットボールキング

 準々決勝の東海大学付属諏訪高校(長野県)戦は93-67で制したが、前半はわずか5点リードと苦しんだ。宮﨑優介コーチは前日の劇的勝利からの切り替えが上手くいかなかった点に加え、「平面の部分でガード陣がやられてしまった」と指摘。「相手のガード陣も同じく下級生ですので、彼女たちもプライドを持って戦ってもらいたいです」と奮起を促した。また、アミナタについては「多分、同じ留学生同士のマッチアップということで張り切ってしまうと思うので、メンタル面を抑えながらプレーしてもらいたい」とコメント。

 両チームの下級生ガードに加え、赤間と柴田柑菜(3年)によるシューター同士の対決も見ものだが、やはりウチェvsアミナタによる主導権争いが最大の注目となるだろう。

攻撃の札幌山の手と守備の岐阜女子が激突

 もう1つのカードは、ともにノーシードから勝ち上がってきたチーム同士の対決だ。

 札幌山の手は1回戦から3試合連続で100点ゲームを記録し、千葉経済大学附属高校(千葉県)との準々決勝でも合計92得点をマーク。全国の猛者を相手に高いオフェンス力を発揮してベスト4進出を果たした。

準々決勝で躍動した岡井遥香[写真]=バスケットボールキング

 初戦から41得点を叩き出し、絶対的エースとしてチームの先頭に立つのは森岡ほのか(3年)。だが、準々決勝では森岡がファウルトラブルに陥りながらも、32得点の活躍を見せた岡井遥香(3年)を中心に勝ちきった。仲間に助けられた森岡は「チームが一生懸命粘ってくれて、点差もキープしてくれました」と話し、「迷惑をかけたので明日はしっかりプレーしなきゃいけないです」と意欲を見せた。

 岐阜女子については「身長が高い選手もいて、シュート力もあるチーム」と印象を述べた森岡。「今日のようなディフェンスでは守りきれないと思います」と反省しつつも、「もっと全員の運動量を増やしていきたいです。オフェンスでも流れを止めないよう、早いパス回しとカッティングを増やして、流れのあるオフェンスができたらなと思います」と準決勝を見据えた。

 攻撃力のある札幌山の手に対し、岐阜女子は堅いチームディフェンスを武器にベスト4へ進出。ここまでの4試合はすべて失点を70点以下に抑えており、準々決勝で対戦した大阪薫英女学院高校(大坂府)は今夏のインターハイでは30点差で大敗した相手だった。

高いディフェンス力で4強入りを果たした岐阜女子[写真]=バスケットボールキング

 しかし、その相手にも第3クォーターで20-7として勝利を手繰り寄せ、最終スコア69-66で勝利。今年は絈野夏海、ジュフ ハディジャトゥ(ともに2年)など下級生主体だが、安江満夫コーチは「トップリーグ(U18日清食品トップリーグ2022)を通して実戦を積めたことが非常に大きいです」と、夏からチームが成長できた要因を明かす。

 メンバーが変われど、岐阜女子は今年も伝統の堅守を取り戻した。札幌山の手の攻撃力か、それとも岐阜女子の守備力が勝るか。こちらの準決勝は11時40分ティップオフ予定だ。

文=小沼克年

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